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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ㊱

「あ…まぁ、良いけど」
ネロがそう言うと、そうと答えて論手 乙女はわたし達に背を向けた。
そしてそのまま歩き去ろうとした所で、論手 乙女は足を止めた。
「滋賀さん、友達を大事にするのよ」
彼女はこちらをちらと見て、そのまま歩き去った。
「…」
わたし達の間に暫く沈黙が流れた。
だがふと耀平がネロに近付いた。
「ネロ」
名前を呼ばれて、ネロは振り向く。
「おれ達も行こう」
耀平がそう言うと、ネロはうんとうなずいた。
そしてわたし達は元来た道へと戻っていった。

〈15.オーベロン おわり〉

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怪學造物茶会 Act 15

「あら、2人が危ない目に遭うのが嫌だからじゃなくて?」
「い、いや違うし」
ピスケスにそう言われて、ナツィは顔を赤らめる。
ピスケスはうふふと笑った。
「…とにかく、依頼も済んだことだしさ」
帰る?と露夏は皆に尋ねる。
「そうね」
「そうだな」
「うん」
「だね」
4人はそれぞれ頷く。
露夏はそれを確認すると、校門の方に向かって歩き出す。
残りの4人も歩き出したが、ナツィはぴたと足を止めた。
「かすみ」
ナツィはかすみの方に目を向ける。
どうしたの?とかすみが聞くと、ナツィは黙って手を出した。
「?」
かすみは最初よく分からないと言わんばかりに首を傾げたが、やがて何かに気付いたような顔をした。
そしてかすみはナツィの手を取った。
ナツィはかすみが自分の手を握ったのを確認すると、そのまま手を引いて歩き出した。

〈怪學造物茶会 おわり〉

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うちの七不思議Novel Edition:鉄棒の上の幽霊 その⑤

幽霊野郎は背中を強く地面に打ち付けたようで、「おふっ」なんておかしな声を漏らしていた。
「おい、幽霊野ろ……!」
地面の方を見たが、もう遅かった。『サメ』の大顎は既に7割方閉まり切っていて、もうあいつが逃げ出せる隙間なんて無い。
だというのに、あいつは、幽霊野郎は、悟りでも開いたかのように穏やかに笑っていた。
その微笑も、一瞬の後には隙間無く並んだ牙の向こうに消えてしまったが。
「幽霊野郎……」
呟いたが、勿論返事は来ない。『サメ』はしばらくこっちを睨んでいたが、10秒も経たずに地面の中に沈み込むように姿を隠してしまった。どうせ、こっちが痺れを切らして下りた瞬間に襲い掛かってくるつもりなんだろう。厭らしい化け物だ。
「……何か、腹立ってきたな……。あの幽霊野郎の弔い合戦ってわけじゃねーけどさ」
腰掛けた状態から、両足を鉄棒の上に乗せた状態に姿勢を変える。
「おいサメ野郎。俺は、お前を出し抜いて無事に帰るからな。絶対にだ。お前の餌は、さっきの幽霊で打ち止めだ」
地面の下の『サメ』に宣戦布告し、鉄棒から飛び降りた。