この春、私は新世界へ飛び立つ。
人生の新章が始まる。
ずっと私を縛っていた過去のやらかした自分たちと周りの嫌な目という大きな鎖からやっと解放された。
私は、新しい世界へ新しい自分で向かう飛び立つ準備ができた。
もう嫌な周りの目からされたから
できなかったやりたかったこと、新たにやってみたいことに突き進むよ。
だからもう過去は過度に振り返らないし
自分らしく生きるよ。
自ら嫌な地獄周り空間から絶ちきって
新世界へ飛び立つよ。
少し寂しい気持ちもある
でもたった少しだけ。
けどやっと大嫌いな空間と嫌な鎖から解放されたから
解放感の方が大きい。
楽しみの方が大きい。
いいんだ。
じゃ私はもう行くね。
1人で。
もうこの世界から飛び立つね。
みんな周りとの別れに惜しむ中
私は嫌われものだから
黙って行っても気づかれないし。
じゃ、私はもう行くね。
新世界へと
人生の新章へと
希望と期待と楽しみを連れて。
この時期になると、少し寂しいようなひりひりと新しい何かが始まろうとするわくわくが入り混じった気持ちになる。
体育館から卒業式の歌の練習が聞こえると、もうそんな時期なのかと思う。
授業で最後の単元が終わっていく、この感じ
ロッカーの中の教科書を大量に持ち帰る、このリュックの重さ
全部、全部、さみしさをまとっている。
新しい教科書が配られると、頑張るぞと、気持ちまで新しくなる。この気持ちは新しい学期が始まって慣れていくとだんだん薄れていく気がする。私はこの気持ちを忘れたくないなぁと思う。
春は気持ちを新しいページに変えてくれるから、前のページが懐かしくなって寂しくなったりもする季節だ。
今年の春はどんな気持ちを運んでくれるだろうか。
「じゃあどうやって行くの?」
「それは…電車で終点まで⁇」
キヲンに聞かれてそう答えたピスケスは、自らの保護者の方を見る。
歳乃は遠いよ、と人工精霊たちをじっと見た。
「でも行くしかないよね!」
ねーかすみ!とキヲンは隣に立つかすみに尋ねる。
かすみはうんと頷く。
「やっぱり、ナツィに聞きたいことが色々あるから」
だから、行こう!とかすみはピスケスや露夏を見た。
「…それなら、行くしかないわね」
そうでしょう、露夏?とピスケスは露夏の方を見ると、露夏はわかってるさと頭を掻く。
「かすみやきーちゃんがそう言うんなら、おれはついてくぜ」
露夏のその答えを聞いて、かすみはありがとうと微笑む。
そして人工精霊たちは部屋の出入り口へと向かった。
部屋に一人取り残された歳乃はそんな人工精霊たちの背中を静かに見送ると、ポツリとこう呟く。
「いい仲間に恵まれてるじゃない」
あの子も、と歳乃は言って、目の前の“監視システム”の電源を落とした。
「“結界”っていうのは、“学会”が“日本支部”のあるこの街を外敵から防衛するために長い年月をかけて構築したものなんだが…こんな風に、“結界”の構成術式を流れる魔力や“結界”内外の魔力の動きや変化によって、強力なものであれば特定の精霊を探すことだって可能だ」
ほら、と歳乃はマウスを操作して、パネルの隅の方を拡大する。
するとそこには強く輝く光の点が表示されており、その上には“Nachzherer”と書かれていた。
「えーと、これは…」
「アンタたちが探しているナハツェーラーの魔力反応だな」
あの子の魔力は“学会”の“監視システム”に登録してあるから、とかすみの質問に対し歳乃は淡々と答えた。
「ってことはナツィはここにいるんだね!」
早く探しに行かなきゃ!とキヲンははしゃぐ。
しかし、ちょっと待て、と露夏がキヲンは諫めた。
「この場所…だいぶ遠くねぇか?」
随分と海の方みたいだぞ、と露夏はパネルを睨む。
「確かに、この街の“結界”の一番外側の部分からギリギリ出ない辺りってところかしら」
ピスケスもそう頷く。
此処に帰って
3つ数えるうちに
眠るような貴方は
背を伸ばしすぎてる
でもいつも平気な顔して
笑っている貴方が嫌い
私の近くでは
そのままの貴方で居てよ
見ている私が嫌いになりそう
私の近くでは
本当を汚さないでよ
いつか
きっと
ずっと
もっと
貴方が側に来て欲しい。
せめて
どうか
今は
ちょっと
私の前では弱く居て欲しい。
私を見つけて
3つ数えるうちに
泣き出すような貴方は
頑張りすぎてる
でもいつもの笑顔をして
蓋をする貴方が嫌い
私の側では
貴方のありのままを見せてよ。
そうさせられない自分が嫌になりそう
私の側では
嘘をつかないでよ
いつも
ずっと
そばに
いるよ
って言えたらどれだけ楽なんだろう。
せめて
ちょっと
もっと
そばで
貴方を抱きしめてあげたい。
何故泣くの?
