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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 おまけ 弐

〈執筆に至った経緯〉
ナニガシさんの企画に参加したくて、自分の中にある創作アイデアのストックを漁っていたら、高1の時に国語の授業で「城の崎にて」(山手線に撥ねられて死ななかった人の話…と言っても分からないか)をやっていた最中に作品にインスパイア(?)されて作った話を少しいじって異能が出てくる話に作り変えました。
最初の設定では「死神」とその眷属になった人物が出てくる話だったのだけど、異能ものにする過程で異能者と異能を持つ人外になりました。
一応黒羽(のベースキャラクター)のイラストは描いたハズなんだけど、行方不明になってしまいました(笑)
時間があれば黒羽の絵をまた描くかもね。

以上です。
何か質問などあればレスからお願いします。

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 おまけ 壱

「理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫」のおまけ…と言うか解説編です。

・黒羽(くろは)
異能:死の指揮者
一応この物語の主人公。
作中ではあまり描いてないが長い黒髪で黒地に柄の入った和服を着ている。
明言し忘れたが、一応男。
元々は街で有名な地主の子どもだったが、妾の子だったために家族から疎まれていた。
そのため実母の元で幼少期を過ごしていたが、母親が亡くなったことで父親の家に引き取られることになった。
しかし幼い頃から異能を持っていたために、無自覚の内に小動物や植物を殺すことを繰り返していたため、家族から恐れられ、最終的に実家から追い出されてしまった。
実家から追い出された後も実家の人間から命を狙われることは多く、一度死にかけたこともある。
その時にカラスに出会い、カラスの異能によって傷の治りが早くなる“性質”を与えられたことによって生き永らえている。
現在は街外れの古民家に住んでいる。
なお、カラスに出会うまで異能と言う概念は知らなかった模様。
異能“死の指揮者”は触れた生物を死なせることができる異能。
ただ、人間に使おうとすると抵抗されることが多い。
黒羽自身はあまり制御できてないようだ。

・カラス
異能:カタチの支配者
黒羽の友達(?)。
ただの気まぐれで黒羽を助けた結果、黒羽と連むようになった。
カラスの姿をしているが、喋ったりするようにその正体はカラスではない。
真の正体は物質の身体を持たない神霊のような存在。
遠い昔から存在し、その異能で長い時を過ごしてきた。
カラスの姿をしているのは、今はそういう気分だから。
異能“カタチの支配者”はありとあらゆる生物・非生物に様々な性質を与えることで、性質や見た目を変えることができる異能。
回想では黒羽に“傷の治りが早くなる”性質を与えることで死の危機から救ったりした。
カラス自身には“不死身”とか“発話”とかの性質を与えることで現在の姿を保っている。
ちなみにカラス自身に“名前”は存在しない。
“カラス”という名前自体は通称みたいなものである。

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いつか、いつかのきっかけを。

例えば1回、僕の隣で知らない誰かの話をしたら。
例えば2回、僕の隣で眠いって目を擦ったら。
例えば3回、僕の隣で可愛く首を傾げたら。
例えば4回、僕の隣でくしゃみをしたら。
例えば5回、僕の隣で鼻歌を歌ったら。
例えば6回、僕の隣で照れたように俯いたら。
例えば7回、僕の隣で冗談を言ったら。
例えば8回、僕の隣で泣き出したら。
例えば9回、僕の隣で将来について語ったら。
例えば10回、僕の隣で笑ったら。
そしたら、僕は君とさよならをしよう。

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 捌

「…大丈夫」
ぼくの異能なら…と黒羽は己の手に意識を集中させる。
ネコはジタバタと黒羽の手の中で暴れていたが、やがて糸が切れたように動かなくなった。
「…ふぅ」
黒羽はその場に座り込む。
「お前随分と無理したろ」
カラスは黒羽の足元に舞い降りる。
「ただでさえ異能の制御がおぼつかないのに、無理矢理使うなんてダメじゃないか」
失敗したらどうするんだ、とカラスは呆れる。
「だって身体が勝手に動いたんだし」
仕方ないよ、と黒羽は手の中のネコを地面に下ろしながら言う。
その手にあったはずの傷跡は、いつの間にか治っていた。
「…“死の指揮者”か」
触れた生物の命を絶つことができるとは、いつ聞いても物騒だ、とカラスは呟く。
「お陰様で、ぼくもずっと苦労してるよ」
黒羽はそう言って苦笑する。
「オレ様は自分に“不死身”の性質を与えているから大丈夫だが…大抵の動物はお前に触れただけで容赦なく死んでいくもんな」
全く、困ったもんだ、とカラスは呆れる。
「でも人間に使おうとすると結構な確率で抵抗されるから使いにくいんだけどね」
だからこの異能は好きじゃない、と黒羽は苦笑する。
「まぁまぁ、その影響でオレ様と連めているようなモンだけどな」
ハハハとカラスは笑いながら黒羽の肩に乗る。
「…さて、家に帰りますかね」
「うん、帰ろう」
そう言って、1人と1羽は元来た道を引き返していった。

