時々、胸がざわりと騒ぐ
海の波のような
木々の揺れるような
小さな音が広がって
波は荒れ、風が強く吹き
嵐のような不安が
私を呑み込んでいく
大きく深呼吸をして
収まるのをじっと待つ
「大丈夫」
そう言い聞かせながら
やがて来る日常を
ひたすら待ち続ける
私はエレベーターの側にずっと立っている。
...あ、◯◯だ!見ないうちに髪短くなってる。
後ろから肩を叩いて驚かせてやる!
ゆっくり、ゆっくり、近づいていく。
そして◯◯の肩にふれたーはずだった。
私の手はあっけなくすり抜けた。
そりゃそうだ。私は幽霊になったんだもの。
すぐそこにいるのに、なんでさわれないの?
誰にも見えない涙をぬぐった、ある夏の日
「…どこへ行くの?」
わたしは思わず尋ねたが、コマイヌはちょっとな、と曖昧な返事しかしてくれなかった。
「まぁとりあえず、おれ達も行こう」
そう言ってコマイヌはネクロマンサーと共に歩みを進めた。
また歩き出して暫く。
わたし達3人は相変わらず路地裏を歩き回っていた。
コマイヌ曰く、まだ円は移動しているようだ。
「アイツ…本当にどこへ行ったんだ?」
ネクロマンサーは疲れた顔で呟く。
「アイツがいそうな場所も探してみたけど、収穫はなかったな」
コマイヌも苦笑した。
もうそろ夕方だし、帰りやがったかな~とネクロマンサーは伸びをする。
「…ねぇ」
わたしはふとコマイヌに話しかけた。
「師郎達はどこへ行ったの?」
さっき離れて行ったけど、とわたしは聞く。