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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 12.ユニコーン ⑥

「あ」
わたしは思わず彼らを呼び止める。
歩き出しかけていた彼らは足を止めた。
「…わたしも、付いて行って良いかな?」
わたしの質問に対し、ネロはえー、と答えた。
「何でお前まで連れてかなきゃいけないんだよ~」
「確かに」
「まぁ…うん」
「ははは」
他の皆も苦笑いする。
「やっぱ無理?」
わたしがそう聞き返すと、皆は微妙な顔をした。
しかし、1人だけ違う者がいた。
「別に良いじゃない」
不意に唯似がそう言ったから、皆の視線が彼女に集まった。

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くうふく

減った貴方の時間が
適当に液晶で埋まらされてる
もう諦め始めた自分が申し訳なくて
平謝りをしていそう

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夏が来たというはなし

冬になって
雨も降らなくなって
独りで平坦に生きてて
夏になったから
雨に打たれつつも
楽しみたいのです。

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視えるモノ その③

溜まり場には、さっき入って行ったトモちゃんと家主の男性、最初に会ったあの少女、知らない少年がいた。
「宮城さん、あれ、誰です?」
「知らない人です。初めて見ました。私も宮嵜さんと最初に会った1週間前くらいに仲間に入ったばかりなので……」
「あー……」
なるほど、私たち2人とも揃って入って日が浅いわけだから、知らない人がいてもおかしくないのか。
「話しかけに行きます?」
「別に良いですよ面倒くさい。同年代の野郎ってあんまり好きじゃ無いんですよね……」
どうやら宮城さんは、あの少年には興味が無いみたいだ。しかし、少年の方は同年代の私たちに興味を持ったのか、こっちに近寄ってきた。
「うわ……」
「そんな引かなくても……」
あからさまに嫌そうな顔をしている宮城さんにも構わず、少年は馴れ馴れしく私たちに話しかけてきた。
「なあ、お前らも能力者なんだろ? どんな能力なんだ?」
「…………」
宮城さんは少年を完全に無視して少し伸びた手の爪を見つめている。
「ああ、ごめん、自己紹介が先だよな。俺は岩室弥彦。よろしく。能力は……」
少年が自己紹介を終える前に、宮城さんはその場を離れてしまった。

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今朝見た夢

ぼくはラジオが好きな女の子
今日も寮のみんなとラジオを聴いている
「ねぇNHK第一が聴きたい」
「いいよ!」
ラジオの周波数をいじいじ
…と、外から警報が
「出撃しなきゃ!」
みんな大慌てで武器を取って
寮から飛び出して行く
ぼくは戦う女の子
今日も世界を守るため
怪物たちと戦い続ける

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純情

もしもキミがいなくなったなら
僕は血を吐くくらい苦しむだろう
そのくらい キミを想ってるんだよ

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君がいた日

切り取られた空と入道雲
揺らめく陽炎に遠い日の夢を見る