見えないものを創って
世界が広がる。
目に見えなくても
誰かには届くだろう?
形のないパターンは
思ったより多様で
限りはきっとない。
私が創り出せば
それは唯一無二だ。
あなたの音を
届けてよ。
私が生んだものは
消えないで。
見えない糸を繕って
また器用に編みだしていく
ただ1つの
価値は最高の
私の歌だ。
いずれ誰かには届いて
あなたのもとにも聞こえてくる
そう信じてる。
この春、私は新世界へ飛び立つ。
人生の新章が始まる。
ずっと私を縛っていた過去のやらかした自分たちと周りの嫌な目という大きな鎖からやっと解放された。
私は、新しい世界へ新しい自分で向かう飛び立つ準備ができた。
もう嫌な周りの目からされたから
できなかったやりたかったこと、新たにやってみたいことに突き進むよ。
だからもう過去は過度に振り返らないし
自分らしく生きるよ。
自ら嫌な地獄周り空間から絶ちきって
新世界へ飛び立つよ。
少し寂しい気持ちもある
でもたった少しだけ。
けどやっと大嫌いな空間と嫌な鎖から解放されたから
解放感の方が大きい。
楽しみの方が大きい。
いいんだ。
じゃ私はもう行くね。
1人で。
もうこの世界から飛び立つね。
みんな周りとの別れに惜しむ中
私は嫌われものだから
黙って行っても気づかれないし。
じゃ、私はもう行くね。
新世界へと
人生の新章へと
希望と期待と楽しみを連れて。
なんとか蠢くアリエヌスにレヴェリテルムを突き立てようとするユニシンクトゥスの視界の端に、アリエヌスの口と思しき場所からすぽんと何か転がり出て落ちていった様子がうつった。
「……脱出したか……」
呟くユニシンクトゥスの遥か下方でブケファルスとカウダが転がっている。
「うぉーなんとかなったー!!あのアリエヌス絶対潰す!!」
「…酔った…背中痛いし…あーもう帰りたい…」
「んなこと言ってる場合かよ!!」
ブケファルスは気色ばんでカウダを小脇に抱えてユニシンクトゥスのところまで這い上がった。
「…無事か」
「まあ、なんとか…ですけど」
ブケファルスに抱えられたままカウダは微笑む。
不意に、形容し難い甲高い音が鳴り響いた。音の方を見ると、ぐったりと倒れ込むアリエヌスの目にレヴェリテルムを突き刺した状態で揃って耳を塞いでいるカメルスとフスがいる。どうやら耳障りなこの音はアリエヌスの目から鳴っているらしい。勢いよく空気が漏れ出ているようだ。
「……先に倒したか…」
呆然と見ていた3人の足元の揺れが収まった。さっきまで鮮魚の如き動きをしていたアリエヌスがぴたりとその動きを止めていた。
「よくわかんないけど…ダメージ負ってんのか?」
「というか何かしようとしてるんじゃない?」
「…曖昧だな…どちらにせよ今がチャンスだ…」
『おぉ済まんな中木』
「いいぇ、なにかあったんですか?」
迂回路はかなり正解だった、30分ほどで会社に戻れた。あとでこのSUVを洗車にでも連れてってやろうと思った。
会社に着くなり、私は会議室に来るよう言われ、数時間前のデジャヴのような感じがした。
本来私がいるべき場所ではない。私の地位は社内では上の方とは言え、次長。この社内で会社の重要なことを決める『本会議場』にいるはずがないのだ。
パンっ!
副社長の来栖が一つ手を叩く。
『今回、社長、専務、営業管理部長の三名をのぞいたみなさんに集まっていただきました。結論から言いますと、先の三名は来週書類送検される予定です。』
あまりに急すぎる、会議室がざわめき出した。
『緊急で先ほどここのメンバーでのグループLINEを作りました、そこに音声ファイルが共有されているはずです。』慌てて他の役員がスマホを取り出す。取り乱しているのだろう、普通は会議が終わった後に確認するはずだ。
ん?
なんだろうか、来栖が私に視線を送った。冷静だと思っていた自分が冷や汗をかいていたことには、そこで初めて気がついた。
走馬灯のようにめぐる思考。払い切れていないローンに、会社の規模からに起こる明らかなイメージ低下、それによる減給。転職か?それしかないだろ。どこに転職か?妻にはなんと言えば良い?
とりあえず、この会議、嫌な予感がする。私の転職を許さない何か、また、これからの現実を押し付けられら何か。