ほんの些細なことだけど、
ちょっと寂しく感じるな。
たとえ短い別れだとしても、
やっぱ寂しくなっちゃう。
でも大丈夫、待ってるから。
頑張って待つから 楽しんできてね!
でも、約束通り、
何があっても必ず戻ってきてね。
器を作った
水がコンコンと湧き出る器
水不足解消になる
私が言葉の力を初めて使ったときに叶えた内容だ
オヤツタイム☆
あの人はどんな香水が好きかな?
今日の夕飯は何にしよう
今日もあの子が優しかったな
ミセスのBrand newいい曲だぁ
今日も良い日だった!
あなたに感謝でいっぱいだな
二人は20分ほど歩き、川辺に下りると橋の下に標的の男を転がした。ただ落としたのではない。橋梁面とほぼ同高度、約15mからの自由落下である。一般的な人間であればまず死亡するはずだ。しかし、コンクリート面に直撃した男は衝撃と硬度によってひしゃげながらも、活動を続けており身体を起こそうと藻掻いていた。
「動いてんじゃねえよカスがァッ!」
動きの緩慢なその身体を石礫が貫き、右膝がちぎれ飛び残りの肉体が地面を転がる。
「やっぱ人間やめてんなァ……死ぬ気配無ぇぞ」
「“コードネーム・ハグレイ”、生前の呼称だけど……モチーフがよく分からねえんだよな……注意しろよ、“騒霊”」
「誰に言ってんだ後輩」
「お前に言ってんだよ」
「……問い直そうか。『お前風情が』『このあたしに』なんで舐めた口聞けてんだ、あ?」
「心配くらい素直に受け取れや」
「…………っつーか何アレ」
千切れ飛んだはずの男の右脚が、既に生え変わっている。しかし、その質感は一般的な人間の体組織のそれではない。表面は樹皮のような濃褐色で、硬くひび割れている。
「……再生能力……か? 報告には無かったぞ。剰霊能力の一部なのかあるいは、怪異としての特性か……」
「どっちでも良いけどさァ~、お前のせいで治癒の瞬間見られなかったじゃんかよ。どうしてくれんの?」
「もう一度やりゃ良いだろ」
男、“コードネーム・ハグレイ”はようやく起き上がると、2人に向き直った。その顔面もまた、樹皮状組織に覆われている。
「やんのはあたしだってのに、言いやがる……」
不満を垂れながらも、加奈は一握り分の土埃を刃の形状に再形成し、射出した。“ハグレイ”はそれを腕を盾にして受け止める。左腕は刎ね飛ばされたものの、即座に樹皮質の腕が再生する。
「……何秒?」
「4フレ」
「fpsを言えやfpsをォ!」
「60に決まってんだろが!」
「あたしはスマホ中毒者だからfpsといえば30派なんだよ! っつかよく分かったなオイ!」
「とにかく! 0.1秒弱で再生する怪物をどう倒すんだよ?」
「……どうすっかなァ……」
加奈は親指の爪を噛み、橋の下から出ようと背中を向けた“ハグレイ”の両脚をリボンで絡め取って引き倒した。
祖母からの“八尺様”に関する情報提供は、およそ1時間にも及んだ。
「ありがとう、祖母ちゃん。いろいろ教えてくれて」
「当然さ。お前やお友達のためだからね。けど、今日はもう遅いからねぇ、外に出るのは明日にしておきな」
「うん。先輩たち、戻ってくるかな……」
玄関を出た辺りで見回していると、大柄な影と小柄な影が並んで坂を上ってくるのが目に入った。
「あっ戻ってきた」
「ういーっす探索1回目無事せいかーん」
「ただいま、永江くん。まずは情報共有しようか」
「はい」
吉継の後ろから、彼の祖母が顔を出す。
「おやおや二人とも、帰ってきたのかい。疲れただろう、おやつを用意してあるよ」
「えっやったぁ! ご馳走になります!」
「どうもすみません」
3人は居間のテーブルに着き、一口大にカットされたスイカをつまみながら今日の調査内容を共有することにした。
「まず私から。何の成果も得られませんでした! でもこの村自然豊かで私は好きになったぁ」
「僕は役場でこれを貰ってきたよ」
そういって王蕗がテーブルに広げたのは、役場で配布されていた村の全体図である。そこには赤いボールペンで、いくつか点が描かれている。
「このポイントは?」
吉継が尋ねる。
「道祖神だよ。まだ探索は途中だけど、それでも結構見つけたね」
数えると、赤い点は宅地一帯だけで10以上確認できる。
「はぇー……結構多いですね」
「ねー。道祖神って乱立させて良いやつなの?」
「まぁ……悪いモノではないと思うけど……」
「……あ、そういえば祖母ちゃんに聞いたんですけど、“八尺様”は道祖神の囲いの『外』には出られないらしいです」
不意に放たれた吉継の言葉に、潮が顔を上げ、地図を見直してから、再び顔を上げる。
「……『外』ってどこ?」
「……まずは、道祖神ぜんぶの位置が分からないことには……」
「それじゃ、明日は道祖神マッピングから始めようか。二人の分の地図ももらってきてるから」
王蕗の提案で、今後の方針が決定した。