想像と曲解ってこわい
想像力なんて本当に十人十色なのに
限られた情報で
「この人は◯◯な人」と勝手に断定され
以降、発言もやった事も何もかも
そのフィルター通して見られて
時には'曲解'や'誤解'される
いつでも
スポンジみたいに吸収力抜群で
柔軟で
まっすぐ受け取ってくれる人のありがたさよ。
「…」
気がつくと見知らぬ部屋にいた。
それなりに綺麗に整頓された誰かの居室。
そんな所にナツィは引っくり返っていた。
「…」
何だよここ、と思いながら起きあがろうとしてナツィは気づいた。
…後ろ手に縛られている。
「…どういうこと、って思ったでしょう」
不意に声が聞こえたので、聞こえてくる方に目を向けると女が立っていた。
「うふふ」
「テメェ何のつもりだ」
ナツィは相手を睨みつける。
「何って…何の理由もないわ」
ただうちの精霊達が捕まえてきたから回収しただけ、と女は笑う。
「精霊って、お前あの精霊達の…」
ナツィは起き上がりながら言う。
綺麗事は嫌いじゃないの。
あなたのことも嫌いじゃないの。
私が嫌いなのは
きっと
私自身なの。
そんなことはわかっているの。
でも
誰かを、何かを、
嫌いになることで
醜いところを見つけることで
私という私を
確立させてる私がいる。
わかっているの、汚いことだと。
知っているの、寂しいことだと。
気づいているの、そんなことしてる、
私が一番醜いことを。
でも私はあなたみたいに
優しくなくて、綺麗じゃなくて、
美しくもないから。
しょうがないの。しょうがないでしょ?
どうしようもないの、変わりたいけど。
でもわからないの、どうやって
あなたのように
尊く、誰かを想うように
微笑むことができるのか。
だから今日も
誰かを、何かを嫌うの。
そして笑うの。
本当は、本当はって。
呼びましたか、
はじめまして。
私は「ごめんなさい」
あなたの口癖です
悪くないのに 必要ないのに
謝ってしまうようですね
私はいつだって在りたくないのです
常に"はじめまして"がいいくらい
なぜ こんなにも この世界では
私は人気者なのでしょうね
圧力も地位も年齢だってなんだって
関係なく在りたいのに
大丈夫。
謝ることを責めるのではありません
悪くないのに 必要ないのに
謝るあなたがつらそうだった。
ただそれだけです
あなたには笑顔がよく似合うから
笑っていてほしいのです
次に会える時には
あなたがとびきりのドジをして
周りから笑われた時にしましょうね
あなたは笑顔いっぱいのまま
「ごめんなさい!」って呼んでください
その時はまた
はじめまして。から始めましょう
日が登りきると彼女は西の方を見て「ここで叫べばやまびこは聞こえるかな」と呟いて無邪気に叫んでいる
俺が東の方を向き、ありったけの声を絞り出して「故郷の皆、聞こえるか〜?俺は必ず帰ってくるから、それまで栄えてろよ!俺が大好きな故郷のままで、誇り高き日本の中心でいてくれ!それでは、行ってきます。帰って来た時はまた昔みたいに綺麗な夜景で俺を出迎えてくれよ!」と叫び終えると仲間が耳打ちして暫く足止めだと告げる
10時のリフトで下山し、麓の駅前では今回同乗する仲間が勢揃いして「これで疲れ取って来い。これから険しい道のりだから」と言って駅前の温泉施設を指差し、タオルと無料券を人数分渡してくれた
風呂上がりで彼女を待つ間、男2人で今後のルートを話し合う
彼女も合流し、本格的な旅がスタートする
私が小さかった頃の話をしてやろう。お前は今いくつだ?エエ、五歳?だったらお前くらいの年だよ。
私の生まれた家のすぐ近くには川があって、川沿いを鉄道が走っていたんだ。
いつだったか、私はお父さん……お前のひいじいちゃんと一緒に鉄道に乗った。黒くて不愛想で、お前の身長よりずっとずっと大きくて、かっこいい汽車だ。でも、修理が終わっていなかったもんで全身傷だらけの汽車だった。
私とお父さんが乗った、一番前の車両の座席には、傷痍軍人さんが何人か座っていた。傷痍軍人ってわかるか?戦争で立派に戦って傷を負った兵隊さんたちだ。かっこいいぞ。
私は、一人の傷痍軍人さんの前に座った。顔に大きな火傷の跡があって、右腕を吊っていた。窓際に松葉杖が立ててあって、足も悪くしているようだった。
「こんにちは」
私は言った。私は軍人さんと話がしたかったのだ。その頃軍人さんってのは子どもたちの憧れの存在だったものだ。軍人さんになって鉄砲持って、敵を沢山やっつけるぞって、本気で思っとったのだ。そんなような人たちだったから、私はいろいろと話したかった。
「こんにちは」
傷痍軍人さんも挨拶してくれた。
「その怪我は、戦ってきた怪我?」
「そうだね。遠い、南の方まで行ってきたさ。そこで敵の軍と当たって、このざまだ」
「かっこいい。内地を守るためにした怪我でしょ?」
私は目をキラキラさせたよ。だけどね、傷痍軍人さんは窓の外、それも、ずっとずっと遠くに目をやって苦笑いした。
「どうかな。今は……もう分からんね」
そう言ったきり、窓の外をぼうっと眺めるだけで、私に話しかけてはくれなかった。
私は残念に思って、一緒に外を見ていた。