「“親“はおれたちの心臓部の術式を作った人のことを言うんだぞ?」
今の“親“って…と琅は苦笑する。
「今は誰の元で何をしているのか知らないが、お前の“親“はおれたちの親で、お前の家族はおれたちだ」
それ以上もそれ以下でもないと琳は言う。
キヲンは訳が分からず話についていけてないようだったが、気にせず琅はキヲンの腕に手をかける。
「多分長いこと会ってなかったから、忘れちゃったんだろう」
みんなに会ったら思い出すかもしんないしと琅は続ける。
「ほら、行こう」
硫、と琅は笑ってキヲンの手を引き歩き始める。
え、え、ちょっと…?とキヲンは止めようとしたが、そのまま引きずられていった。
いくつも諦めた
「挫折」の味を知った
自分で決めたことなのに
自信が持てず不安になった
何度も後ろを向いた
道はなんとか続いていた
現実は想像よりも酷だった
これ以上負けたくないと思った
逃げたくないと思えた
今までの自分を
肯定するための成功が欲しい。
まだ蕾のままの自分を見つめる
この花が咲く時、
空は晴れているだろうか
感じたことのない孤独と劣等感は
将来の自分へのエールなのだろうか
『こんなことも乗り越えられたんだから』
そう微笑む日は来るのだろうか
いつかあの日の決断を後悔するのだろうか
「夢を優先する」
あの言葉が、無駄にならないように
三月に笑いたい
目を閉じるとみんなはなにが浮かんでくる?
家族の顔、友達の顔、恋人の顔…いろいろありますよね。
因みに私は綺麗な緑溢れる芝生の絨毯です。
「……⁉ 何が起きて……⁉」
ヒトエが周囲を見回すと、5mほど離れた場所に、長身の女性がカミラを小脇に抱えて立っていた。
「お嬢さん、うちのカミラがごめんなさいね」
「だ、誰⁉」
女性はヒトエの問いかけを気にも留めず、慈愛に満ちた眼差しをカミラに向ける。
「カミラ、楽しかった?」
「たのしかった!」
「満足した?」
「んーん、もっとヒトエとあそぶの!」
「そう……それなら、今日はもう帰りましょう?」
「やーだー!」
「こーら、我儘言わないの」
「むくぅ……」
「ほら、お友達にご挨拶なさい?」
むくれ顔のカミラは、ヒトエの方に振り向き、手を振った。
「ばいばい、ヒトエ。またあそぼ?」
「え……って、いや待って!」
「また一週間後くらいにカミラを寄越すから、その時はまた遊んであげてね?」
女性がヒトエの双剣を、彼女の足下に放り投げる。
「それでは、さようならー」
「いや待っ……!」
追い縋ろうとしたヒトエを、エリカが背後から取り押さえる。
「っ⁉ え、エリカさん⁉」
「駄目。あれは、下手に追っちゃ駄目」
「え……あの人は一体……?」
ヒトエがカミラ達の方に目を向けると、2人の姿は既に跡形も無く消えていた。
コロッケみっつ買うクセは
きっとあなたと見た海の
青い光が眼のおくに
ベタベタ塗られているからで
コロッケみっつ買うクセは
きっとあなたの胃袋じゃ
ひとつだけでは足りないことを
いまも気にしているからで
やかましい 千石の駅前を
逃げだしてしまいたかった
あの日の記憶も
さわがしい 天国のおさそいも
全部見ないフリをして
あの日の記憶と 進むの
コロッケみっつ買うクセに
きっとひとりじゃ多すぎる
右も左も通り過ぎてく
電車の中みたい