わからないよと
小さく包まる貴方は
何を抱えて生きているの?
何かを少しでも分けてよ。
いつも
ずっと
そばに
いれたら
泣くことなんてなかったんだろう。
いつか
絶対
私の
そばで
全部を投げ出していい様に
貴方の愛おしいものは
全て守ってあげるよ
貴方がエメラルドに輝く日まで。
全ては貴方と違う世界じゃない。
月の光がいつか貴方に微笑みかける様に。
かすみとキヲンがピスケスに直談判した結果、2人はナツィを探せることになった。
しかしピスケスが、その前に一旦準備ね、と言って仲間たちを連れて保護者の歳乃とともに“学会”本部の地下へ向かう。
かすみやキヲンは不思議に思ったが、そのままついていくことにした。
「…ここは?」
“学会”本部の地下3階、この敷地を普段使っている大学の学生や普通の教職員、そしてかすみやキヲンのような人工精霊たちも知らないようなフロアの奥にある扉の向こうで、かすみはポツリと呟く。
わずかな明かりしかないその部屋には、大きなパネルとパソコンのキーボードのようなものとマウス、そしていくつもの電子機器のパーツらしきものが繋がったマシンが鎮座していた。
「“学会”がこの街に張り巡らした“結界”の監視システムって奴だよ」
キーボードの横にあるカードリーダーの溝に“学会”の構成員であることを示すカードを通しつつ、歳乃が返す。
すると大きなパネルに無数の幾何学模様らしき線と光の点が浮かび上がった。
あるところに、不器用な生き物がいました。
それはそれは、小さなことで傷つく 脆い心でした
誰かの顔色をうかがっては、自分の色を塗りつぶして
おやおや、また泣いていますね
今日も誰かのために笑っているのでしょうか
隣の芝生が 青く見えているのでしょうね
心が空っぽな時は、愛を探している証なのでしょう。
今日もヒトは、人を演じているのでしょう。
また、あるところに欲張りな生き物がいました。
それはそれは、手放すことができない 臆病な手でした。
それは、「失いたくない」という、
愛ゆえの 愚かさなのでしょうね。
人はそれでも、明日を信じて眠りにつく
絶望の淵でさえ、希望という種を植える。
今日も、人は命を繋いでいくのでしょうか
痛みを知るたびに 優しくなれるのでしょうね
重いまぶたを開けた時は、世界が始まろうとしているのでしょう
あぁ、なんて美しい物語なのでしょう
腕時計は時計は10:30を指していた。
『朝は涼しかったのに、急に暑いですね。』
私は、銀座の取引先の会社の最寄りの駐車場にSUVを停め、久々のダッシュで来た。
ブレザーを脱いで鞄に仕舞うと、取引相手の部下らしき人が、ペットボトルのお茶を置いた。
「もう、ほんと参っちゃいますよ。」
それっぽく私は、口角を上げた。
『失礼します。』1つ会釈をして部屋を出た。
「あ、どうも!すみませんお待たせして。」
私は取引相手が入室し慌てて立ち上がり会釈をした。
『あぁいいよそんな、まぁ疲れたでしょ。エアコン付けるよ。』
「あぁ…」反応に困る。
「すみませんほんと。」
この手、相手のご厚意に甘えたいところだが、私は素直に育てられたゆえ、これからの罪悪感に耐性がない。
…
『あぁ、いいじゃん、こっちでも考えておくよ。』
「あぁ、ホントですか?!ありがとうございます。」
契約は順調。と、いったところだろうか。私は午前の仕事を終え、近くのコンビニに向かった。
交差点、信号をを待っていると、突然電話がかかってきた。
『あ、もしもし中木君?』
「はい、何かありましたか?」
『あ、いや急ぎでこっち戻ってきてほしい、まじで緊急。』
何があったかはよくわからないが、とりあえず私はSUVを走らせ、迂回路を通り会社に向かった。
「…それなら、探しに行きましょうか」
“黒い蝶”を、と言ってピスケスはソファーから立ち上がる。
キヲンとかすみは顔を見合わせて、嬉しそうな顔をした。
「でも、そのためには歳乃に手伝ってもらわないとね」
