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仔鬼造物茶会 Act 30

「その子は1度“学会”の手にかかり死んだ身よ」
碧の言葉に琅は…は?と首を傾げる。
「確かに硫と同じ姿形をしていて、魔力の気配も同じだわ」
でも、と碧は続ける。
「硫は“学会”によって倒され、その核だった術式の刻まれた魔石は“学会”に回収された」
そして“学会”側の人間の手に渡り、使い魔として“再生”させられたようなのと碧は呟く。
「わたしたち使い魔は核である術式が無事なら、魔力供給が途切れて使い魔じゃなくなっても、再度魔力を通すことで復活させることができるの」
だけど魔力供給が切れるとその使い魔の記憶は消失する、と碧は自身の胸に手を当てる。
「使い魔は蘇る前と蘇ったあとでは別の個体になるの」
だから、と碧は絞り出すように言った。
「その子は、硫なんかじゃない!」
琅は目を見開く。
「…は?」
それ、どういうことだよと琅は呟く。
「おれ、そんな話一度も聞いたこと…」
「マスターが言ってたの」
琅が言い終える前に碧は答える。

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とある学校の七不思議:コトリ箱

うちの学校に、『コトリ箱』っていう七不思議がある。
『コトリバコ』じゃないよ? 「バコ」は漢字の「はこ」……そう、たけかんむりの。で、「コトリ」だけ片仮名で『コトリ箱』。
コトリ箱は、美術室の後ろにたくさん並んだ、前の先輩方が作った作品の中に紛れてある、1つの小さな木の箱なの。大きさは掌大くらいで、立方体。
表面は綺麗な彫刻で飾られていて、どこから見ても開けられそうに無い造りなんだけど、振ると「コトリ」って音がするから、中が空洞で、何か入ってるってことだけは分かるんだって。
で、なんでそれが「コトリ箱」って呼ばれてるのかっていうと、さっきも言ったけど、振ると「コトリ」って音がするから。中で何かが1回だけ転がる音。どんなに滅茶苦茶に振っても、絶対に「コトリ」って1回しか音が鳴らないんだって。だから、「コトリ箱」。
まぁ、私も見た事無いから、本当かは知らないけどね。

……なに、怖い話じゃないのかって? 言ったでしょ、七「不思議」って。別に怪談じゃなきゃいけないって決まりはないでしょ。

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Modern ARTists:威霊遣彩能媛 その⑫

「……カミラ?」
カミラの身体が、末端から少しずつ細かな粒子に分解され、宙に溶けていく。
「…………そっか。カミラ、おやすみ」
カミラの亡骸を強く抱きしめると、魔力に分解され崩壊したカミラの肉体は、ヒトエの傷へと吸い込まれ、損傷を補うように埋めていった。
「…………カミラ?」
虚空に呼びかけるが、答えは返ってこなかった。呆然としながらも立ち上がったヒトエに、エイリが駆け寄る。
「後輩ちゃん! 大丈夫⁉」
変身を解除し、ヒトエは答える。
「あ、エイリさん。大丈夫です。傷はカミラが埋めてくれたので……」
「そ、そうなの? 良かったぁ……本当、ドキドキしたよ」
溜め息を吐き、エイリも変身を解除した。
「……ハラハラではなく?」
「ん-……そうかも? でも、なんで治してくれたんだろうね? というか、治せるんだね」
「みたいですね……え、怪人ってそういうものじゃなかったんですか?」
「私の経験の限りでは、殺し合った相手を治癒してくれる怪人は知らないかなぁ……」
不意に、2人の背後に引きずるような足音が響いた。2人が振り向くと、黒いロングコートを身に纏った長身の男が立っていた。
「よォ、魔法少女ども。カミラが世話になったな」
男の言葉に、ヒトエは眉を顰める。
「カミラの……もしかして、【ロスト・ファンタジア】の?」
「正解。上級幹部“アラン・スミシー”。よろしく」
「えっあっはい」