テトのお出迎えの5分後。
俺は布団の中で最悪の連絡を頂戴していた。
『ねぇねぇ、今週の日曜日、飲みに行こうよ〜!
蘭より』
「...ふざけんな。マジでふざけんな。」
俺はそうぼやく。
日曜日って。明後日じゃねぇか。
「行くか...」
ここで断れば、何をされるか分かったものではない。
そして。
「あ〜!優〜、待った〜?」
俺は舌打ちと共に挨拶を返す。
「呑気に来てんじゃねぇよ。15分も遅刻しやがって。マジで今回は許さねぇぞ。」
「ごめんって〜、一軒分奢るから〜。」
相変わらずのらりくらりとかわし続ける蘭。
と言うか一軒分って、何軒まわる気だったんだこいつ。
あの子に勝手に心を開いている。
こんな見えないところで心通わせてる僕は
一体、何者だろう。
学校終わりの真っ暗な夜に、空を見上げながら
僕は思いました。
向こうは何も知らないでしょうけど。
密かに想う僕の気持ちを泳ぎ回る星空に届けてほしい。
そう思った20時の出来事でした。
完全に死亡し意識が消滅する直前、湊音は異能を発動した。
(大体……10秒かもう少し。無理に立ち直る必要は無い。重心移動に従ってそのまま転んでしまっても構わないよ)
その意思は時間を遡り、過去、掴みかかられる直前の湊音自身の脳内に到達した。
(なるほど、オーケイ)
意思に従い、身体を反らせた状態から無理に起き上がろうとせず、自分に近付いてくる足音を聞きながら、湊音は仰向けに倒れ込んだ。この行動によって、青年の掴みかかる行動は空を切る。
「何ッ⁉」
「ていっ」
動揺する青年の向こう脛に、倒れた状態から湊音が蹴りを食らわせた。
「ぐッ⁉」
思わず脛を抱えて屈み込む青年を立ち上がって見下ろし、湊音は徐に、青年の頭に手を置いた。
「これで詰み」
「な……、……?」
青年の身体は時間を止められたかのように静止してしまった。