私って不器用だからさ
ほら、可愛くもないし
すぐ泣くし
甘え方知らないくせに
寂しがりで、どうしようもなくてさ
でもこれも全部、私なんだ
こんな自分、嫌いだけど
変わりたいって思うけど
全部、全部、私なんだ
こんな自分のこと
抱きしめてやれるのは
きっと私だけなんだ
「え~面倒くさーい」
「ふーん」
皆がそれぞれ色々な反応をする。
「…まぁ、良いよ」
付いて行きたいなら付いて来いよ、とネロはぶっきらぼうに言った。
「え、良いの?」
ありがとう、とわたしは返した。
「…」
…と、わたしは黎の視線に気付いた。
「…どうかしたの?」
わたしがふと尋ねると、黎は静かにわたしの方を指さす。
「へ…?」
後ろに何かいるのかと、わたしは恐る恐る振り向く。
そこには、見慣れない小柄な少女がいた。
「えへへへ」
少女はわたしと目が合うと、楽しそうに笑みを浮かべる。
寿々谷市では8月になると大きな祭が開催される。
その名も”寿々谷市大花火大会”。
夜7時頃から打ち上がる数千発の花火が夜空を彩る、寿々谷の夏の風物詩だ。
また、花火大会に合わせて公園や街のあちこちに屋台が出店する。
そのため、メイン会場の寿々谷公園や近くの河川敷、ショッピングモールは寿々谷の内外から集まった人々でごった返すのだ。
わたし達は今、ショッピングモールの休憩スペースでそんな祭の話をしていた。
「ねぇ、今夜の花火大会どうする?」
「屋台回ろうぜ屋台」
「ハハハ、食い意地張ってんな~」
そうやって皆でわいわいしていると、不意にネロがわたしに話を振ってきた。
「そー言えばアンタはどうするの?」
花火大会、とネロは尋ねる。
「うーん」
わたしはその場で少し考える。
「特に誰かと行く予定は立ってないけど…」
欲を言えば、ここにいる皆と一緒に行きたいなとわたしは言った。
ひょひょいと進むことがある
なかなか進まないこともある
両方あるからおもしろい
いまいくつか道がある
どれもちょっとこわい
新しい道作ってみようかな
自信つければこわくないかな
勢いでいこうか
ゆっくり攻めようか
"正解はないんだよ
辿ってきた奇跡が答えになるんだもの"
優しくて
安心感のある
温もりのある手
手を握っているだけで落ち着ける
愛を感じることができる
大丈夫だと思える
手の力ってすごい
ずっと隣にいたい、ずっと大好き♡
誰もいない部屋で 心に溜まった気持ちを呟く
「寂しいな」
「もう、疲れた...」
「あなたの幸せを押し付けてこないで」
誰も返事をしてくれない
まあ、最初から望んでなどいないけどね