「1人位増えても、ねぇ?」
そう言って彼女はネロに目を向ける。
ネロはえー、とそっぽを向く。
「面倒臭いから嫌なんですケドー」
「そう言わずに少し位付き合っても良いじゃない」
唯似はふふふと微笑む。
ネロは暫くの間不満気な顔をしていたが、やがて諦めたのかため息をついた。
「…仕方ない」
好きにしろ、と言ってネロは歩き出した。
「ちょ、ちょっと待てネロ!」
耀平が慌ててネロを呼び止める。
「一体どうするつもりなんだ?」
ネロはぴたと足を止めて振り向いた。
「…だって唯似には勝てないもん」
無理に抵抗しない方が良いし、とネロは答えて先へ進んだ。
「…」
男性陣は思わず黙り込んでしまったが、すぐに仕方ないな、と歩き出した。
「行くわよ」
唯似にそう言われて、わたしも彼らの後に続いた。
お腹がすいたら食べる
風邪をひいたら休む
眠い時は寝る
そういうのと同じくらい
自然に、当たり前に
思いが溢れたら詩を書く
私はそういう生き物らしい
「あ、待って宮城さん」
彼女の後について行く。あの少年、岩室弥彦もついて来た。
「なあ待てよー、お前、ミヤシロっていうの? 漢字でどう書く? 下の名前は?」
岩室弥彦はしつこく尋ねてくる。宮城さんも面倒そうに溜め息を吐いている。ここは私が動くべきだろう。
「ごめん岩室さん、彼女はあんまり男の人が得意じゃないみたいだから。距離をおいてあげて?」
岩室弥彦を押し留めて説得するも、どうも納得というか理解ができていないような顔をしている。
「大丈夫だって! しばらく接していればそのうち慣れてくるからさ!」
「えぇ……」
まったく考えを改める様子が無い岩室弥彦だったけど、ふと動きが止まった。みるみるうちに顔が青ざめていく。
「だめだよーヤヒコ君。女の子を困らせちゃ」
いつの間にかトモちゃんが彼の背後に忍び寄り、あの謎の腕が彼の身体中を掴んで拘束していた。
「ご、ごめんなさい……」
振り絞るようにどうにかそう言った岩室弥彦に満足したのか、謎の腕の拘束は解かれ、トモちゃんはにっこり笑ってあの男性と話しに戻って行ってしまった。
「あぁー……怖かった……。あの人、たまにすげーオーラ放ってくるんだよな……」
やっぱり、こいつにも見えていないのか。
「岩室さんだっけ。あなたじゃ宮城さんとはまともに付き合えないよ」
そう言い捨て、まだ呆然としている岩室弥彦を置いて宮城さんを探しに行くことにした。
朝起きると、なぜかファンタジー感溢れまくる街にいた。
鍵が大量にビュンビュン飛んでいる。
鍵が飛んでるとかハリーポッターか?
そんなシーンあったよな?
なんかホウキが馬みたいに暴れてるんですが。
ちょい待ち、こっち来るな!ヤバイ潰される!
あ、終わった...さよなら......。
ーまあ、夢だよね。早く学校行く準備しよ...。