ピスケスはそう言って部屋の奥の椅子に座る歳乃に目を向ける。
歳乃は眺めていた書類を机の上に置いて1つため息をついた。
「ナハツェーラーはそう簡単に見つからないと思うよ」
ただし、と歳乃は続ける。
「“学会”の結界システムを使えば話は別だけど」
歳乃がそう言うと、キヲンはやったね!とかすみに笑いかけ、かすみはうんと頷いた。
ピスケスはそれを聞いて、じゃあ行きましょうかと言って部屋の扉の方へ向かおうとするが、相変わらずソファーに座って不満げな顔をしている露夏に対し行くわよ、と声をかける。
露夏は少しの沈黙ののち、へいへいと返して立ち上がった。
朝、学校に行く時、いつもとは違う道を通ってみた。人通りが少なくて落ち着く。その道は空がよくきれいに見える。青空を見上げて、深呼吸をする。今日が始まる匂いがして、なんでもできそうな、そんな気持ちになる。この瞬間が、私は大好きだ。
あなたに会う理由をいつも探してる
あなたと話す口実をいつも探してる
何も気にしなくていいはずなのに
私ばっかり意識して
電話とかLINEしようって思うけど
指が動かない
声聞きたいよ
なのに怖くて
嫌われるのとか
引かれるのとか
バレちゃうのとか
怖くて
動けない
分かんないよね
きっと分かんない
みんなにも
あなたにも
「アイツはそういう肝心なことを言わないし…」
「ピスケスは知らないの?」
「一応知っているけど…こういうのはアイツに直に聞いた方がいいかもね」
ピスケスはポツリと呟く。
その言葉にキヲンは目を輝かせた。
「じゃあ、ナツィのこと探してくれるの⁈」
「まだ言ってないわよ」
ピスケスは少し微笑む。
「確かにアイツの発言は、あなたたちにとって引っかかるものがあるでしょうね」
そこの露夏も引っかかってるみたいだし、とピスケスは隣の露夏に目を向ける。
露夏はちらとピスケスに目を向けて、また目を逸らした。
夏は早く長く、アブラゼミはしぶとく生きている。おそらく蝉の寿命が一週間だなんて嘘だと思う。猛暑、猛暑、猛暑…。三寒四温からの真冬日からの春後半、初夏の気温は当たり前だ。まるで今が夏みたいな言いぶりだが間違えない春だ。今言ったのは忘れてほしい、去年の話だ。
変な気温は、頭でわかっていても体は追いつかないみたいだ。
「あれ、沢本は?」
「風引いたって、なんかあれだよ、寒暖差アレルギーか。」
ふーん。
現代人は働き過ぎだ。
「あ、じゃぁ銀座の方まで行ってきます。」
おぅ、と一言言われ、資料だけ取ってすぐさま私は駐車場に戻った。初任給と貯めてきたバイト代で5年前に買ったSUV。ラジオは今日の渋滞情報を流す。
午前8:25分
ー海老名IC付近を先頭に上りに10kmの渋滞………ー
今日は三連休の月曜日。皆は帰宅ラッシュとやら私とは無縁の物にまんまとはまっている。
「まじか…」
一部が高速から時間短縮のために一般道に流れたらしい、少し混んでいる。
……………
完全に止まってしまった。私は今日の契約先と、会社に事態を知らせ1時間ほどの遅れを許してくれた。なんと心の広い。
周りをチラチラしていると車窓の向こうの車窓の向こうから手を振る人がいた
「あ、!さか…」気づいて窓を開ける
「酒井さんじゃないですか!」
『久しぶりだね』
学生時代のバイト先の店長である。
「混んでますねぇ。」一拍置いて酒井は懐から一本のタバコを取り出す『まぁ仕方ないよ。』足を組んで答えた。「酒井店長、タバコ変えたんですね。」ようやくこっちを見た。『あぁまぁ、あんまりうまくないけど、ニコチンとか少ないヤツにしてね、まぁいつかは、タバコを辞めたいな。こんな調子じゃ無理そうだけどな笑。』私は愛想笑いをする。
車が流れ出し、私は会釈をして窓を閉じようとした。
『あ!中木!』
「なんですか?。」すっと酒井は私を指さした。『今を生きろよ、じゃ元気にやれよ。』
「酒井さんこそお元気で。」
こんどこそ窓を閉め、アクセルを踏んだ。
大したものである。
