そうして、キヲンは路地裏で出会った謎の人工精霊と共に商店街の方を目指し始めた。
その最中に、2人は色々な話をした。
「へぇ、アンタ、ここの動物園に行ったのか」
「うん、すごかったよ!」
人工精霊の言葉にキヲンは飛び跳ねつつ答える。
「キミは行ったことある?」
「うち? 行ったことないなぁ」
キヲンの質問に対し、人工精霊は上を見つつ呟いた。
「実はあたし、この街に来てから日が浅いから、意外とこの街のことよく分かってないんだ」
人工精霊がそう言うと、キヲンはふーんと頷く。
人工精霊は続けた。
「それにうちはそんなに自由に動ける身でもないから…」
その言葉にキヲンはどういうこと?と目をぱちくりさせる。
人工精霊はキヲンの方を見やって、あぁそれは…と言いかける。
しかしここでトゥイーディア?と2人の後方から声が聞こえた。
2人が振り向くと、そこにはサイバー風ファッションのジャケットを羽織りフードを目深に被った誰かが立っていた。
傷があるということは
誰かの盾になっているということ。
こんなに強いあなたを私は心から尊敬致します
あなたに問いかけた。眠そうだね。と
「うん」と頷くあなた。
数分後、あなたがゴロンと横になっていた。
私は「今日はゆっくりと休んでくださいね」と言い彼の傍にいた。
君が笑うに値する
僕のジョークが陰になる
目に入っても困らない
どうにでもなる夜の群れ
トキオ 極めてラビリンス
君が崩してるバランス
今夜僕らが何者かに
該当するとして
それが希望の名前では
なかったとして
僕と君とで笑えるかい?
それなら良い
「…ねぇ、よかったらでいいんだけどさ」
キヲンは不意に相手に尋ねる。
相手はなんだ?と聞き返す。
「ボクのこと、大通りまで案内してくれないかな?」
「…は⁇」
キヲンの言葉に相手は素っ頓狂な声を上げる。
「なんでうちがアンタに付き添わなきゃいけないんだ」
「あ、嫌ならいいんだよ、嫌なら」
でもボク1人で大通りに出られる自信がなくて…とキヲンは恥ずかしげに頭を掻く。
相手は少しの間考えるように黙り込んでいたが、やがていいよと返した。
キヲンはその返事にホント?と聞き返す。
「あぁ」
まぁこの辺りの地理には詳しいしなと相手は頷く。
「それにこの辺りは“商会”のナワバリだから、明らかな部外者のアンタが1人でうろちょろするのは危ないし」
うちが付いていた方がいいかもしれない、と相手は呟く。
キヲンはその言葉に引っかかりを覚えたが、まぁいっかと思い、ありがとう!と返した。
ここは九州最大の鉄道駅にして陸海空の交通機関のターミナルに直結する博多駅。
職場の企画旅行でオーストラリアを目指していたのだが国際情勢の変化により日本への帰国を余儀なくされ、帯同してくれていた新妻を労うために彼女の故郷・福岡県春日市に行こうとしたが公共交通の最終便に間に合わない関係で小倉に泊まっていた。
そして実際に泊まってホテルの朝食を食べて九州も同じ日本と言えど出汁や醤油、味噌といった調味料をはじめ故郷の東京とは異なる文化が根付いており、そんな九州の食文化が合わなくて地元が恋しくなった俺に気を遣ってくれたのか、妻からとある提案を受けた。
妻曰く、彼女の親友に彼氏はできたけれど相談したいことがあるとのことで福岡市内に行くことになりチェックアウトをしてすぐに乗り込んだ新幹線みずほ号でつい3分ほど前に博多に着いたところだ。
妻の後を追って待合せ場所につき、実際にもう一組のカップルと合流したは良いもののお相手の彼氏さんが近くの公園の敷地内にある陸上競技場の側から2時間が経っても動こうとしないのを見てご立腹な女性二人の表情を見て俺が思わず声をかけた。
「もしかして、プロ野球好きなの?」と言う俺の一言に彼が「はい。もう亡くなったけれど優しかった祖父はかつてライオンズの球団職員で当時の話を何度も聴いて育ったので」と返すのを聞き、「そっか。俺はそちらとは真逆の球団のファンなんだ。」と返すと「巨人ファンですか…昔はよく日シリで対戦していましたね。僕はその最後の対戦の年に生まれたので実際に経験していないですが。」と言うのを聴いて女性陣が首を傾げるので「ここにかつてプロ野球の本拠地があったんですよ。今はそのチームの親会社が変わって西武ライオンズと呼ばれていますが、元々は福岡の西鉄という名前だったんです。まあ、僕が応援しているチームのOBがかつて監督として西鉄と対戦して何度か乱闘になり、何度も殴られた場所でもありますが」と説明すると、その監督だった人が誰か察した彼氏さんが「あの34番の人ですか。あの性格だし高齢で亡くなったので、天国で似たもの同士のあの闘将と喧嘩してそうですね」と笑い飛ばしているがその表情はどこか哀しそうだ。
