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満月の夜

満月はかつて望月と呼ばれた
読んで字のごとく、誰もがその満たされた姿を望んでいた。
しかしいつしかこの名前は衰退していく。
どうして?
満たされることは無くなり
“望み”から“夢”へと変わっていったからだ。

満たされない現代人は
満月に沢山の名前を付け
見上げ、その姿に夢を見る。

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復讐代行〜第9話 始動〜

屋上に取り残された俺、もとい私は
その場に座り込み、数秒考えた。
“さてと…目立つって言ってもどうするか…”
あれこれと案は出て来るがどれも『いじめ』を連想するものばかりで想像するだけで吐き気がしてしまった。
「ひとまず、髪でも振り乱して遅れて行けば御の字だろ」
そう言ってゆっくりと腰を上げ歩き出した。
その頃教室では
「おい、青路、どこ行ってたんだよ」
「悪いな、少し朝から体調が悪くて屋上で休んでた」
屋上から来たことを見られていても大丈夫な嘘をつく
「あれ?屋上ってことは青路、あの陰キャにも会ったのか」
「え?あぁ闇子ちゃんか、うん、会ったよ」
隠せと言われたがここでわざとらしい嘘をつく方が疑われる気がして普通に答えた。
「朝のことといい、青路、あの時何があったんだ?」
「んー、秘密かな」
今度はわざとらしく誤魔化した。
たとえどんなに小さなことであってもあの場でのことを知られる訳にはいかなかった。
「かなって…お前そんなキャラじゃないだろ」
「可愛く誤魔化したって無駄だからな!」
そう言いながらも2人とも笑っていた。
「ほら、授業始めるぞ」
教師が入ってくる。当然闇子はまだ教室にはいない。
「あれ?青路、あの陰キャとあってたんだろ?まだ来てなくね?」
「青路、まさかお前…」
2人は予想以上にあっさりと
『桐谷青路が喪黒闇子に何かをした』
というイメージを浮かべてくれた。
しかも幸いなのは私がまだ何もしていないことだ。
「そんなに酷くはしなかったつもりなんだけどなぁ」
ここでもわざとらしくそのイメージに乗ってやる。
しかし今回はみんな信じるだろう。
これでいい、計画は怖いほどスムーズだ。

to be continued…

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心臓が無くなったかと思ひ候

「生まれ変わったら何になりたい?」
『何でもいいけど君には会いたいかな』

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空の青さを知る君は明日海へ行く

M市基地男子寮のとある一室
隼斗は先程から隣でずっと机に顔を埋めたまま、1ミリも動かないルームメイトをあっけに取られながら見ていた。
事の顛末は簡単に言えばこうである。隼斗が部屋の自分のベットで寝ていると、ルームメイトである優樹が帰ってきたのだが…。どこかいつもと様子が違う。なぜなら、いつも誰よりも冷静沈着でほとんど無表情、無感情なあの優樹が若干頬を赤らめ、かつ微笑みながら、帰ってきたのである。それも、束の間、一瞬で無表情に戻り、そのまま机に突っ伏した。彼をこんなにも動揺させているものは一体なんなのか、隼人はただただ、気になるばかりだが、あいにく本人は微動だにせず、早30分が経った。個人の事情を探るのはあまりしたくはないが、長年、苦楽を共にしてきた仲間として、優樹をこんなにも動揺させているものが気になった隼斗は意を決して声をかけることにした。
「なぁ、優樹、あのさ、ちょっと、聞きたいことが…」
「隼斗〜!!助けてくれ〜!!」
「うん!?」
優樹に抱きつかれるままに、勢いで激しい音ともに隼斗は床にぶっ倒れたのであった。

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空の青さを知る君は明日海へ行く

彼はサッと屈み舞の顔を心配そうに覗き込んだ。
「大丈夫ですか?何かあったのですか?」
舞はごまかしにならないと思いつつ下を向きながら横に首を振った。舞はさらに何か聞かれるのかと身構えたが、彼は意外にもあっさりと「そうですか。今日は熱中症注意警報が出ているようなので、お気をつけ下さい。」と言うなり、足早に去っていった。
淡々として、大人ぽいのに、どこか寂しそうな後ろ姿に舞はどこか胸が締め付けられる感覚と同時に心臓が高鳴る感覚がした。

