「何でネロ達の邪魔をしてくるの?」
わたしがそう尋ねると、ネロが面倒臭そうに答える。
「暇だからってよ」
あと自分の異能力の使い道がないからとも言ってたな、とネロは続けた。
「ま、ただの愉快犯だよ」
師郎はそう言って笑った。
「…とりあえず、ボクの邪魔をするのはやめてくれない?」
じゃないと具象体出すよ、とネロは脅した。
しかし相手には効かないようだ。
「ハハハッ! 具象体なんかもう怖くないもんね!」
ぼくの異能力で意味なくなるし~と円はネロを煽った。
「あーもう!」
ネロはぱっと手の中に具象体の黒鎌を出す。
「うぜぇ!」
そう怒鳴りつつネロは円に斬りかかった。
しかし彼はいとも簡単にそれを避けてしまった。
分の悪い賭けは嫌いじゃない。
そんな言葉があるが、全くもってその通りだ。
普通なら負ける勝負、負けた時の代償がデカ過ぎる勝負、そういうふざけたシチュエーションでなけりゃ、勝負する価値が無い。非日常を楽しめなくちゃ、賭け事に乗る意味が無い。
そういうわけで、俺はこのままオールイン続行だ。
度胸とハッタリだけなら負けない自信がある。その心意気が勝利を引き寄せる。
さあ、俺を負かしてみろよ。できるもんならな。
好きな子の合鍵を勝手に作ってしまった...。
想いをよせている彼女は それを知るや否や
スパァン!と見事なサーベルさばきで
鍵を真っ二つに切ってしまった。
そして一言 「怒ってるんですよ!」
............すいませんでした。
ラジオに投稿したいくらいの罵声でキレられる 日曜日の車の中
普通に家族で出かけるの好きじゃない
一人でどっか行ってる方が楽だわ
炎が燃え上がる赤い車は
どこか遠くの「自由な場所」を目掛け行く
そんなのどこにも無いのよと
言われも無視しただただ行く
狂いそうな想いを抱えて、
変わりたいと願って、
一歩進んだ少女。
その想いを届けるべく、
震えた心のまま、
ただ日々を生きて
もがいて、
葛藤をすり抜けて、
それでも笑っていた。
まっすぐで、素直で、
ほんの少しのことでも嬉しくて。
それが恋なのだと、
その青さを、甘酸っぱさを、
味わっている彼女は美しいと思う。
彼女の恋が叶いますように。
「あ来た来た」
わたしが駆け寄る様子を見て、ネクロマンサーはそう言った。
「どこ行ってたんだよ」
「皆こそ、どこへ…」
わたしは呆れたように呟く。
「だってネクロが急に走り出したからな」
仕方ねぇよ、と耀平はネクロマンサーの肩に手を置く。
ネクロマンサーはそっぽを向いて不満気な顔をした。
「まぁそれはともかく」
耀平がわたしに向き直って言う。
「また同じ場所に戻っちったな」
耀平がそう言うと、皆もそう言えばとうなずいた。
「確かに…同じ場所だな」
奴のせいか、と師郎は呟く。
「面倒くさ」
いつの間にか具象体を消していたネロはそう言ってため息をついた。