「…実はおれ達、ショッピングモールに変な壁が現れたモンだから何なのか調べてみたんだよ」
耀平はそう言って説明し始める。
「そしたらこれは幻で、どうやら異能力者の仕業っぽい事が分かったんだ」
まぁすり抜けられるから問題ないんだけど、と耀平は続けた。
「まさか壁の向こうにお前がいるとはね~」
びっくりだぜと耀平は笑う。
「…はぁ」
わたしはワケのわからない出来事に呆然としていた。
…と、ふと気になる事が出てきた。
「ねぇ、どうして異能力者の仕業だって分かったの?」
わたしがそう尋ねると、ネロはこう答えた。
「え、さっき目の前に壁が現れた時にアンタの連れ合いの目が一瞬光ったから…」
「へ?」
思わぬ答えにわたしはついポカンとする。
「それってどういう…」
「どうもこうも、そこのお嬢さんが異能力者だって事だよ」
師郎はそう言い放った。
わたしのすきなもの
ふわふわふわふわ おちてくる雪の結晶
ちりんちりんちりんちりん となかいの鈴の音
ぴかぴかぴかぴか まちに光る星たち
しゃらんしゃらんしゃらんしゃらん みみに響く年の始まり
てくてくてくてく とけだしていく雪たち
ぽかぽかぽかぽか あたたかい春の始まり
もう少しで12月が終わる みんな元気だったのかな?
1月になったら会える でも少し寂しい 12月に会えなくなってしまう そんな気がして
まだ寒いし 雪が降っている まだ12月は終わってないぞ
草や木がみんなのことを見守ってくれている
辛いこと 悲しいこと 嬉しいこと 楽しかったこと
全部見守ってくれて 一緒に悲しんだり 喜んでくれたりするのかな
みんなありがとう お疲れ様 また会いましょうね
「ッ……!」
今度は流石に予想がついた。鏡の中の俺が腕を『外』に出してくる前に、転がるように回避し、鏡の中の俺の腕は現実の俺の代わりに、すぐ近くにいたあいつの首を捉えた。そう、我が幼馴染の首をだ。
「ぐえっ」
あいつは潰れたカエルみたいな声をあげたが、鏡の中の俺はすぐに、結構乱雑にあいつの首を放してその辺に放り捨てた。
「……ああ、大丈夫だよ、生きてる」
あいつは俺が何か言う前に、咳き込みながらも軽く片手を上げて言ってきた。
「そいつは良かった。心配の言葉をかける手間が減って助かる」
「……けど痛いなぁ、しばらくは首の痛みに苦しむことになるかも」
「それはまあ、ごめん」
「気にしなくて良いよ。……しかしこの怪異、プロだね」
「どこが」
「うっかり捕まえた私をすぐに放した。つまり君しか狙ってない。真面目だ」
「最悪なんだよなぁ」
さっきとは逆にあいつを助け起こしてやる。
「……ああ、君、私と目を合わせない方が良いよ」
「それは察せてるから」
「なら良し」
反射物の悉くから目を離し、とりあえずあいつの後頭部に目を向けながら、昇降口への移動を再開した。