「僕は、きみを、止めに来た」
「そんな、どうして」
ヴァンピレスはつい後ずさる。
「わらわは、別に、悪い事なんて、そんな」
「君は、たくさんの人に迷惑をかけた」
ヴァンピレスの言葉を遮るように、逢賀さんは続ける。
その瞳は鮮やかな鮮紅色に輝いていた。
「たくさんの人の”大切なもの”を奪い、”大切な絆”を、壊した」
その”報い”は、必ず受けなければならない…と逢賀さんことヴァンパイアはヴァンピレスに近付く。
ヴァンピレスはおびえたように後退するが、その途中でつまずき尻もちをついた。
「これ以上、きみに誰かの”大切”を壊させないために、きみ自身の手を、これ以上汚させないために」
僕はきみを、止める‼とヴァンパイアは右手に銀色の長剣を生成し、ヴァンピレスに向かって走り出す。
ヴァンピレスは後ずさろうとするが、身体が思うように動かないのか地面の上で身じろぎするだけだった。
このままでは、ヴァンピレスの異能力は、奪われる。
…つまり、記憶が奪われるという事。
ただでさえ寂しい思いをし続けてきた彼女が、記憶を失ったらどうなるだろう。
ただでさえ、1人で物憂げな表情をしていたというのに…
2人が校長室を出て最初に向かったのは、空き教室の一つだった。
「あーだちセンパーイ、あの写真もっかい見せてくださいよー」
「ん」
道中、清嘉に強請った燿子は差し出された写真を奪うように受け取ると、まじまじと眺めながら口を開く。
「……性格キツそうな面してますねー」
「そうかぁ?」
写真を返してもらい、清嘉も写真を再確認する。角度と被写体の様子からして隠し撮りされたものであろうそれに写る少女は、確かに敵対心を剥き出しにしたような鋭い目つきをしていた。
「……そうかも……?」
「もっかい写真見せてくださーい」
「また?」
「良いじゃないですかぁ」
「はいはい……」
やり取りをしながら、2人は校舎端の空き教室に入った。燿子がそのまま奥に進んで窓の鍵とカーテンを閉め切り、清嘉は入り口扉を施錠する。
「これで良いのか?」
「はいはいありがとございますセンパイ。んじゃ、こっち来てください」
「おう。で、何すんの?」
「決まってるじゃないですかー、情報収集ですよぅ」
そう言って燿子がリュックサックから取り出したのは、一台の手動式タイプライターだった。
「……パソコンですら無く?」
「やだなぁ、ググって出るものじゃないんですから……私の『能力』を使うんですよ」
「……タイプライターを使う怪異なんていたっけ……」
「元ネタだとちょっぴり違いますけどねー。ま、うちの子は結構融通利かせてくれるんで……」
燿子は使われていない机にタイプライターを起き、その奥に蝋燭を1本立てて火をつけた。
「さ、始めますよセンパイ。協力者いないとできないんですから」
「な、何を?」
「決まってるでしょ? “コックリさん”ですよ」
舞台は大学野球をはじめ,学生野球の聖地,東京・神宮球場
ヤクルトスワローズの若い右のエース奥川が,左のエースの山野が、抑えのキハダが,東京の野球ファンにとっての憧れの舞台,夢の国と呼んでも差し支えないスタジアムで,屋根のない東京の野球場で吠える
東京生まれで日本初のプロ野球チーム,巨人ことジャイアンツの若手の西舘も、右の山﨑も,助っ人外国人のマルティネスも、多くの野球少年が憧れるこのスタジアムでまた吠える
男と男の一騎打ち
この東京で生まれ育った少年が憧れた,狭くてホームランの沢山出る神宮球場で応援するジャイアンツが勝つ場面
昨年までは当たり前のような光景だったが…
今年は,それぞれのチームでホームランバッターが1人ずつ抜けて,監督も代わって逆にジャイアンツに競り勝つスワローズという構図が見受けられる
聖地でプレーする矜持と,伝統と誇りを胸にプレーするチームの意地がぶつかり合う
両チームとも東京のチームだから,ユニフォームの胸の文字はそれぞれのチーム名ではなく「TOKYO 」
今年の東京シリーズは,優勝候補の三つ巴のうちの二者同士で競い合うことになる
勝つのはどちらか
それぞれ三チームと試合をする9連戦の第二試合が今年も始まる
「彼女は“八王子昆明学園”中等部から来てくださった……せっかくだから自己紹介してもらえるかな?」
「はーい」
校長の言葉に、少女は気の抜けた声で答えて立ち上がった。
「んぇー、初めましてー。“ダイサン”の中学2年生、野火止燿子でーすよろしくお願いしゃっす」
「あ、ども。俺は足立清嘉」
「足立センパイね、りょーかぃ」
燿子は軽く会釈を返し、清嘉の隣まで移動してきて校長のデスクに向き直った。
「さて……メンバーが揃ったところで、今回の事案について説明させてもらおう」
校長がデスクの上に滑らせるように置いた1枚のポラロイド写真を、2人は並んで覗き込む。そこに写っていたのは、清嘉と同年代程度であろう少女だった。
「その子が、今回のターゲットだ」
「……普通に人間っすね?」
「何、“語部”退治?」
「『退治』、という言い方は少し語弊があるな。強いていえば……『監視』といったところだろうか。彼女を発見し、動向を観察してほしい。そして、能力による危険行動を取っているようであれば、捕獲してほしい」
「捕獲て、そんな野生動物みたいな……」
「えーなんでですかー。このお姉さんどこの学校の人? “ダイニ”? 埼玉? そこに任せちゃえば良いのに……」
燿子の言葉に、校長はこめかみを押さえて溜め息を吐いた。
「彼女は養成校への入学を固辞したのだよ。そのせいで、野放しのような状態になっていてね……能力も厄介だから、できれば目の届く範囲に置いておきたいのだが……」
(養成校に編入するのって断れたんだ……)
清嘉はその言葉を飲み込んで、再び写真を確認する。
「まぁとにかく、この人見つけて勧誘しちゃえばいい感じですか?」
「それができれば一番いいが、具体的な方針は君たちに一任するよ。大人が出向くのが一番良いのだろうが……不用意に近づいて怪しまれても困るからな。初めての任務で不慣れだろうが、頑張ってほしい」
「「了解」」
燿子は一度ソファの方へ戻り、足元に置いていたリュックサックを拾って戻ってくる。
「んじゃ、行きましょセンパイ」
「ああ、うん」
Glory fades in the wake of a momentary catastrophe. Yet it is a fact that glory once existed there. So why do people insist on viewing things through the lens of negative outcomes?Verloren
What do you see?
The Weimar Republic symbolized freedom and influenced legal systems around the world.
But how is Deutschland perceived now, following that sudden shift toward A?