表示件数
0

深夜の珈琲占い No.4

現在時刻4時半。
冬なのである程度日は沈んでいる。
クリアウルフは夜行性。
そろそろ出てきてもおかしくない時間帯だ。

「来ないですね。」
「三十分かそこそこで来る訳無いけど...。
来ないねぇ、もうかなり眠いのに。早く来ないかなぁ。」
「ほんとにそうですねぇ。」
「あ〜!もう!とっとと片付けて帰って寝たい!
何でこんな来ないかなぁふざけんなこのやろー!」
「...子供ですか。」
「幾つに見える?」
「......」

誰も彼女の実年齢を知らない。
見た目通りの13だとか、いやいや、80歳超えだとか、いろいろな説が飛び交いまくり、ある種の都市伝説と化している。

「...13ですか?」
「皆んなそれを言うねぇ、外れだよ。と言うか13って、君より歳下じゃないか。君より歳下だなんて、かなりの屈辱なんだけど。」

割と酷いコトを言われた気がするが無視する。
しかし次の瞬間。

「伏せろっ!」
「!!!」

0

とある小説について。 No.5

「ええ、と言うか大丈夫なの?電車。」
「あっ!手前この野郎、今ソレ言うか⁈あー、もーいい、走って帰る。」

そう言って駆け出す俺を引き留めた蘭。

「あ?何だよ帰らせろよ。」
「待って、三分だけ!連絡先だけ頂戴!」
「...分かった。」

承諾してしまった己の恨めしさときたら!
形容することは不可能だと判断したので省くが。

(まぁ、どうせ断ったら面倒くさいだろうし良いか。大した連絡来ないだろうしな。)
「あー、じゃ、ほら、LINEだけだから!」
「善いって言ったの聞こえてたか?」
「うんうん、勿論聞こえてた。ちょっとした悪戯。」

ぶつぶつ言いつつも、連絡先を渡した俺。
タイムリープして鉄拳をお見舞いしてやろうか。

0

横暴狩り その②

(……1人目は『刃の指揮者』、か。異能を聞くだけで恐ろしいね)
日和の生み出した土くれの小人に導かれながら、湊音は思案していた。湊音自身の異能に、殺傷能力は全く無い。相手の攻撃力の高さが予想できる故に、足取りは慎重なものになっていた。
「……っと、ごめんね小人くん。もうかい?」
湊音の靴を掌で叩いて合図を送っていた小人に声をかけると、小人は数m前方を歩いていた青年の後ろ姿を指差し、敬礼してからただの土に姿を変えた。
(……さて、ここからが本番だ)
「少し、頑張ろうか」
自身を奮い立たせるように呟き、湊音は青年に足早に近づき、背後からその肩を叩いた。
「ねえ、お兄さん」
「あ?」
柄の悪さを隠しもしない返答に臆することも無く、湊音は青年の顔をまっすぐ見つめ返しながら話を続ける。
「ちょっと来てくれるかな。『刃』について、話したいことがあるんだ。分かるよね?」
そう問うと、青年は残忍さに溢れた笑みを浮かべ、湊音に顔を寄せた。
「何だ、テメエも異能者か? 斬り合いなら望むところだぜ?」
「そう。じゃあまずはここを離れようか。一般人を巻き込みたくない」