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憧れ

この人はやさしすぎる
だからきっと、いきるのは大変だろう

道端の花にさえ
見知らぬ人にさえ
誰にでも 何にでも
やさしくするのだろう

いきるのは大変だろう
だけども、僕には、眩しく見える

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雪化粧

電車の窓から見える景色は
ほとんどが白く染って
見知らぬ土地に来たような気分だ

窓の向こうで雪は止むことを知らず踊る
そもそも何年ぶりだっけ
地面の色が見えないほど積もるのは

多分あの頃以来かな
何の運命だよ
再会した途端だなんて

なんか懐かしいな、あの頃
景色があの頃に近づく
まるで今の私みたい

真っ白に化粧して隠すの?
振った
っていう過去を

ううん、そうじゃない
だんだん鮮明になるの
あの頃と同じ気持ち

同じ気持ちなら
いらない
溶けちゃう気持ちなんて

でもそれがいいの
溶けて、それでも
またこうやって好きになるから

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 19.チョウフウ ①

秋の空は澄んで、高い。
こうも綺麗な空を眺めていると気分が良い。
気候もちょうど良いし、特に建物の高い所に立っていると清々しく感じる。
わたしは今、寿々谷駅近くのショッピングモールの屋上にいた。
目的はいつもの”彼ら”を待つためだ。
実を言うとわたしは”彼ら”の連絡先を教えてもらっていないのだが、”彼ら”と連む内にいつもの集合場所、と言う名のショッピングモールの屋上に集まることだけは教えてもらったのだ。
だからわたしはいつも、日曜日になるとショッピングモールの屋上へやって来るのだ。
「…」
今日はまだかな、とわたしは屋上の柵に寄りかかりながら待つ。
このひと時も、ある種至福の時間だった。
しかし、今日は少しだけ違った。
「あら、あなた」
不意に話しかけられたので、わたしはパッと声の主に目を向ける。
そこには奇妙な出で立ちの少女が立っていた。

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少年少女色彩都市【4】

「も、もう、帰ります…」
叶絵が顔を真っ赤にしていそいそと帰ろうとすると、少年は笑いを堪えながら待って待ってと言って叶絵のピンクパジャマの裾をつまんだ。
「君はなんでそんなに慌てて出てきたんだ?」
「わ、私の部屋に、リプリゼントルが入ってきたの…」
「へぇ?リプリゼントル…」
「そう…薄紫色のワンピースの…」
叶絵の言葉に、少年は驚いた顔をした。
「薄紫!?薄紫色っていったら…リプリゼントルの中でも強力なリプリゼントルじゃないか!」
「え…そ、そんなに強い人なの…?じゃあ、今暴れてるエベルソルって、そのくらい強いってことじゃ…?」
叶絵が顔を青ざめさせたと同時に、少年と叶絵の頭上に砂が振りかかった。
「きゃっ」
叶絵が身を縮めてしゃがみこむ。
「あっ…」
少年が小さく掠れた声を出す。
「まだいたんだ…」
二人の頭上で大きな肉塊が首をもたげた。
「っ‥きゃあああああ!!」

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1時間を400円で楽しむ方法

タイトルだけ思いついた小説。ゲーセンの音ゲーとそのプレイヤー達を題材にした、多分日常系の小説。
音ゲーは1クレジット3曲として、プレイ・選曲・前後処理合わせて大体10~15分程度かかります。別ゲーやるための移動時間や待ち時間も含めると、1時間で大体4クレジットくらいは遊べる計算。
まあ、そんなにやる体力は僕には無いんだが。いや出来んことは無いけど、多分めっちゃ疲れると思うし、ナニガシさん自身は音ゲーで手袋しない派の人なので、身体が耐えきれないおそれがある。

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厄祓い荒正し Ep.1:でぃすがいず その①

割れた床板の下に手を突っ込んで、しばらく床下を探る。目的の感触が触れ、すぐにそれを床の上まで持ち上げた。
「……見つけた」
お目当ての品、この神社がまだズタボロ廃神社じゃ無かった頃にお神酒として奉納された、半升入りの清酒の瓶。瓶・中身共に状態良しと目視で確認し、栓を開ける。
端の欠けた猪口を2枚、床の上に並べる。1枚を目の前に、もう1枚を、まるで誰かと対面しているかのように奥に。
お神酒をそれぞれの猪口に注いでいく。奥の猪口、こちらの猪口の順番で。瓶には再び封をして、また床下に隠す。
それから、またお神酒の前に胡坐で座り、こちらの猪口を取り上げ、中身を一息に飲み干した。
日本酒特有の気持ち悪い甘味と喉を焼く感触に思わず顔を顰めたが、我慢して飲み込み、猪口を床にタン、と置き、あちらの酒器を見る。
「……やっと出てきた」
あちらの酒器を持ち上げ、中身を吞むでも無くしげしげと見つめている異形の怪物……この神社の御祭神に、溜め息を吐いた。
「良ィーい酒だァ……旨かったべや?」
「無理な味だった」
「ウッソだァー。だってこんなン、香りだけで旨ェだろーがよィ」
「ならさっさと吞んでくださいます? せっかく神様呼ぶために苦手なの我慢したんですから」
「ウイウイ」
細長く節くれだった指3本で摘んでいた酒器を口元に持っていき、神様はすい、とお神酒を飲み下した。
「ッ…………はァー……! やッぱ旨ェなァ、人間サマが神社に納める酒はよォ」
「あれが旨いぃ? 理解できない……」
この神様は、いつも人間のことを指す時に、『人間サマ』と“様”付けで呼んでいる。神様なんだから、もっと偉そうにしても良さそうなものなのに。以前それについて尋ねた時はたしか……。

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私は本当に鈍感だ

ひと息置いて周りを見渡せば良いのに、
またやっちゃった・・・すみません

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生命の色
力強い、そして優しい色

私の好きな色