そして、俺たち夫婦で二人の相談に乗ることになるのだが、拍子抜けする程あっさり解決したのはまた別のお話。
「空飛ぶなにかがこっちの方に向かってたから、追いかけてる内にここに迷い込んじゃったの」
その回答に相手は…ふぅんと答える。
キヲンはねぇねぇと尋ねる。
「キミ、こっちで空飛ぶなにかを見なかった⁇」
ボクすっごく気になってるんだけど、とキヲンは相手に近付く。
しかし相手は一歩下がって、い、いや…と含みのある返しをした。
「うちはそういうの見てないぞ…」
「そうなのー?」
キヲンは首を傾げる。
暫くの間、その場に沈黙が流れたが、やがて外套を纏った人物は話題を変えるようになぁとキヲンに声をかける。
「アンタ1人でこの街に来たのか?」
その人物が聞くと、キヲンはううん!と明るく首を横に振る。
「保護者やお友達と一緒に来たの!」
キヲンの言葉に相手はそうかと答える。
「じゃあ、ソイツらの元へ戻らなきゃな」
うん!とキヲンは返す。
「でも、みんなどこへ行ったのか分かんないんだよね」
みんなボクのこと探してるだろうし、とキヲンは続ける。
相手は確かにと呟く。
「…誰だ」
人影は電柱の陰からキヲンに尋ねる。
「え、誰って」
キヲンが思わずこぼすと、人影は…なんだよと不満そうに言う。
「名乗らねぇのか」
「あ、でも知らない人に名前を教えちゃいけないって」
「アンタ小学生か」
キヲンの言葉に人影は突っ込む。
「明らかに魔力の気配がするってことは、アンタも人工精霊だろ」
人影がそう聞くと、キヲンはあ、うん…と頷く。
「ていうか、アンタ“も”ってことはキミは…」
キヲンが聞き返すと、あぁと人影は言って電柱の陰から出る。
「うちも人工精霊だ」
その人物はボロ布のような外套を身に纏っており、背丈はピスケスより少し小さいくらいだった。
キヲンはその人物の言葉に驚く。
「…そう、なの?」
「まぁな」
その人物は頷く。
「それにしてもアンタ、どうしてこんな所に迷い込んだんだ?」
ここはうちらのナワバリなんだが、とその人物は腕を組んで尋ねる。
キヲンはえっと、と上を見上げる。
【こんな器があったらいいなぁ】
それは
水が滾々と湧き出る器。
これがあったら水不足解消になるから。
【こんな器があったらいいなぁ】
それは
人の悲しみを吸い、それを幸せに変える器。
これがあったら深い悲しみから心を傷つける事など無くなるから。
30クリック前にGG995付近でエネルギー反応観測、急行し5クリック前に惑星外縁付近到達
廃棄されていた衛星を鹵獲、惑星をスキャン
仮称として『ゼノプラネット995』と命名
観測開始
日が落ちたあとの路地裏にて。
仲間たちから離れていったキヲンは商店街の通りを外れて路地裏に入り込んでしまっていた。
「…」
キヲンは辺りを見回しながら路地を歩いていく。
「さっき羽の生えたなんかがこっちに向かっていった気がするんだけど…」
キヲンは動物園から出た時に目撃した、“空飛ぶ翼の生えたなにか”をまた目の当たりにして、ついつい気になってそれを追いかけ路地裏に迷い込んでしまったのだ。
その過程で仲間たちと逸れてしまったことはキヲンも分かっていたが、そんなことよりも自分が目撃した“なにか”のことが気になる気持ちでいっぱいだった。
「あれ、どこ行っちゃったんだろう」
キヲンはそう呟きながら路地を進んでいく。
路地裏は街灯が少ないが故に薄暗く、どこか不気味な雰囲気を纏っていた。
…と、キヲンはふと立ち止まる。
キヲンの斜め左前に立つ電柱の陰に、誰かが立っていることに気付いたのだ。
誰だろう、と思いつつキヲンはその人影に近付く。
すると人影はわずかに身じろぎした。
キヲンは驚いて動きを止める。
「きーちゃんは?」
その言葉にナツィは、は?と聞き返す。
「キヲンならそこに…」
ナツィは先程キヲンが歩いていた前方を見やるが、そこには誰もいなかった。
あるのは人混みくらいである。
「あーもうアイツ…」
ナツィは呆れ顔で呟く。
それを見たピスケスはうふふと笑った。
「またどっか行っちゃったわね」
「そこ笑う所じゃないでしょ」
ピスケスの言葉に寧依はシリアスに突っ込む。
ピスケスはうふふふふと口元を隠した。
「…とにかく、探すか」
またこないだみたいに変な奴に攫われてなければいいんだけど…とナツィは呟いて歩き出す。
「そうね」
その場に残る魔力を追跡すればすぐに追い付くでしょうからとピスケスもそのあとに続く。
露夏、かすみ、寧依も頷くと2人のあとを追った。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈サンプルキャラクター〉の書き込みです。
