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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑧

「…はぁ」
「ご、ごめんなさい、変な事言ってしまって…」
師郎の返事に少年はびくつきながら謝る。
しかし師郎は顎に手を当てながら何かを考え込んでいるようだった。
「師郎?」
彼の様子が気になったのか。黎が師郎の服の裾を引っ張る。
師郎は我に返ってああ、ちょっとなと黎の方をちらと見た。
そして師郎は少年の方を見やると少年、と彼の目を見た。
「ちょっと、俺達と一緒に来ないか?」
「え」
師郎の思わぬ発言に、少年は驚く。
ネロ、耀平、黎もポカンとしていたし、わたしもつい目を丸くした。
「来る、って…」
「まぁ文字通りの意味だよ」
呆然とする少年に対し、師郎は気にせず立ち上がり少年に近付く。
「ほら、行くぞ少年」
師郎は少年の腕を掴むと、半ば無理矢理彼を立ち上がらせる。
そして師郎は彼の腕を引いて階段を下りだした。
わたし達も、その後に続いた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ:天蟲の弔い合戦 その⑧

「ぐっ……時間が足りない……!」
ササキアが呟きながら、身体を起こす。
「あー? 今のを耐えるのかよ?」
「私は、皆に信頼されている……。それに応えるため、折れるわけにはいかないんだ!」
毅然と言い返し、ササキアは再び盾を構える。受けた刀傷は、既に治癒されていた。
「わーお、治癒能力まで搭載済みかよ……とんだ意地っ張りだ。こりゃ骨が折れるぞ?」
ササキアが盾を前に突き出し、突進を仕掛ける。
「ところで知ってるかい? 生徒会長さんよ」
ロノミアが、左手の刀を掲げる。それ――“緋薙躯”の刀身は根元から失われているように見える。否、正確には『視認困難なほどに細長く伸長している』。
「一度伸ばしたものは、必ず縮めなきゃならないんだよ」
“緋薙躯”の刀身伸長が解除され、超高速で元の長さに縮んでいく。ロノミアは先端付近を変形させ、スパイクを形成することで、縮小の過程でササキアの首を捉えられるようにしていた。スパイクがササキアの首の後ろに迫る。
(獲れる……!)
直撃の瞬間、スパイクは虚空で不自然に砕かれ、ササキアを傷つける事無く“ヒナギク”は元の形状に収まった。
「あ……?」
「……どうやら、間に合ったようだな。この『絡みつく魔力』が時間をも拘束していたのだろうが……残念だったな。『時空に干渉する』魔法の持ち主程度、この学園にも揃っている」
校舎の2階の窓が開き、1人の魔法少女がふわりと飛び降り着地した。
「会長、ごめんなさい! いきなりのことで対応に時間がかかりました!」
「助かった。奴が下手人だ」
蝶の羽根を思わせるシルエットの和装に身を包んだその魔法少女――ニファンダ・フスカが、ササキアの隣に並ぶ。
「あれが悪い人なんだ? 流石に私が出し惜しみしてる場合じゃないし、本気で行くよ!」