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重荷

手を伸ばすだけでなにも掴んであげられなかった
ただこの膨れ上がった親愛だけが頭を掠めて
それを伝えるのも重荷になるのが怖かった
君がいてくれればいい
君はひとりじゃない
ふたりっきりでもない
愛されていることに気づいてて欲しい
今はただそんなに言葉を残すことすら躊躇われて
小さく呼吸を零すように ひとりごと
ねえそれでも 届くといいな
君を大切に思う私がいること
生きてる意味になっていて欲しいな

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 24.ヴァンパイア ⑩

「わらわもわらわで急な提案をしてしまったし、困惑されるのもどうしようもないし」
ヴァンピレスはそう言ってブランコの柵の内側から外側へ歩き出した。
「とりあえず、貴女に3日あげるわ」
ブランコの外へ出た所で、ヴァンピレスはふと足を止めて呟く。
わたしは3日?と聞き返した。
「そう、3日」
今度の日曜日にまた貴女に会いに来るから、それまでに返事を考えておきなさいとヴァンピレスはわたしに背を向けたまま続ける。
わたしは…はぁ、と答えるが、ヴァンピレスはあ、と呟いて不意に振り向いた。
「もちろんこの事は他の人に相談しない事よ?」
例え相手が異能力者であっても、とヴァンピレスはにやりと笑う。
「もし他の人に言ってしまったら、貴女も記憶を失ってしまうでしょうから」
ヴァンピレスはそう告げると、それではご機嫌よう~と後ろ手に手を振って、夜の闇の中に消えた。
呆然とするわたしだけが、その場に取り残された。

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Realize

人ってのは
不思議なもんでさ
願ってても
分かりあえないんだ

この世界ってのは
可笑しなもんでさ
願ってても
止まりはしないんだ

今日もこの世には
たくさんの祈りが埋まってる
気づくまでは
変わりやしない

こんな世界でまだ
忘れられてしまう夢は
まだ生きてると
信じてる

人と人がすれ違い
近づいては離れてゆく
何かに気づけていない僕は
希望を探している
何かを探している

喜びってもんは
不思議なもんでさ
感じてても
そこには無いんだ

悲しみってのは
可笑しなもんでさ
感じてても
自分にはわからないんだ

今日もこの世では
たくさんの心が行き交う
気づくまでは
変われやしない

こんな世界でまだ
そのままでいる夢は
また見つけてもらえると
背を伸ばしてる

人と人が削りあい
得ては犠牲にしてゆく
大切を分かっていない僕は
誰かを探してる
見えないものを探してる




最近、よく歌詞を書いてて、この掲示板には初投稿です。良ければ、レスお願いします。これからも、たまに考えた歌詞を投稿しようと思ってるので、よろしくお願いします。

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転生するのも案外良くないものだ p.3

 さて、この身体は元人間の私には申し分ない身体である。文明未熟の点、始めは不安を抱かざるを得なかったが、コマ=リャケットとして生を受けて九年、慣れてしまえば問題はない。

 コマ=リャケットは三十人から五十人規模の小共同体を形成して殆ど自給自足で生活する。

 我々は一般に魔物に分類されており、人類からは文明とかけ離れた存在として扱われているが、魔物にも文化や文明といったものは存在する。魔物としては人類文化からは学ぶことが多く、少しでも彼らの文明世界に追いつこうという心意気を持っておおよその人類とは親しくしている。

 しかし人間はというとかなり鎖国的で、他種族との交流を持とうとしない。他の人類、例えばエルフや獣人、亜人すらも野蛮として扱っているらしく、人間の国にはとても近付けないという。

 思えば前世における人間もそうして発展していった。
 どの世界でも人間は愚かだ。

 いや、魔物や獣人のような身体的な強さもエルフや亜人のような寿命も魔力も持たぬ人間が種を守り抜くためには致し方がないことなのだろうか、私が知らないだけで魔物や人類の国でも差別や戦争が蔓延っているのだろうか……。

 兎も角も、私の浅い知見で判断できるものではない。

 話が逸れてしまったが、そういう訳で、人間が国家を建設するように、魔物や人間以外の人類にも立派に国家があり、都市や市場がある。そういうところでは公用語や文字が存在するが、コマ=リャケットに関しては国家とは乖離した農村共同体的な集落を形成している。

 年に二回、秋春に集落の行商男達が中央山脈とその向こうに横たわる大河とを超えて、人類の街に家畜や鉱石を売りに行き不足物、衣料品や物珍しい嗜好品を荷馬車一杯に買って帰ってくる。彼らがチョコレートやビスケットを買ってきたときは感嘆した。