心が帰れる場所
それは
友達の傍かな。
魂が帰れる場所
それは
家族の傍だと思ったよ。
シオンは窓に寄って外を一瞥する。人型は頭をもたげ、シオンに向けて放射線状に水を飛ばしてきた。シオンはエリザベスを抱えたままブリッジのような体勢をとって避ける。
「きゃああ!!シオンさんの体幹の良さが恐ろしいですわ!!」
「あは、体幹は自信あるんだよね。ところでリサちゃん、窓から落ちるとかって大丈夫?」
水は壁を破壊し、飛び散った水滴から更に人型が出てくる。
「えっ?お、落ち…窓から」
「うん、もちろんリサちゃんに怪我一つさせない方法は考えてるんだ」
「ま…まあ…シオンさんが仰るのであれば!私覚悟を決めますわ!」
「わおリサちゃん思い切りいいね。じゃあ早速」
シオンは微笑み、エリザベスを窓枠からそっと落とした。
「…ええええええ!?私だけ!?普通に死にますわよ!?シオンさーん!!」
「ごめんね、絶対助けるからちょっと待ってて!」
完全にフリーになった身体で人型の攻撃を避けていく。落下しているエリザベスとシオンではシオンの方が集中攻撃されるのは想定通りだった。シオンは窓の外に手を突っ込んで、エリザベスの下方にあるつる植物に魔法をかける。
「おっきくなーれ!」
「あれだ、見つけたぞ」
原生林を抜け、渓谷を超えた先の洞窟に二人はいた。
「や…やっとついた…すごい道を通るなソロウ…」
「回り道をすると3日はかかるところだったので直線距離を突っ切ったんだが…やはり少し無理があったか」
「お気に…なさらず…」
「そうか?」
そうして私は腕をブラスターに変形させ、洞窟の壁に向けてエネルギー弾を発射して一つの鉱脈を露出させた。
「E2Cdo…不純なやつだからどれだけ抽出されるか微妙だが、これで動きはするだろう」
「すっげぇ…」
「よし、早いところ戻ろう」
鉱石をたらふく抱えて洞窟を後に二人は元来た道を引き返していく。
「わわっ、なんだこりゃ地震?」
「…いや、スキャンしてみたがプレートは動いてないぞ?一体何が…」
渓谷に差し掛かった辺りで何回も立て続けに地震が起こり、進むどころではなくなってしまった。
「とりあえず、地震が収まるまでここにいよう」
「賛成だ…」
『見つけたぞ■■■■■■■■!』
上空からそんな声が聞こえて振り返ると数万はあろうかという果てしないほど巨大な人型の何かがそこにいた。
「な…なんだ…!?」
『お前を破壊する!』
「ん?あれ、コイツの体のアレ…アリエヌスじゃねぇか?アリエヌスの塊…?」
「なんだと?まさか…!?」
人型から拳がこちら目掛けて振り下ろされ、辺りの地形ごとすべてが押しつぶされた。
「あ…あぶねぇ…」
「助かったよ、ノア」
拳が上がり、その隙間からノアの張ったバリアの中の二人が出てきた。
『ほう?だがこれはどうかな』
今度は凄まじい強風が吹き荒れ、二人はなすすべなく人型の中に吸い込まれた。