ストーリーやキャラを作る参考にしてもいいし、自作に登場させても構いません。
・ラルヴィヴォラ アカヒゲ Larvivora akahige
年齢:13歳
身長:155cm
レヴェリテルム:Aurantiaco Equus
カテルヴァ:サンダーバード
他の要塞都市からパッセリフォルムズにやって来たアヴェス。
口数が少なく何を考えているか分からないとよく言われるタイプだが、根は優しい。
1人でいることを好むように見えるが、これは共に育った双子の弟のような存在・ラルヴィヴォラ コマドリがある戦闘で行方不明になったことから、これ以上大切な人を失いたくないと思うようになったためである。
専用レヴェリテルム「Aurantico Equus」は、ブレードパーツを動かすことで刀型から銃器型に変形させることができる。
通称は「アカ」。
名前の由来はコマドリ(Japanese robin)。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈設定〉その5です。
・ドムス Domes
各“要塞都市”を防衛するために設立された組織。
“アヴェス”の製造・育成・管理、“レヴェリテルム”の開発や保守点検を行っている。
“アヴェス”たちの戦いは想像力が重視されるため、情操教育に力を入れている。
拠点は“要塞都市”中心部にある高層建造物で、上層階に“アヴェス”たちの居住区がある。
幹部や司令部、教官の中には“アヴェス”としてかつて前線で戦っていた者もいる。
・カテルヴァ Caterva
“アヴェス”が戦う時の部隊のこと。
五人一組が最小構成人数だが、もっと多い隊もあるという。
メンバーは“ドムス”の幹部によって組み合わせられ、結束や連携を高めるために同じ“カテルヴァ”のメンバーは寝食や訓練をともにする。
ちなみに各“カテルヴァ”の隊名は伝説上の鳥の名前から付けられる。
今回は設定が多すぎてめっちゃ難しいと思うので、次はキャラクター設定のサンプルを挙げてみようと思います。
作品作りの参考にしたり自作に使ってみたりと好きなようにしてやってください。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈設定〉その4です。
・レヴェリテルム Reverie-telum
“アヴェス”たちが使いこなす精神連結式可変武器。
各“アヴェス”と対になる形で開発され、持ち主の名や名前の由来になった鳥類に因んだラテン語の名前がつけられる。
様々な形のものがあるが、大抵の場合は変形や分離合体によって刃物型や鈍器型から飛び道具型に切り替えることができる。
“レヴェリアイト”を加工して作られた空想の力を出力する心臓部“レヴェリジェマ“を搭載しているため、“アヴェス“が“レヴェリテルム”に触れている状態で念じることで様々な現象を引き起こすことが可能。
そのため“レヴェリテルム”の自動変形や持ち主の飛行、透明化、念話、“天蓋”からのダメージカットなどをすることができるが、あまりに現実離れしすぎたことを想像すると身体や精神に負荷がかかってしまうため注意が必要である。
想像力や精神状態、そして感情の起伏次第で想像を絶する力を発揮することがある。
ちなみに二段変形のものが多いが三段変形をするものもたまに存在する。
どうやら“アリエヌス”を研究した結果がある程度反映されているようだ。
・レヴェリジェマ Reverie-gema
“レヴェリテルム”の心臓部である結晶状のアイテム。
“レヴェリアイト”に特殊な加工を施した上で製造される(製法は秘密)。
“レヴェリテルム”ごとにこれが収まっている位置や形が違っている。
どうやら“アリエヌス”を研究した結果がある程度反映されているようだ。
・アリエヌス Alienus
空より飛来する謎の敵。
無機質でおぞましい姿をしており、人類を集中的に攻撃しようとすることが多い。
“天蓋”からのダメージは普通の生物と同じように受けるが、最近は受けにくい個体も出現し始めている。
実は“レヴェリアイト”を心臓部として動いていることが研究の結果分かってきている。
その正体はかつて地球に不時着した高度星間文明の船団の故郷から放たれた存在。
“レヴェリアイト”という高度星間文明でのみ使われているアイテムを地球人が手にしたことで文明が急激に成長し脅威になるのではないか、と恐れた高度星間文明の民が地球人を滅ぼそうと差し向け続けている。
