「つっても条件は大体駄菓子だろ」
師郎にそう突っ込まれて、ミツルはうぐっとうろたえる。
「ま、まぁ…そうだな」
もちろん情報の時もあるけど、とミツルは付け足す。
「と、とにかくだな、何か情報が欲しい時は、ぜひ俺を頼ると良い」
よく駄菓子屋の周りにいるからな、とミツルは笑った。
「…はぁ」
わたしはとりあえずそれ位しか言えなかった。
この人が情報屋なんて、何だか意外だった。
「ちなみに俺を通して嘘の情報を流すのは無理だ…俺の異能力でお見通しだからな」
だから嘘はつかない方が良い、とミツルは両目を青く光らせた。
「それで…ネロ」
話が一旦落ち着いた所で、ミツルがネロに話しかける。
「俺に何か用かい?」
そう聞かれてネロはうーんと答える。
「あー…なるほど」
耀平の説明を受けて、わたしは納得がいった。
さっき彼の横を通り過ぎようとしても必ず足止めされるのも、どれだけ逃げても追いつかれるのも、全ては異能力のせいかもしれない。
そう考えると合点がいく。
「ちなみに俺は寿々谷で異能力者達の情報屋をやっているんだ」
「え情報屋⁈」
わたしは思わず聞き返す。
「情報屋って、あの、寿々谷の異能力者達にわたしの情報を流しているっていう…」
「そう。その情報屋」
ミツルはそう言ってうなずく。
「寿々谷中の異能力者の情報を集めては、必要とする者に融通する」
そんな情報屋さ、とミツルは笑う。
「君も欲しい情報があるなら、ぜひ俺の元に来ると良い」
ただし、とミツルは続ける。
「俺は”等価交換”がモットーだ…俺に情報を融通してもらいたいなら、それ相応の条件を飲んでもらわらないといけない」