夢を捨ててもなお現実に生きることはしない。反面教師というものだろうか。しかし、それは何も知らないからこそ出た単語であり、私たちにはそれを言う権利すらないのである。
犬が猫の子に文句を言おうと、猫の子には猫の子の理屈があるのは当たり前であり、言わずとも皆わかる。
現実、人間は戦争だの何だの同族嫌悪しているクセに、その応用が効かない生物だ。
「報われてほしい」って 何回思ったかな
言ってみるだけじゃ 意味はないんだよ
やってみなけりゃ 時は動かない
そんな事を考えながら 思いにふける夜
「ねぇ、また今日も独りなの?」そんな事しっていたよ 夜の祈り
また 忘れないんだろうな 覚えて いって ほしんだ
「報われてほしい」って 何回思ったかな
やってみることに 意味があるんだよ
その決意こそが 今日を動かせる
そんなことを歌いながら 進んでいける夜
残光が私にさよならを告げ
また明日会えるといい
消えそうになる。
今日は今日だけなのに
もう同じ貴方には会えないのに。
また今日も繰り返した
昨日と同じ時間を
月は昇り始め、
遠い何処かで沈み始める
太陽とは紙一重。
ブルーモーメントに染まりきった空に
煌めいて見えるのは
きっと過去の希望
まだ信じられない貴方を
いつか思い出す日が来るでしょう。
一人でいる夜に
呑まれてしまわないように
未来に縋り付いて
じっと耐え抜けば
あの隙間から抜けてくる
いつかの香りに誘われてしまうんだろう。
群青が貴方にフラッシュバックして
まだ忘れないでといい
過ぎ去っていく。
過去も過去だけで
もう二度と蘇らないのに。
また今日も繰り返した
昨日と同じ失敗を
雲は暗くなり始め
遠い何処かで崩れていく
星とは無関係。
ブルーモーメントの忘れない想い出に
隠れていくのは
きっと過去の自分
また悔やんでいる貴方を
いつか思い出す日が来るでしょう。
誰かと居られる夜に
呑み込まれても帰れるように
未来を思い出して
ずっと待っていれば
あの窓から見える
懐かしさを覚えていくでしょう。
一人でいる貴方を
一番わかっているのは
きっと私だと思うの
生きていく運命(さだめ)には
別れがつきもの
暗闇に吸い込まれそうになったら
また思い出しに来ればいい
ブルーモーメントと私の逆境に
見つけられるのは
貴方に向けた花
また泣いている貴方を
いつか慰めに行けるのだろう。
全てを思い出す夜に
嘆いても立ちあがれるように
今を愛そうと
そう決めて居れば
何処かに残る
未来を掴めるでしょう。
貴方の中の愛しいものに
私が居るといいなと思う
何かに恋するような
夕暮れを迎えて
そしてまた一人を知り
空を見上げれば
光る星が貴方を抱きしめてくれるから。
「…あら、そんなに驚く?」
「いや、初めて聞いたから…」
ピスケスは笑顔で聞き返すが、キヲンは思わず苦笑いした。
それに対しピスケスは、まぁそんなものよと続ける。
「私は明らかに弱い存在は守って当然だと思ってるけど、どう考えても強い者は守らなくてもいいと思ってるの」
だからあなたたちによくしてる、とピスケスはティーカップに口をつける。
その言葉にキヲンは言葉を失うが、ここでかすみが…でも、と呟いた。
「それじゃナツィは守らなくてもいいってことになるけど…」
「あら、そういうことになっちゃうわね」
かすみの指摘にピスケスはふふっと笑う。
「それでも私は歳乃に言われてアイツと連んでたの」
だから上層部からの命令がない限り、動けないとピスケスはティーカップをテーブルの上に置いた。
少しの間その場に沈黙が流れる。
「…ねぇ、ピスケス」
不意にかすみが呟いたので、ピスケスがそちらの方に目を向ける。
「やっぱり、ナツィのこと、探せない?」
「随分しぶといわね」
「やっぱり気になるんだ」
ナツィが、自分たちと“仲良くしたくない”って言ってた理由を、知りたくて…とかすみは自信なさげに俯く。
ピスケスは…そうねぇ、と顎に手を当てる。