〈おわり〉

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Trans Far-East Travelogue㉟

昼食をとった後、すぐ近くの三浦海岸の砂浜に降り立った頃に俺のスマホが、すぐに嫁のスマホも着信音を響かせるので互いに背中を向けて電話に出る
兄貴が泣きながら「おい、今どこにいる?」と訊いてきたので「神奈川県の三浦海岸だ。そっちは今…浜松かな?」と訊き返すと「名駅まで進んだが、トラブル発生。彼女と喧嘩別れだ」と返ってきたので「兄さん、運転は副長さんに任せて油壺来れそうか?油壺なら、温泉で話聴くぜ」と返すと「油壺?あの特典付きの切符使ってるって聴いたけど,俺が着く頃には日帰り入浴の入場時間過ぎるぞ。弘明寺にも温泉施設あるだろ?そっちで集合にしよう」と返ってきたので「分かった。新横浜着いた時に連絡して。ただ,地下鉄より京急側が近いから京急の駅で会おう」と返すと電話が切れた
同じ頃、嫁の方も電話が切れたらしく、「どんな内容だった?」と訊いてきたので「兄貴が彼女さんと喧嘩したんだとよ」と返すと「同じね。こっちは彼女さんの方から」と返ってきたので「どうする?俺は上大岡の次の弘明寺って駅で待ち合わせになったけど」と返すと「私達は六郷土手って所ね。六郷って何があるの?」と返ってきたので「六郷は…関東ではお馴染みの塩気がある茶色く濁ったお湯が特徴の温泉だね。俺が行く弘明寺の温泉施設にも黒湯はあるそうだ」と返すと「残ったこの一枚,どうする?」と嫁が訊いて来たので「近場で済ませるか…」と呟くと「あっ!ここ良いかも!温泉でタオルプレゼントって書いてある」と嫁が言うので「バスは…今から駅戻って三崎口行けばちょうど良いね」と返すと「決まりね。じゃあ,行こうか」と返ってきた
後に知ることになる
俺達のこの判断は正解だったと

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復讐代行〜第29.5話 手掛〜

掲示板や記事によると
喪黒闇子はクラス以外では成績優秀で通った大人しい子という印象だったそうだ。しかし同じクラスの子からは
「いつも浮いてるよね」
「理由は忘れたけどいつも1人だった」
「あ、でも赤子ちゃん達とはたまに話してたかも」
赤子とは立花赤子のことだ。
卒アルの日常スナップにも常連で小学生にして陽キャを確立している印象の子。とてもじゃないが喪黒闇子のイメージとは似ても似つかない。
ってことは話してたっていうのもおそらく…
証言から察するに1年はこの状況が続いていただろう
考えるだけでも俺でも吐き気がする。
ここまで事実に触れればいつもなら傷が疼くはず…
おかしい…
何も感じない…
この記事を読んで体は何も感じていない?
だって復讐の目的は…
ヒエラルキーの崩壊のはず…
それはいじめへの抵抗じゃ…
…!!
違う…
全ての根底が違うんだ!
なら…あいつが死のうとする理由は…!!
思考がその答えに行き着くが早いか、走り出すが早いかこの体は、俺の心は闇子のいるであろう場所へ向かった。
「待って!」

to be continued…

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伝えたい言葉は喉の奥、その数音を沈めて、明日の陽気を感じることは出来るのだろうか。



花吹雪はまだか、この涙は何で隠そうか。



昨日みたいな 一年前の
あの人の
長い前髪 埋もれた瞳


凍らせた想いは溶かさずにどうか。
触れないでと思えば思うほど、どうして。
どうして今 縮めてくるのだろう



言いたいことすら言えないや
咳をして 再び諦める





期待すればするほど、過去を思い出してしまう。
そうなって欲しくないと願う、そしてまた臆病になる。
握りしめた手の中でくしゃくしゃになった封筒は、予定にあった机にも下駄箱にも入らずに、そうっと私のポケットの中に。

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大切な人

大切な人が突然いなくなった
大切な人を思って泣いた
でも、泣いているだけでは何も変わらないことに気がついた
大切な人のしたかったことや、大切な人の思いを、僕たちが代わりにする必要があると感じた
だからーーー大切な人のために、今できることを精一杯やり尽くそう

2023年2月28日(火) sumika 黒田隼之介先生に捧ぐ

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余り者

 小学校、中学校、高校。
 年代が上がるにつれて、グループというものができるようになる。【学校】という狭い社会で生きていく上で、それに属さなければ、周りから変な目で見られてしまう。

 年代が上がるにつれて、私はこの、グループというものに苦しめられることになった。

 小学生の時。いつも一緒に遊ぶ子がいたこともあったし、そうでない時もあったような気がするが、もうあまり覚えていない。

 中学生の時。いつも一緒にいる子たちがいた。何かグループを作るときはほぼ100%その子たちと一緒にいた。お互いにお互い以外の選択肢がない状態だったように思う。

 高校生の時。クラスで行動を共にする子はいた。が、毎年メンバーが変わっていった。その子たちと十分に仲良くなったかと言えば、そうではなかったと思う。いつも絶妙に上辺だけの会話だった気がするし、お互いに奥深くまで触れることを避けていた気がする。
 そんな高校時代の私を一番苦しめた要素は、「中学時代のような関係の友達がいなかった」ことだった。私が、とても仲良くしていると感じていた子はイツメングループの繋がりが強かったし、クラスで行動を共にしていた子は部活のグループの繋がりが強かった。私の周りを見回せば、部活の仲間たちにはそれぞれにグループがあった。仲良くしている子にもグループがあった。その子たちにとって、私はいつも優先順位が下だった。こんな書き方をすると誤解を招くかもしれないが、決してあの子たちに悪気があったわけではなかった。なぜなら、私が一人になっていることに、誰も気づく余地がなかったのだから。誰も、誰も悪くなかった。

 それでも、私が“余り者”だという残酷な事実が在り続けた。

 今でもわからない。グループとは何?なぜみんな変える方向が一緒の人から一緒に帰る人を見つける?私はどうしてこうなった?私はいつになったら、誰かの唯一になれる?

 “余り者”という事実は、高校時代の私を暗い闇の底に突き落とすが、それはまた別の話。