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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ㉒

「…それで、どうする?」
ネロを探しに行くかい?と師郎が尋ねる。
「えー」
ネロにあんな事言われちゃったし…と耀平はこぼす。
「ちょっと会いに行くのは…」
耀平がそう言うと、師郎はえーと返す。
「心配してないのかよ~」
「いやアイツのことは心配だけどさ」
ちょっと会いにくいと言うか…と耀平は目を逸らす。
「何だよソレ~」
師郎がそう言った時、不意に誰かが口を開いた。
「…会いに行ってあげたら?」
皆は一斉に声の主…黎に目を向ける。
「…どうして?」
耀平が聞くと、黎は淡々と答えた。
「実は今週の月曜にネロに会ったんだけど」
「え、は、え?」
黎の思わぬ発言に耀平は困惑する。
「どういう事?」

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体育

 小学生の時、「好きな教科は?」と聞かれたときに「体育」と答える子が多かった印象がある。しかし私は、体育の時間を好きになったことはない。
 理由は単純だ。運動が苦手だからである。
 50m走で10秒をきったことがないし、ドッジボールで投げた球は必ずキャッチされてしまう。いや、そもそもドッジボールで球を投げた記憶がほとんどない。私にはボールすら回ってこない。

 なぜこんなにも運動が苦手なのかと考えてみる。すると、幼少の頃の自分が原因なのではないかという結論に至る。
 幼少の頃の私は、とにかく人見知りで、“友達と外で遊ぶ”ということをほとんどしなかった。そのまま、体を動かす習慣が身につかないまま成長した結果、体育の成績がいつも3の人になってしまった。

 運動が苦手で一番困ったことは、「一生懸命やっても伝わらない」ことだ。
 私自身は手を抜いているつもりなどさらさらない。でもできない。団体戦のスポーツでは、同級生から疎まれ、笑われる。自分がどれほど不格好であるか自覚しているから、授業中はずっと、公開処刑の時間だ。
 あまつさえ、体育の先生は、当たり前のように運動ができる人たちだから、できない人のことなんて理解してくれず、一生懸命やっても成績は上がらない。

 あぁ、運動が苦手な人用の体育があったらなぁ。

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やっぱ家じゃないと書けないなあ

ドタバタしてて全く文章書くのができない、、、
リクエストくれた方遅くなりますすみません!

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Trans Far-East Travelogue㊸

「兄さん,皆はどうなってる?」そう俺が口を開くと兄貴は「俺たちが風呂入ってる間にエルサレムに着いて別働隊とも合流したそうだ。アイツらはおそらく群山で泊まるんだろうな」と言うので頷くと,嫁が「皆まだ日本にいるのよね?エルサレムと群山って日本だとどこ?」と口を挟む。
そこで,俺が「平和はエルサレムのあるイスラエルの言葉,所謂ヘブライ語ではシャロームと言う。エルは確か冠詞だけど都という意味もあったはずだから,エルシャロームは平和の都,つまり平安京と言い換えられる。もう分かると思うけど,京都市のことなんだ。群山は韓国の都市なんだけど,西に向かって流れる大きな川が海に注ぐ所にあり,また日本が占領した時代には米の積出港として朝鮮半島全域から米が集まり,日本全国に出荷された歴史があり、今でもその地方では有数の港街さ。またその街の海,厳密には河口部には、更に前の時代からある古戦場もあるんだ」とまで解説していると嫁が「まるで大阪みたいな街ね。大阪も江戸時代には天下の台所で米が集まり,また淀川という西に向かって流れる川の河口がある。更にその前の時代は石山本願寺との合戦があったり織田信長が水軍と戦った古戦場もあるのって大阪みたい」と言うので「よく気付いたね。流石は俺の妻だ。君の言うとおり,群山と大阪市は似ている。だから,日本の群山=大阪市なんだよ」と言って締める。
すると,腕時計を見ていた兄貴が「海に,有明に行かないと厳しいのでもう行くわ」と言い、俺は兄貴の言わんとすることを察して頷き,彼女さんも兄貴に続くのでここで分かれることになった。
一方,嫁は1人,「私は玄界灘の方出身なのに,なんで有明海なの?」と言って不服そうに頬を膨らませていた。