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花街辻斬り 3

「ではお主、今までの事や、自分の名すら覚えていない、と...?」

私は黙って頷く。
うーん、と二人揃って考え込み、暫くたった頃。
紅さんが手を叩いた。

「そうでありんす、お主、何か荷物などは持っていんすか?手拭いでもかまいんせん。もしや、名がかいてあるかも...!」

成程。それは盲点だった。
慌てて懐に手を突っ込む。
出てきたのは、小刀、手拭い、空の財布だった。
いずれにも記名はなく、家紋すらない。

「また振り出しでありんすね...」

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鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 9

「嫌よ」
オレンジはにやりと笑うと刀で押し返してスカーレットの鎌を弾いた。
「っ!」
スカーレットはバランスを崩して後ろに倒れるが、その最中にスカイ、グリーン‼︎と叫んだ。
後方に控えていた2人はそれぞれ打刀と太刀を携えてオレンジの前に躍り出る。そのままスカイとグリーンはスカーレットに斬りかかろうとしていたオレンジの刀を受け止める。オレンジはまた後方に飛び退く。しかし息つく間もなくスカーレットが鎌を構えて飛びかかった。
「‼︎」
姉妹はまた鍔迫り合いになる。互いの武器で2人は押し合うが、突然スカーレットがオレンジの腹に蹴りを入れた。
「⁈」
オレンジの手から刀が離れ、オレンジは地面を転がる。オレンジは起きあがろうとしながら和傘を再生成するが、ここでスカーレットが叫ぶ。
「シルバー! 地上の魔女たち!」
今の内に幻影を!というスカーレットの言葉に一瞬ウグイスたちは戸惑うが、シルバーが幻影に向かって飛び込んでいったことで彼女たちも走り出す。
「待ちなさい!」
オレンジは彼女たちを止めようとするが、スカーレットが鎌を持って斬りかかってきたので和傘でそれを受け止める。
「今のあなたの相手はあたしよ!」
スカーレットはそう言ってオレンジとの戦いを再開した。
そしてシルバーたちは幻影に飛びかかる。
シルバーはナイフを次々と生成して幻影に突き刺して動きを鈍らせ、ソラは大剣で幻影の前脚を切り落とす。バーミリオンとカナリアは槍とマシンガンで無数にある幻影の目を潰していく。魔女たちの猛攻によって、幻影は少しずつ体力を削られていった。やがて幻影の動きが止まった所でウグイスが高く飛び上がって右手にチャクラムを生成する。そのまま彼女はチャクラムを幻影に対し垂直に向けたまま地上に落下した。チャクラムは幻影の首に突き刺さる。
「{*;>|‘}$]>]|]*]$[・‼︎」
幻影はつんざくような悲鳴を上げると動かなくなった。そして蒸発するように消滅していった。

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暴精造物茶会 Act 14

「ちょこっと開けて中を見るくらいなら大丈夫」
もしものことがあったらベニになんとかしてもらえばいいし!と笑顔でクロミスは振り向く。
中紅はちょっと…と呟いた。
「だから大丈夫!」
ほんの一瞬開けるだけだから…とクロミスは扉のノブに手をかけた。
しかしキヲンたちは不意に何かの気配を感じた。
「?」
パッと4人は辺りを見回すが何もいない。
「…何?」
「気のせいじゃない?」
「だといいんだけど…」
中紅、クロミス、タイサンボクは口々に言うが、キヲンだけは何も言わず廊下の奥を見ている。
「きーちゃん?」
タイサンボクが尋ねると、キヲンは振り向かずに廊下の奥を指さす。
「あれ…」
キヲンが指さす先には鬼火のようにぼんやりと光る何かが浮かんでいた。

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視える世界を超えて エピソード9:五行 その⑬

「それは辞めといた方が良いんじゃねッスか、シラカミさんよぉ」
後ろから鎌鼬くんが声をかけてきた。白神さんが面倒そうに振り返り、彼の方を見やる。
「その人、種枚さんも目ェ掛けてますんで、あの人と喧嘩する羽目になりますよ?」
「やぁーだぁー! 千葉さんはわたしが囲うのー!」
放電しながら自分を抱き締め、白神さんは反抗した。電流で身動きが取れない。
「いやマジでお願いしますよ。俺、お目付け役任されたんで、2人に喧嘩されると100パー巻き込まれるンス」
「し、白神サン」
自分もどうにか口を開く。
「ここは間を取って、その、自分は不可侵ってことでどうですかね。いきなり白神さんのものになるのはちょっとアレだけど……白神さん以外のものにもならないってことで」
「む……それなら、良いかな……」
そう呟き、白神さんは自分を解放してくれた。電気にやられて完全に麻痺しきった身体がその場に崩れ落ちる。
「……そういうわけで、鎌鼬くん。種枚さんに言っておいてくれる……? そうしておかないと、自分が死にかねない」
「了解ッス。じゃ、俺は失礼します。お大事に」
白神さんに抱えられて帰途に就きながら、鎌鼬くんにどうにか会釈を返した。