今日はクリスマス。
といっても、私にとってはただの平日だけど。
サンタさんが来なくなってから、もう何年も経つ。
別にクリスマスが嫌いなわけじゃない。
ケーキもチキンも大好物だし、クリスマス前の浮かれた空気だってなんだかんだ楽しんでる。
でも、今年はなんかそんな気分にはなれないんだ。
理由はわからない。
ただ、恋しいだけなのかもしれない。
もう二度と戻れない、幼い日のあのときめき…
サンタさんにプレゼントをもらえるように、ちゃんとお利口にしてたよ。
クリスマスツリーがとてつもなく大きく見えた。
ホールケーキを1人で食べるのが夢だった。
そんなことを考えていたら無性に寂しくなった。
でも私はぼっちじゃない!
なぜなら学校があるからね!
電車の中でクリスマスソング、聴いちゃうもんね。
そのまま浮き足だってスキップしながら学校に向かっちゃったりして。
一限は数学か…めんどくさいな…
急に現実に引き戻され、ため息をつきながらロッカーを開ける。
……⁉︎
一瞬何が起こったのか理解できなかった。
私の目の前には、ロッカーからこぼれ落ちた大量のお菓子。
後ろを振り返ると、したり顔を浮かべた親友の姿が。
「メリークリスマス!」
その笑顔を見て、ずっと抱えてきたモヤモヤが晴れたような気がした。
ああ、そうか…
ありがとう。
君が私のサンタクロースだったんだね。
「!」
金髪のコドモは驚いて後ずさるが、足元の小さな石ころにつまずいて後ろに倒れてしまう。
慌てて立ちあがろうとするが、金髪のコドモは突然目の前に現れた“何か”に驚くあまりうまく立ち上がれなかった。
“何か”はいつの間にか金髪のコドモの目の前まで迫ってきており、低い唸り声を上げている。
「どどどどうしよう…」
金髪のコドモは座り込んだまま後方に下がった。
“何か”は金髪のコドモに向けて大きな口をゆっくりと開く。
金髪のコドモは恐怖のあまり顔を背ける。
しかし、突然上空から黒い影が飛び込んで“何か”に斬りかかった。
“何か”は驚いたように後ろに飛び退く。
金髪のコドモが思わず顔を上げると、黒髪で背中に黒い蝙蝠のような翼が生えたゴスファッションのコドモが黒鉄色の大鎌を構えて立っていた。
「…ナツィ‼︎」
金髪のコドモは思わず声を上げる。
黒髪のコドモことナツィはちらと金髪のコドモの方を見るが、すぐに目の前の“何か”に向き直った。
そして目の前の“何か”に飛びかかる。