「寧依のトコに連れてって‼︎」
ピスケスは寧依がどこにいるか知ってるんでしょ?とピスケスに近寄る。
「だからお願い!」
金髪のコドモが手を叩くと、ピスケスは…そうねぇと呟く。
「別に連れていってもいいけど…」
勝手に連れ出したら彼女が怒るかもとピスケスは頬杖をつくが、金髪のコドモはお願ーい!とピスケスの膝に手を置いた。
ピスケスは暫しの間考え込んでいたが、やがて…いいわと答えた。
「ちょっとだけよ」
「やったぁ‼︎」
金髪のコドモは嬉しそうに飛び跳ねる。
「でも私から離れないようにしなさいよ」
ピスケスがそう言うと、金髪のコドモはうん!と大きく頷いた。
覚。サトリ。名前くらいは聞いたことがある。人の考えが読めるという、有名な妖怪だ。たしか、あれは人食いの類だったような気がするが……。
「ちょっとしたツテでさ、この山ン中にいるって情報を掴んだワケよ。割と面倒な種だからなァ……ここらでちょいと囲っとくかブチ転がすかした方が安全の観点からしてもマシな気がしてさ」
「な、なるほど……」
「ヤツのいそうなエリアまでは分かってんで、取り敢えずそこまで直行するぜィ。おいシラカミメイ、遅れンなよ?」
「はいはーい。じゃあ千葉さん」
「何でしょう白神さん」
自分の目の前で、白神さんが四つん這いの姿勢になる。
「…………? 白神さん、これは……?」
「どしたの千葉さん? 早く乗ってよ」
「ちょっと意味が分からないんですが……」
「んー? だって千葉さん、山の中であんまり速く走れないでしょ? 『雷獣』の足ならそれなりに素早くなるからさ」
彼女が『妖怪』としての姿をさらすのに思ったより積極的なことを意外に思いながらも、恐る恐る背中に跨る。長身の割にスレンダーな彼女の身体はなかなか座り心地が悪かったが、どうにかバランスを取る。
「よしよし。それじゃ、振り落とされないようにしっかり掴まっててねー」
「え、はい了解です」
身を伏せたのとほぼ同時に、種枚さんと白神さんは駆け出した。一瞬で最高速度に到達し、自動車並みの速度で木々の隙間を器用にすり抜けていく。少しでも頭を上げたら枝葉にぶつかってしまいそうだ。というより風圧で落ちてしまいそうでじっとしているしか無い。
10分ほど走り続けていただろうか。跳躍した白神さんが『垂直に』着地し、急停止した。
「っ⁉」
突然の事態に対応できずに落下したが、種枚さんに受け止めてもらうことができた。
あなたに会えるだけで
私は生きていける
あなたがこの世界で生きている
それだけで私も生きていける
いつもありがとう
きっとあなたは私のことを
置いていくのだろう
けれど 私は 待ち続けるよ(*^_^*)