_アリエヌスの体外
「き、厳しい…傷はつくけどヒビすら入らない…」
「クソっ!硬い!!」
アリエヌスの目は凄まじい硬度だった。二人が任された潰れている方のアリエヌスが動いたり反撃しないのを良いことに、フスは少し休んだ。カメルスはというと悪態をつきながら一カ所に機関銃を撃ち続けている。
「…先輩の方はアリエヌスが動いてて大変そうだな…」
ユニシンクトゥスがレヴェリテルムを持って目に近づく様子をフスは眺めた。アリエヌスは鮮魚の如き動きで暴れてユニシンクトゥスを振り落とそうと必死になっている。
「うぅぅうわっ!!きた!おいフス、きたぞ!!」
カメルスの声に振り向くと、アリエヌスの目にヒビが入っているのが見えた。
「うわ、ほんとだ…!希望見えたな…!」
「おう!んじゃそろそろ休憩終わらせて協力してくんね?このままヒビ広げて押し切んぞ!」
フスは頷き、チェンソーを持ち直して、アリエヌスの目のヒビにねじ込むように突き立てた。
今日は何の日?何の日でもないよ。ただのくだらない日常。
昨日は何の日だった?何の日でもなかったよ。ただの虚しい日常だよ。
そう思っていたのは、遠い昔。
昨日の出来事は…。そんなに大きいのないな。くだらなかったんかな、虚しかったんかな。
でも、今日は、貴方に会ったの。
貴方のおかげで、真っ暗闇から抜け出せて、
貴方のおかげで、世界が美しいと思えて、
貴方のおかげで、あの人を、愛すことができたの。
貴方は教えてくれたよね、「世界は美しい」と、「愛は素晴らしい」と、「人間は誰もが尊い」と。
だから私も、誰かに教えてあげたいな。素晴らしいことだから。
今日は何の日?素晴らしい日だよ。
明日は何の日?素晴らしい日さ。
教えてあげるね。この世界は美しくて、人間は誰もが尊い。そして、「誰かを愛す」こと、「誰かに愛される」ことは、すごく、素晴らしいことなの。
帰り道。
ふと空を見上げると。
澄んでいて真っ青な空のなかに
影もありながら白く美しい雲がいくつか浮いている。
“ピチャッ”
…水たまりを踏んだらしい。
水たまりからそっと抜け出し、水たまりを見た。
あの綺麗な空が水たまりに映っている。
…でもコンクリのくぼみにできた水たまり。
少し暗い感じがする。
空も灰がかかった色をして、
雲には白が見当たらない。
もう一度空を見上げる。
空は変わらず綺麗。
澄んでいて真っ青な雲のなかに
影もありながら白く美しい雲がいくつか浮いている。
いつか私も水たまりの空から本物の空へ
変われますように。