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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 番外編 スプリングミーティング ⑬

それからはあっという間だった。
ボクが異能力を使って、コマイヌに見えている”軌跡”を識別する。
どの”軌跡”が誰のモノか判別することで、割とすぐに耀平の仲間達は見つかった。
「あーあ、見つかっちった」
「いつもより早かったな」
「探すのが上手い耀平を撒けたと思ったんだけどなー」
見つかってしまった耀平の仲間達は、口々にそう言う。
「へへへ、今回は助っ人がいるからな」
耀平は得意げに笑う。
「助っ人とかズルいぞ耀平」
「そーだそーだ」
耀平の仲間達は口々に文句を言う。
「えー良いじゃん」
皆が隠れるのが上手いんだよ~と耀平は頭をかく。
「て言うか、助っ人って誰だよ」
そこにいるソイツ?と耀平の仲間の1人がボクを指さす。
「あ、あー…まぁな」
耀平はボクの方に目を向ける。
耀平の仲間の1人はふーんと訝しげな顔をした。

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ジョブグランス 3章 ジョブマスター

俺はジョブマスターの表示を見て固まってしまった。なぜかって?それはこれを見ればわかる﹁ジョブマスターはある基準を超えたらジョブをコピーすることができるという能力です。ただいまからジョブルーレットを開始選ばれたジョブが最初に与えられます。﹂そしてなんかわかんないルーレットが回り始めた。そしてあたったのは﹁オーバーランクレア孤高の剣王が当たりました。孤高の剣王は剣を極めし武神と呼ばれる存在です。剣王に王が入っているのでスキル剣の扇子を発動16枚の刀を好きな方向に飛ばすことができる。﹂そして俺は剣の扇子を使う。「剣の扇子Label1。」おっとここで割り込み情報です。王が着く者たちは武神の中でもトップクラスの実力を持っている方々でそれぞれ能力やスキルを持っている。剣王の場合普通なら剣の扇子だけだがこの方は孤高の剣王なので空中歩急スカイウォークを使える、スカイウォークは空を自由に歩ける。そしてレベルとは!一つ一つにはMAX値が違うものなある。例えば剣の扇子はMAX値は50だ!それを超えたらスキルを進化されることができる。他にも100レベとかもある。おっとそろそろもとに戻すか。俺は剣の扇子で切り裂いた

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浮腫

むくんだ顔 まくらから剥がして
分厚いまぶたのスキマから
わかりきったカレンダー 覗きこむ

早起きの理由なら
君 君 君だって
教えてあげたいな
いつでもそうだって

不安な顔 鏡に見つかって
笑う筋肉 顔マッチョ
さがりきった口角 あげてみる

寝不足の理由なら
君 君 君なんだ
教えてほしいんだ
なんの夢みたの

つまみ ほぐしてリンパ節
今日だけは 君に似合いたい
わかりきった結末 見ないフリ

いたずらに微笑んで
君 君 君だけを
教えてほしいんだ
何から何まで

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五行怪異世巡『肝試し』 その⑩

「っ…………あァおばぁあっ!」
千ユリが呼ぶのと同時に、“野武士”が無事な片手で取り落とした刀を回収し、『青葉に向けて』振るった。
「ッ⁉」
青葉はその攻撃を仕込み杖〈煌炎〉で防ぐが、その勢いに弾き飛ばされる。
「……ごめん、“野武士”。痛いよなァ、辛いよなァ……」
千ユリは口の中でぼそぼそと呟きながら、右の中指を悪霊に向けて立てる。
「こんな目に遭わせるそこのクソを、ブッ殺すしか無いよなぁあ!」
“野武士”の放った斬撃を悪霊は大きく身体を捩じりながら回避し、首元に掴み掛かる。
瞬間、背後から高速で『飛んできた』青葉が、その速度を乗せて抜刀した仕込み杖で悪霊の伸びきった頚部に斬りつけた。
半分千切れた首を折り曲げて青葉を睨みながら、悪霊は彼女にも手を伸ばす。その手が触れる直前、その場に発生した土の柱が青葉を轢き飛ばし、飛ばされた青葉は既存の土柱の壁面に着地した。
そのまま土柱を蹴って、それら同士の隙間を縫うように移動する青葉を、悪霊は顔面を変形させて片目で追い続ける。
「……ッキヒヒヒ、そっちに目ェ奪われてンじゃァねェよ。アタシの悪霊はまだ!」
首の折れた“野武士”が、悪霊の腹部に蹴りを打ち込む。
「テメエを殺せるぞ!」
その脚は悪霊に触れた瞬間からへし折れるように変形しながらも確実にダメージを与え、悪霊が頽れる。
膝をついた悪霊に、真横から土柱を蹴り青葉が迫る。しかし、悪霊はそれを片目で捉え続けており、片腕を伸ばしてきた。その反撃が届くより早く、別の土柱が真横から伸びてきて、更に青葉を弾き飛ばす。
(くそ……さっきからふっ飛ばされてばっかだな、私…………)
そのまま飛ばされた先の土柱を足場に、障害物の隙間を跳び、遂に悪霊の死角、背後に到達する。
「“草分”!」
千ユリが右の親指を下に向けるハンドサインをする。掻き消える武者霊と入れ替わるように無数の青白い腕が津波のように悪霊に向けて押し寄せる。それらを迎撃しようと悪霊が腕を伸ばした瞬間、背後から青葉に斬りつけられ、完全に切断された首から上が宙に舞った。

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我流造物創作:邪魔者と痩せ雀 その④

再び使い魔が姿を現わした。おネコの背後への出現と同時に、おネコの右腕の肘より先が切断される。
「速えェな。まあ問題はない」
アルベドが呟く。おネコは斬り飛ばされた腕が地面に落ちるより早く左手で受け止め、鳥脚使い魔の方に振り向いて再び空中に投げ上げる。
掌が下を向いたのと同時に、その下に添えるように左の掌を上に向ける。すると、両手の間に立方体に近い形状の複雑な術式が出現した。
「吹き飛ばしてやろうぜ、おネコ」
術式が凝縮されるようにして消えるのと同時に、足下からおネコの周囲に旋風が発生した。風は少しずつ勢いを増し、やがてその中に青白い電光が混じり始める。
おネコに刻まれた術式の持つエネルギーは世界に伝播し、大気を震わせ、地響きを起こし、砕けた微小な土片を余波により生じた反重力が舞い上がらせる。
「んゃぁ……消し飛べ」
おネコが左手を前方に伸ばすと、その手の中に全長3mを超える巨大な携行砲が出現した。片手でそれを構えると、砲身にエネルギーが充填され、銃口から少しずつ光が迸る。
「っ!」
射線から外れるように駆け出した鳥脚使い魔に、おネコは身体ごと砲身の向きを変えて対応する。発射の直前、使い魔は大きく跳躍した。
「……んゃぁ、ばーか」
おネコが携行砲を持ち上げ、空中の使い魔に照準を合わせたのと同時に、直径約30mほどの巨大な光線が放たれ、光線は一瞬にして使い魔を飲み込んだ。
数秒間の照射の後、鳥脚使い魔が力無く地面に落下してくる。
「はい、キャッチしました」
結界術を解除して元の研究室に戻り、ワカバは落ちてきた鳥脚使い魔を受け止めた。
「よくやった。おネコもな。腕は後で治してやる」
「んゃぁ」
ワカバが床に転がした使い魔を、アルベドは近くにしゃがみ込んで見下ろす。
「光線直撃しましたけど、この子大丈夫ですかね?」
「大丈夫に決まってんだろ。ただの虚仮威しだぞ」