表示件数
0

薔女造物茶会 Act 13

「まぁ良いじゃない、私が連れて来たようなものだし…」
お前が怒る必要はないわ、とピスケスは言う。
「何だよ、怒るって…」
怒ってねぇし、とナツィはそっぽを向く。
「ていうかお前らどうやってここまで来たんだよ」
ナツィの質問に対し、キヲンはえへへ〜と答える。
「建物の屋根伝いにここまで来たんだ〜」
ピスケスったら飛ぶのが速いから大変だった〜とキヲンは笑う。
「お前そんなこともできるのか」
「え、そんなにビックリする?」
ナツィに言われてキヲンは不思議そうに答える。
「ボク達は人工精霊だからそれ位できて当然だよ〜」
それにボクそんなに弱くないし、とキヲンは付け足す。
ナツィははいはいとだけ答えた。

0

太陽のお遣い

いくら洒落にならない嘘吐いたからってさァ……
俺の美貌とイケボまで奪うこと無くなァい?

0

ユーラシア大陸縦横断旅17

中国入ってからも昆明までは意外と時間かかるなぁ
どこかの駅に着いたようだが、今いるのはどこだ?
駅名標を見ると普洱と書いてある
そして気付いた
ここは俺が大好きな中国茶の一種、プーアール茶の産地であること
そして、ここで降りた少数民族らしき乗客の多くは、この辺りの茶畑やその周辺の集落で生活している人なのだと
トンネルだらけの区間で、しかもかなりの長旅で疲れたらしい彼女は寝ていたが、起きて一言
「大勢の人が降りたけど、ここって何か有名なものあるの?」「ここか?九州で言うと知覧みたいな町さ。お茶で有名なんだよ。中国茶の中で俺が特に好きなプーアール茶の産地なんだ。香りは少しクセがあるけど、味は美味しいからハマるよ。」「中国茶はほとんど飲んだことないから分からないなぁ」「俺は一時期、中国茶にハマってお茶っ葉ごと買って自分で淹れて飲んでたことあるよ。特に、福建や台湾の烏龍茶と雲南のプーアール茶が好きでよく飲んでたなぁ。まあでも、インドのチャイとかイギリスの紅茶にハマってからは中国茶飲まなくなったけど…機会があれば淹れてあげるよ」
シベリア鉄道の車両なら、サモワールで紅茶淹れて飲むことできるんだろうけど、モンゴル経由モスクワ行きの列車って、確か中国国鉄の車両を中国とモンゴル国境のモンゴル側に位置するザミンウードで台車を替えて直通させるんだよなぁ

0

ユーラシア大陸縦横断旅16

列車はまだラオス領内だ
「どうして第三者呼ぶことにしたの?私たち2人の旅なのに」彼女はかなり不満そうだ
「中国ってかなりIT産業が進んでて、もう現金使えない店が大半なんだ。それこそ、田舎町の屋台であってもね。中国国民はホテルも列車の切符もみんな国からのQRコードアプリで支払いできるんだけど、中国政府から見た短期滞在の外国人観光客、つまり俺たちみたいな人はそのQRコードとそのアプリを使えないんだよ。だから、決済に協力してくれる人と一緒に動いた方が良いと思ってね。高校2年の頃に意気投合して1番仲良くなった同級生の男子生徒は中国人で向こうの市民権も持ってる人だ。しかも、彼は当局関係者の特権を持っている人だから、彼に協力してもらえればより円滑に旅を進められると思ってね。和諧号という高速鉄道を昆明と上海で乗り継ぐんだけど、その時の入場にはその政府支給のQRコードがない人は面倒な手続きを経なくちゃいけないんだけど、そのQRコード持ってる人に同伴してもらえるとその手続きが簡略化されて北京着いたらすぐに隔日運行のモスクワ行きの列車に乗れるんだよ。だから、申し訳ないけど北京まで辛抱してくれ」俺がそう言うと彼女は「流石私の彼氏だね。そこまで考えてなかったよ」と苦笑いを浮かべている
そして、しっかりしているように見えて意外と抜けているところがあるという共通点が見つかり、お互いに惚れ直して笑っている
ついに、国境まで来た
これから一気に中国領内を約時速300キロの列車で駆け抜けて華北まで向かう
一時的に漢字が見られるが、日本や台湾の漢字とは字体が異なるのでうまく読めるか分からないな

0

出発

今日はどんな日だった?
楽しかった 嬉しかった
辛かった 泣いちゃった

明日はどんな日になるかな?
寒いかな 暖かいかな
笑えるかな また泣いちゃうかな

色々あったね
たくさんあったね

笑えなくてもいいよ
泣いちゃってもいいよ

眩しすぎる朝が来て
憂鬱な夜が来て
それでも君は
繰り返して来たでしょう

たくさん、たくさん
歩いて来たでしょう

頑張ったね
休んでもいいんだよ

…あぁ、やっぱり行くんだね
君ならきっとどこまでも行けるよ

さぁ、いっておいで
君はひとりじゃないよ