誰かのたったひと言で
人生観が変わるとき
救われるとき
ありますよね
あなたが言った何気ないひと言に
心を打たれ、涙が流れて
救われました
その時の事、私は今でも覚えてます
ありがとう(*^^*)
出会いもあれば別れもある。
今の私にはしんどい。別れのために人生あるような感じというか、うまく言えない。なんか涙が出てきます。
「じゃ、じゃあ、ピスケスがボクたちと一緒にいるのは…」
「強力な人工精霊であるナハツェーラーが、“学会”に反抗したり、敵対組織に攫われたりしないように見守るため、ってところかしら」
驚くキヲンに対し、ピスケスはそう言い切った。
その言葉に、キヲンとその隣に座るかすみは目をぱちくりさせる。
その様子を見て、ピスケスはそんなに驚くことじゃないわと2人に笑いかけた。
「魔術師たちの集まりであるこの組織…“学会”は、一般人に秘匿されている魔術で無関係の人を傷つけないために結成されたものなの」
だから、強力な人工精霊が“学会”関係の魔術師のところにいるとなれば、見張っておかなきゃいけないとピスケスは部屋の窓際の席で書類を眺めている自らの保護者…歳乃の方を見やる。
「だから私はアイツに近づいた」
ピスケスはそう言って、テーブルの上のティーカップを手に取った。
「そ、それじゃ、ピスケスがボクたちによくしてくれるのって…」
「あぁ、それはきーちゃんやかすみがナハツェーラーや露夏と違って弱い存在だからよ」
「えっ」
自らの質問をさらりと答えるピスケスに対し、キヲンはポカンとする。
かすみも少し驚くが、露夏は真顔のままだ。
ウッドの香りに惹き寄せられながら
あなたを想う今日この頃
あっ、今ポテトチップを食べてます
将棋で負けた。
悔しかった。
テクニックだけじゃ勝てない相手もいると
教わった。
「一緒にいるメンツに対してあんなこと言う奴なんか、探す価値もない」
「えーそんな〜」
ヒドいよ露夏ちゃーん、とキヲンは口を尖らせる。
しかし露夏は、別にとそっぽを向く。
「おれは年下にあんなヒドいことを言える奴が嫌いなだけだよ」
だからもうどうでもいい、と露夏は不満げな顔をした。
「…ま、そういう訳で、アイツの捜索には協力できないわ」
ごめんなさいね、とピスケスは微笑む。
キヲンは少し落胆するが、すぐに顔を上げて、でもと続ける。
「ナツィがいないと寂しいよ?」
「きーちゃんたちにとっては、そうかもしれないわね」
「ピスケスたちは寂しくないの?」
「それを言われると困るわ」
ピスケスは苦笑する。
「私は、“学会”上層部からの指示でアイツと連んでいただけなの」
だからきーちゃんみたいにアイツに好意なんて抱いてないのよ?とピスケスは小首を傾げる。
「そうなの?」
「そうなのよ」
アイツが今の保護者の元に引き取られて、この街にやって来たことを“学会”が探知してから、私は“学会”幹部である歳乃に言われてアイツを監視している訳、とピスケスは続ける。
今日も一日お疲れ様です。
あなたは皆の知らないところで困ってる人を助けてるね。私は気付いてるよ。的確なアドバイスや気遣い、周りを癒す優しさは隠しきれないあなたの滲み出る魅力です。
なんだか温かいね。あなたを見ているとホカホカするよ(●´꒳ `●)**
そういう訳で、かすみとキヲンはナツィを探しに行くことになった。
しかしめぼしいところはあらかた確認したし、ナツィの家にも帰ってきていないという話は聞いていたのでどこも探しようがない。
それでもキヲンはナツィを見つけたいので、とりあえず協力を仰ぎにキヲンとかすみはピスケスがたびたびいる“学会”の拠点のある大学へと向かった。
「…ナハツェーラーを探しに行きたい、ねぇ」
「うん!」
だから手伝ってピスケス!と“学会”の日本支部がある大学の、レンガ造りの建物の片隅にある小部屋で、ソファーに座ったキヲンが目の前のローテーブルの向こうのソファーに座るピスケスに頼む。
