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なんかさ、

想像と曲解ってこわい

想像力なんて本当に十人十色なのに
限られた情報で
「この人は◯◯な人」と勝手に断定され
以降、発言もやった事も何もかも
そのフィルター通して見られて
時には'曲解'や'誤解'される

いつでも
スポンジみたいに吸収力抜群で
柔軟で
まっすぐ受け取ってくれる人のありがたさよ。

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籠蝶造物茶会 Act 9

「…」
気がつくと見知らぬ部屋にいた。
それなりに綺麗に整頓された誰かの居室。
そんな所にナツィは引っくり返っていた。
「…」
何だよここ、と思いながら起きあがろうとしてナツィは気づいた。
…後ろ手に縛られている。
「…どういうこと、って思ったでしょう」
不意に声が聞こえたので、聞こえてくる方に目を向けると女が立っていた。
「うふふ」
「テメェ何のつもりだ」
ナツィは相手を睨みつける。
「何って…何の理由もないわ」
ただうちの精霊達が捕まえてきたから回収しただけ、と女は笑う。
「精霊って、お前あの精霊達の…」
ナツィは起き上がりながら言う。

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本当は、

綺麗事は嫌いじゃないの。
あなたのことも嫌いじゃないの。
私が嫌いなのは
きっと
私自身なの。
そんなことはわかっているの。
でも
誰かを、何かを、
嫌いになることで
醜いところを見つけることで
私という私を
確立させてる私がいる。
わかっているの、汚いことだと。
知っているの、寂しいことだと。
気づいているの、そんなことしてる、
私が一番醜いことを。
でも私はあなたみたいに
優しくなくて、綺麗じゃなくて、
美しくもないから。
しょうがないの。しょうがないでしょ?
どうしようもないの、変わりたいけど。
でもわからないの、どうやって
あなたのように
尊く、誰かを想うように
微笑むことができるのか。
だから今日も
誰かを、何かを嫌うの。
そして笑うの。
本当は、本当はって。

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『ごめんなさい…』

呼びましたか、

はじめまして。
私は「ごめんなさい」
あなたの口癖です
悪くないのに 必要ないのに
謝ってしまうようですね
私はいつだって在りたくないのです
常に"はじめまして"がいいくらい

なぜ こんなにも この世界では
私は人気者なのでしょうね
圧力も地位も年齢だってなんだって
関係なく在りたいのに

大丈夫。
謝ることを責めるのではありません
悪くないのに 必要ないのに
謝るあなたがつらそうだった。
ただそれだけです
あなたには笑顔がよく似合うから
笑っていてほしいのです



次に会える時には
あなたがとびきりのドジをして
周りから笑われた時にしましょうね
あなたは笑顔いっぱいのまま
「ごめんなさい!」って呼んでください
その時はまた
はじめまして。から始めましょう

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Trans Far-East Travelogue⑰

日が登りきると彼女は西の方を見て「ここで叫べばやまびこは聞こえるかな」と呟いて無邪気に叫んでいる
俺が東の方を向き、ありったけの声を絞り出して「故郷の皆、聞こえるか〜?俺は必ず帰ってくるから、それまで栄えてろよ!俺が大好きな故郷のままで、誇り高き日本の中心でいてくれ!それでは、行ってきます。帰って来た時はまた昔みたいに綺麗な夜景で俺を出迎えてくれよ!」と叫び終えると仲間が耳打ちして暫く足止めだと告げる
10時のリフトで下山し、麓の駅前では今回同乗する仲間が勢揃いして「これで疲れ取って来い。これから険しい道のりだから」と言って駅前の温泉施設を指差し、タオルと無料券を人数分渡してくれた
風呂上がりで彼女を待つ間、男2人で今後のルートを話し合う
彼女も合流し、本格的な旅がスタートする

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懺悔

祈りの気持ちに間違いはなかった

ただ間違っていたのは

私の心の在り方

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傷痍軍人さんと少年 Ⅰ

 私が小さかった頃の話をしてやろう。お前は今いくつだ?エエ、五歳?だったらお前くらいの年だよ。

 私の生まれた家のすぐ近くには川があって、川沿いを鉄道が走っていたんだ。
 いつだったか、私はお父さん……お前のひいじいちゃんと一緒に鉄道に乗った。黒くて不愛想で、お前の身長よりずっとずっと大きくて、かっこいい汽車だ。でも、修理が終わっていなかったもんで全身傷だらけの汽車だった。
 私とお父さんが乗った、一番前の車両の座席には、傷痍軍人さんが何人か座っていた。傷痍軍人ってわかるか?戦争で立派に戦って傷を負った兵隊さんたちだ。かっこいいぞ。
 私は、一人の傷痍軍人さんの前に座った。顔に大きな火傷の跡があって、右腕を吊っていた。窓際に松葉杖が立ててあって、足も悪くしているようだった。
「こんにちは」
 私は言った。私は軍人さんと話がしたかったのだ。その頃軍人さんってのは子どもたちの憧れの存在だったものだ。軍人さんになって鉄砲持って、敵を沢山やっつけるぞって、本気で思っとったのだ。そんなような人たちだったから、私はいろいろと話したかった。
「こんにちは」
 傷痍軍人さんも挨拶してくれた。
「その怪我は、戦ってきた怪我?」
「そうだね。遠い、南の方まで行ってきたさ。そこで敵の軍と当たって、このざまだ」
「かっこいい。内地を守るためにした怪我でしょ?」
私は目をキラキラさせたよ。だけどね、傷痍軍人さんは窓の外、それも、ずっとずっと遠くに目をやって苦笑いした。
「どうかな。今は……もう分からんね」
そう言ったきり、窓の外をぼうっと眺めるだけで、私に話しかけてはくれなかった。
 私は残念に思って、一緒に外を見ていた。