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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その⑥

「それでは、失礼します。本当にすみません、村崎さん、三色さん。お世話になりました」
部屋から出ようとする剛将が頭を下げ、気絶から目覚めていた花もそれに続いて一礼した。
「前に使っていたのの代わりのP.A.まで、ありがとうございました。今回は何もできなかったけど、いつかきっと、この村を救ってみせますから!」
「うんがんばれー」
花の言葉に無感情に答え、部屋を出る2人の後に続くように、明晶は小型ドローンP.A.を飛ばした。
『へいモシモシお二人さん? ワタシだ、プロフェッサー・アメシスト』
すぐに内蔵スピーカーを通じて、二人にコンタクトを取る。
「あれ、この声……村崎さん?」
『うんまあそうだけど……この小屋を出た瞬間、君たちが押し潰されたあのカゲの波が襲ってくる』
「ええっ」
『そんなに怖がる必要も無いよ。その義腕があるからね』
「ど、どう使えば……」
『たしか、それは光の力で動くって話はしたよね? 本物の腕みたいに正確に動かすために光の力を隅々まで行き渡らせる都合上、それで殴れば普通にカゲ倒せるんだよね』
「そうなんですか? あ、でも流石にあの密度を腕1本で相手は厳しいんじゃ……」
『大丈夫。色々と仕掛けはあるからね。そこで君らの帰り道をチュートリアルにしたいんだけどさ。こっちからもサポートするから、遠隔操作を許可してほしいんだけど』
「どうすれば……」
『許可すると言ってくれれば良いだけだよ。何なら頭で思うだけでも良い』
「あ、はい。……きょ、許可します」
剛将がそう言った瞬間、彼の意思に反して義腕がぐねぐねと動いた。
『オーケイ、動かせるようになった。それじゃあ実演しながら説明してあげよう。まず小屋を出て』
「了解です」

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Metallevma 〈企画要項〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが企画です。
タイトルは「Metallevma(メタルヴマ)」。
鉱物を核に生まれたヒト型の存在“メタルヴマ”の物語を皆で描いていく企画です。
まずはとりあえず設定です。

・メタルヴマ Metallevma
鉱石を核に生み出されたヒト型の“何か”。
身体のどこかから核と同じ鉱石が生えている。
核になっている鉱石の名前を名乗っている。
核になった石の石言葉や性質にちなんだ特殊能力を持つ。
核の鉱石が健在な限り死ぬことはないし、食事の必要はない(食事は嗜好品程度と捉える者が多い)。
性別はないが、同じ鉱物種を核とする者をきょうだいや家族、一族として認識する。
おしゃれ好きな者が多く、皆個性豊かな格好をしている。
その昔、ある王が自らのしもべとして生み出したのが始まり。
そうして生み出された原初のメタルヴマが自らの同族を生み出していったことで数を増やしていった。
しかし数が増える内に人間に歯向かうようになり、やがて人間の住む世界から追放されてしまった。
現在は人間の住む世界のすぐ傍にある世界“ミクロコスモス”で暮らしている。

・ミクロコスモス Microkosmos
メタルヴマ達が住む小さな異世界。
人間達の住む世界から様々なモノが流れ着く。
住民であるメタルヴマ達は一族ごとの派閥に分かれて激しいナワバリ争いを続けている。
現在はメタルヴマ達が人間の住む世界を真似て人間世界顔負けの都市が造られている。

開催期間はとりあえず9月が終わるまでで、形式・投稿回数は特に問いません(あ、公序良俗は守ってね!)。
投稿作品にはタグ「Metallevma」(スペルミス注意)を付けて投稿してください。
難しめの企画ですが、企画趣旨に大体合っていればOKですのであまり気負わずにご参加ください。
質問などはレスからお願いします。
皆さんの参加お待ちしております‼︎

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Metallevma:PROLOGUE

曇り空の街中を、青い髪のコドモが駆けていく。
そのコドモの見た目は人間の少女のようにも見えるが、額には角のように青い鉱石が2つ生えていた。
「…はぁ、はぁ」
コドモは走ってヘトヘトになってしまったのか、路地裏で立ち止まる。
「みんな、どこ行っちゃったんだろう…」
コドモは辺りを見回すが、周りには誰もいないようだった。
「…いたぞ‼︎」
するとここで軍服風の服装に身を包んだコドモ5人が青髪のコドモを囲んだ。
「やっと追いついた」
「逃げ足の早い奴め」
「俺たちから逃げられると思うなよ!」
コドモたちに口々にそう言われ、青髪のコドモは思わずしゃがみ込む。
「うぅぅぅぅ…」
うっかり“ガーネット一族”のナワバリに入り込んだだけなのに…と青髪のコドモは頭を抱える。
「さぁ、覚悟しろ!」
“コランダム一族”の“サファイア”‼︎と軍装姿のコドモたちはにじりよる。
「ひぇぇぇぇ」
“サファイア”と呼ばれたコドモがそう声を上げた所で、突然“サファイア”の頭上を小さな火球が飛んでいった。
「⁈」
軍装姿のコドモたちは驚いて後ずさる。
「やぁやぁやぁ」
拳銃のポーズを作った右手を下ろしつつ赤い髪のコドモがこちらに歩いてくる。
その額にはサファイアと同じように赤い鉱石が2つ生えていた。
「ウチのサファイアによくやってくれるじゃない」
随分と度胸があるねぇと赤髪のコドモは笑う。
「げっ!」
コランダム一族の“ルビー“だ‼︎と軍装姿のコドモの1人は叫ぶ。
「ヤバいヤバい」
「アイツに出てこられるとマズい!」
「撤収だ‼︎」
赤髪のコドモを見て、軍装姿のコドモたちは慌てて逃げ去っていく。
「…」
逃げていくコドモたちを見ながら、ふらふらとサファイアは立ち上がる。
そして”ルビー“と呼ばれたコドモの方を見た。
「ルビー」
サファイアがそう呟くと、”ルビー“は静かに微笑む。
「帰ろう、サファイア」
「うん!」
ルビーがそう言うと、サファイアは頷いてルビーに近寄った。