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ある人の帰路

踏切に足を止められていると、ふと、目の前の少女に惹き付けられた。手提げの通学バックをリュックのように背負い、ヘッドフォンをした、ストレートボブの女子高生である。ただそれだけなのに、なぜこんなにも惹き付けられるのか。踏切が上がり、少女は歩き出した。スマホを操作し、彼女のイメージに合った曲をかける。もう少し彼女を見ていたい。少し遠回りして帰ることにする。ヘッドフォンをしているからであろうか。いや、そうじゃない。彼女を構成する、すべてが惹き付けるのだ。少女が一瞬振り返り、顔が見えそうになる。いいや、君は、振り返らなくていいんだ。その後ろ姿から想像するのが楽しいのだから。今度は、にわかに少女が足を止める。バス停だった。完璧だ。ここに、1枚の絵画が誕生した。手提げの通学バックをリュックのように背負い、ヘッドフォンをした、ストレートボブの女子高生が、バス停でバスを待つ。なんと美しいんだ。感嘆のため息がもれる。しかし残念なことに、ここで彼女とはお別れだ。怪しまれぬよう彼女を横目に見ながら通り過ぎる。とてもいい時間を過ごさせてもらった。礼を言うよ。
いつの間にか、彼女をイメージしてかけた曲は終わっていた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 10.ウロボロス ①

寿々谷駅前の商店街の裏は、少々不思議な雰囲気を纏っている。
というのも、表通りと違って変わった店や建物がひしめいているのだ。
…正直、慣れている人でないと歩きにくい。
人通りが少ない事もあり、そこはわたし達コドモの溜まり場ともなっている。
もちろん、そこには常人じゃない人間も多く存在するが。
…だから裏路地は独特の雰囲気を持っているのかもしれない。
そしてわたしは今、”彼ら”と一緒に商店街の裏路地にいた。
「ねぇ」
わたしは何か写真を持った小柄な少女に話しかけた。
「…それ、何?」
あーコレ?と少女ことネロは答える。
「今回のターゲットの写真だよ」
ターゲット?とわたしは思わず聞き返す。
「あ、ターゲットってのはな」
わたしの様子を見て、ネロの隣にいる耀平が説明し始める。
「異能力を使っている所を見られたから、見た人の記憶を消して欲しいっていう依頼がネロの所によく来るんだけど、そのターゲット」
つまりこの写真の人は異能力を使っている所を見てしまった一般人だな、と師郎が言い換える。

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空の青さを知る君は明日海へ行く

舞には、かつて大学生の兄がいた。とても、優しくて大好きだった。でも、舞が小学生の時、ちょうど戦争が始まった年だった。両親が共働きで家ではいつも1人だった舞にとって兄はとても大切な存在だった。でも、ある時兄の元に真っ白な封筒が来てそのまま帰ってくることはなかった。そんなことを思い出したせいか、ぽつりと涙がこぼれた。幸い周りに人はいない。舞は小走りに近くの公園に駆け込みベンチに崩れるように座った。ここは、昔、兄とよく遊んだ公園だった。小学生になってからはゆっちとも遊んでいた。そう、ゆっちとも…。
放課後、帰る前に下駄箱で突然ゆっちからもう会えないことを告げられた。最初は、ただの転校だと思った。でも、答えは違った。
「ごめんね、舞、うち、親がこの前の空襲で死んじゃって…その…軍学校行くことになったの。」
軍学校。正式名称は忘れたけど、舞の住むM市には日本最大級の基地がある。その中に学校があることを聞いたことがある。そこは、児童養護施設も兼ねられている。だから、基本的になんらかの理由で親がいない子が通っているらしい。でも、自分の意思で一般校から転校してくる人もたまにいるらしいことを風の噂で聞いたことがある。でも、そんなことは舞にとってどうでもいい。これまでもこれからも関わることなんてないし、それに、通っているのは、どうせ命知らずの人しかいない…と思っていた。あの人と出会う前までは。
夏の公園は、珍しく誰もいなかった。だから、周りは蝉の声とたまに微かに吹く風の音だけだった。舞はしばらく涙がとまらなかった。何度か抑えようとしたけど蝉の声がいっそう心をかき乱した。
どれくらい泣いていたのだろう。暑さと泣いた時の疲れで頭がぼーっとし始めた時、ふと目の前に影が出来た。何事かと驚いて顔を上げると、背の高い高校生くらいの男性が立っていた。格好から軍学校の人だと一瞬で分かった。男性は舞の目の前に買ったばかりであろう水のペットボトルを差し出した。そして、淡々とした、でもどこか柔らかい雰囲気で口を開いた。
「突然、申し訳ございません。どこか体調が優れないように見受けられたので、声をかけてしまいました。良かったこれお飲みください。では」
「あ、ありがとうございます…」
舞はお礼を言おうと、立ちかけてまた涙がこぼれて慌てて手で顔を隠した。でも、相手はそれを見逃さなかったようだ。

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僕の創作っ子

気弱に笑う君 僕にとてもよく似ている
そりゃそうさ
君は「僕自身」を投影した者なんだから
君と一緒にいると とても心が落ち着くよ

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好きな子ほどいじめたくなる

強いあなたが好きだから

あなたならこの程度の逆境、越えてくれると信じているから

ボロボロになりながら戦い続けるあなたの輝きを、もっと私に見せておくれ。