ティーカップに入った紅茶を飲みつつキヲンの話を聞いていたピスケスは、そうねぇ…と右手に持つティーカップをローテーブルに置いた。
「確かのアイツがいないと寂しいけど、でも当人が構うなと言うのなら放っておいた方がいいんじゃないかしら」
ねぇ?とピスケスが右隣に目を向けると、ソファーの肘置きに頬杖をついている露夏が、そうだなと答える。
見る度に
うんざりするけど
嫌いじゃないの。
またこの空間に閉じ込められるのが
私を壁の花にする。
私は私で居たいけど
また固まっていく私が
今日も鏡に映ってる
見たくない。
行きたくない。
行くしかない。
「これが今日の私だ」と
言い聞かせて。
「ナツィがいそうなところを探してもいないし、家にも帰ってないっていうし…」
どこへ行ったのか全然わかんないんだよ?とかすみは返す。
それに対しキヲンは、でもとテーブルに身を乗り出す。
「ナツィがいないと寂しいし、そもそもかすみの元気がないもん」
だから、探そ?とキヲンは首を傾げた。
かすみはでも…と言いかけるが、キヲンはそれを遮るようにかすみ、と声を上げる。
「かすみはナツィのこと好きなんでしょ?」
「!」
かすみは少しハッとする。
「あれ、好きじゃないの?」
「えっ、いや、嫌いではないけど、でも、なんか…」
キヲンに聞かれてかすみはおろおろし始めた。
「ナツィが自分のこと好いてくれてるから、自分もそれなりに返してるだけで…」
実際どうと言われると…とかすみは困惑する。
キヲンはその様子を見て不思議そうな顔をしたが、とにかくさと椅子から立ち上がった。
「ナツィのこと、探しに行こ?」
ボクも好き好き〜なナツィに会えないの嫌だし、とテーブルの横をキヲンは通る。
「とりあえず、ピスケスや露夏ちゃんに手伝ってもらお?」
ナツィが好きかどうか考えるのはあと!とキヲンは椅子に座るかすみに手を差し伸べた。
かすみは驚いたような顔を少ししたが、キヲンが促すように笑っているので断り切れずにその手を取った。
秋に咲く金木犀
その名のとおりオレンジと黄色が混ざった金色の花が
咲いているのだ。秋に
風に乗られて、甘い香りが漂っている。
だがしかし、花というものは寿命が短い。
だからすぐに、消えてしまう枯れてしまう。
金木犀もそう。
甘い香りが漂わなくなる頃
それは、寿命を終えるといえる
1ヶ月くらいかな
それは、冬のスタートラインに立ったという合図。
今年も玄関出てすぐ前にある金木犀は
もう寿命を迎えてしまったようだ。
眠りについてしまった金木犀たちが
大好きな居場所のまわりに残っている。
また、次の世代が来年咲き誇るのか
短いながらたくさんの生き物をひきつかせた
金木犀は誇らしいことだろう
短い寿命の金木犀は
今年も惜しまれつつ幕を閉じてしまった。
また来年次の世代が咲き誇ることを願って。
宙に舞った僕たちは
星という光をつかもうとしていた…
20xx年のある日、僕たちはいつの間にか
宙に舞っていた。
すべてから解放された感覚や驚きを感じていた。
今は、壮大な星空が広がる世界に僕たちはいる。
数々の星たちが本当に綺麗だった。
まるで歓迎しているかのように
宙に舞った僕たちは、星空を見つめ考えた。
いや考えるではない感じていた。
この世界は'広い!'
無限に道が広がっている。
そして数々の星たちもあちこちに、
この星たちは、まるで僕たちの可能性、希望を表しているようだった。
僕たちは、壮大な世界で
たくさんの星光(ヒカリ)を見つけた。
それは、僕たちの未来像そのもののようだった。
そして宙に舞った僕たちは
また、星光(ヒカリ)にたどりつくまで
舞い始めた。いや走り飛び始めた。
宙よりはるか彼方へと。
Are you HAPPY MOOD?
Yes!I'm HAPPY MOOD!!
この世界に舞い降りて15年
去年のUNhappyを乗り越えて
I'm HAPPY MOOD now!!
and 前へ歩いている。