記憶を奪われるのがどういう感じなのかわたしには分からないが、いつかネロが”記憶は自己の一部”と言っていた事から、恐ろしい事である事は確かだ。
とにかく、彼らにバレないように気を付けなければ…
「…おい、おーい」
そう色々と考えていると、不意に目の前からネロの声が聞こえた。
ハッと我に返ると、ネロが不思議そうな顔をしてわたしの顔を覗き込んでいる。
わたしはいつの間にか周りの声が聞こえなくなる程考え込んでいた事に気付き、慌てて、ご、ごめんと謝った。
「ちょっと、ぼーっとしてた」
「ふーん」
ネロはそう言ってうなずく。
「とりあえず、目当ての品は手に入ったから今度はフードコート行こ」
ネロは声をかけると、何とも言えない動物の形をしたぬいぐるみを抱えたままゲームセンターの外へ歩き出した。
それに耀平、黎、師郎が続く。
わたしも彼らに続いてゲームセンターを後にした。
いつも思う
『私の喜びは誰かの悲しみ』
『私の悲しみは誰かの喜び』
「人の不幸は蜜の味」というけれど
それとは違う、世の決まり事
嬉しいことがあった
私は喜んだ
その時ふと思う
誰かは辛く悲しいのだと
そう思うと素直に喜べない
辛いことがあった
私は悲しんだ
その時ふと思う
誰かは喜び嬉しいのだと
そう思うと悲しんではいけないような気がして
何をするのも怖くなった
でも何かしないと生きていけない
だから選ぶ
誰かが悲しむか、私が悲しむか
もちろん私は私が悲しむ道を選ぶ
誰かが悲しんでも責任は取れないから
決して綺麗事じゃない
ただの卑怯な逃げ
そうして私は私を殺す道を歩み進む
生きるための、殺す道を
矛盾している?
…しててもどうしようもないからさ
私は今日も歩み進める
生きるための、殺す道を
どんなに傷付こうが、
心にしまいながら