それから数日後。
わたし達は人々でごった返すショッピングモールの通路を歩いていた。
「そう言えばネロ、この間会ったよね」
わたしが何気なくそう言うと、ネロはうっと気まずそうな顔をした。
「何、ネロに会ったのか?」
「どこで?」
耀平と師郎は不思議そうにわたしの方を見る。
ネロは嫌そうにため息をついた。
「…この間、学校からの帰りにコイツに会ったの」
マジでダルかった、とネロは言う。
「へーマジか」
「学校行った帰りはマジダルいな」
耀平と師郎はそう言ってうなずいた。
「だ、ダルいって…」
「だってそーじゃん」
わたしの呟きに対し、ネロはそう言い返す。
「お前といると大抵面倒な事が起きるし」
ネロにそう言われて、わたしはえぇ…とこぼした。
「やっぱり,伊豆もいいけど温泉は関東の黒湯に限るな」「そらそうよ。俺の時は烏来がダメで代わりに行った北投が散々だったからなぁ…草津も合わなかったけど、黒湯との相性は抜群よ」
そう言って男2人,風呂から上がり談笑して帰り道,「俺は川向こうで嫁と合流するけど,兄さんはどうする?彼女さんと和解するもよし,昔の俺みたいに復縁拒否して新しい恋を探すも良し。そちらに任せるよ」と切り出すと兄貴は暫く黙っていたが「俺,アイツと話し合うよ。アイツがやったことは確かに許されないけど,中正の息子さんや岩里さんがなさった政策のように、和解に近づきたい」と言ったので俺は「台湾のことを引き合いに出すのも兄さんらしいな」と返す間に駅が見えた
「信号トラブルのため,八丁畷から京急川崎の間で京浜急行は運転を見合わせています」と言うアナウンスが聞こえる
切符の特性,もとい制約上逆方向に行くことはできないので,嫁は一駅隣の川崎でJRに乗り換えることができない
そのため,「蒲田で少し歩くけどそこから東急が出るので、多摩川か自由が丘で合流しよう」と一言送り,兄貴には「横浜で乗り換えて迂回するぞ。東横線乗れば多摩川か自由が丘で会える」と囁く
京急お得意の逝っとけダイヤが発動したな
ff
『思い切りは大事やけど雑になったらあかん』
そう言って何度も、どれだけ時間が経っても、君は冒頭のffを演奏し続ける。額に汗が浮かんでも、その汗が首筋を流れても、その音は止まらなかった。
「無理せんといてね」
言いたくて言えなかった、横顔に見とれていた、その音を少しでも耳に残しておきたくて、ffの衝撃を全て隣で受け止めた。まっすぐな君の性格が、そのまま音になったようだった、私の心を容赦なく裂いてずんと掴んで奪ってしまった。
「今日の調子はどうなん?
あんなにff出てたやん」
『全然』
「理想高いのなー、まぁそれがいいとこか」
無口な君の耳は赤い。少し乱れた呼吸が私の耳にも届いて、胸がきぅ、と痛んだ。
チャイムが鳴る。そそくさと片付けを始める背中を見て、「そこが好きなんよね」と呟く、届かないように、そっと宙に任せてみる。