〈設定〉その5に続く。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈設定〉書き込みその3です。
・アヴェス Aves
侵略者“アリエヌス”に対抗するために防衛組織“ドムス”によって生み出された人造人間。
身体や精神への負荷が大きいがために普通の人間には扱えない精神連結式可変武器“レヴェリテルム”を使いこなせるよう身体能力や感覚などを調整されて、各“レヴェリテルム”と対になる形で作り出される。
鳥類の学名が名前として付けられており、男性しか存在しない。
精神状態が戦果にそのまま繋がるため、“ドムス”によって衣食住など諸々を管理されている。
主に戦うのは10代の少年たちだが、これは思春期ゆえの精神の起伏の激しさが“レヴェリテルム”の火力を引き出しやすいからである。
成長はするので大人になると戦えなくなるが、ほとんどのアヴェスは子どもの内に戦死してしまう。
しかし稀に大人になることができる者もおり、そういったアヴェスは“ドムス”の幹部や司令官、教官になる。
男性しか存在しないのは「身体的に女性より優れているから」とされているが、実は“アヴェス”が作り出されたばかりの頃に女性型“アヴェス”の暴走によって要塞都市がまるまる1つ滅んでしまったという事件があったため、精神的に不安定になりやすいと判断された女性型の製造が禁忌になってしまっただけのことである。
ちなみに服装は個体ごとの識別をしやすくするために個性的で華やかな衣装を着ている。
〈設定〉その4に続く。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈設定〉書き込みその2です。
・レヴェリアイト Reverieite
この世界で“だいぶ前”に古代遺跡から発見された希少な鉱物資源。
様々な色を持ち、接触している生物の思念に反応してエネルギーを発する特徴を持つ。
“要塞都市”においては生活を送る上でなくてはならないエネルギー源となっており、機械や道具に組み込まれたり、“レヴェリジェマ”に加工して“アヴェス”の武器・“レヴェリテルム”の心臓部として組み込まれたりする。
だが希少かつ高価なため、“要塞都市”内でレヴェリアイトを使ったアイテムを多く持てるのは上流階級の人々や有力者、防衛組織・“ドムス”の関係者くらいで、一般市民は持っていて1つ2つくらいである。
伝説では空から降ってきたものとされているが、その正体は高度星間文明の船団が地球に不時着した際に、宇宙船に積まれていた異星の鉱物資源である。
地中から見つかるのは長い時を経て宇宙船が朽ちていった結果によるもの。
ちなみにこの事実を知っているのは“要塞都市”の一部の有力者や“ドムス”の幹部くらいである。
〈設定〉その3に続く。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈設定〉に関する書き込みその1です。
・要塞都市 Fortified city
この物語の主な舞台。
空から飛来する謎の敵“アリエヌス”によって滅亡の危機に瀕した人類が築き上げた都市。
周囲を高い壁で囲まれており、有事の際は“天蓋”と呼ばれる防護壁が展開する。
都市内はモダンながらも背の高い建物が乱立しており、文化もどこか近代的ではあるが“レヴェリアイト”の力で高い文明レベルを誇る。
ここでは“アリエヌス”に唯一対抗できる“アヴェス”が英雄視されている。
市政のトップは市長で、その下に市議会が存在する。
都市内の主な交通手段は路面電車。
各要塞都市の間は地下高速鉄道で結ばれており、通信手段も確保されているが一般市民にそれを使うことは難しい。
ちなみに1番大きな“要塞都市”はパッセリフォルムズであるが、1番大きいが故に1番“アリエヌス”に狙われやすかったりもする。
・天蓋 Canopy
“要塞都市”が“アリエヌス”の襲来に遭った際に展開する障壁。
“要塞都市”の壁の上部に仕込まれたレヴェリアイトと、その周囲に張り巡らされた回路を起動させることで光のバリアとして展開する。
高エネルギーでできているために普通の生物や“アリエヌス”が触れるとダメージを受けるが、“アヴェス”は専用武器“レヴェリテルム”の効果でダメージを抑えることができる(しかし“レヴェリテルム”との接触が途切れるとダメージを受けてしまうし、最近は“アリエヌス”の中にもダメージを抑えることができる者も出始めている。理由は後述)。
〈設定〉その2に続く。
この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の「世界観」に関する投稿です。
〈世界観〉
舞台は特殊な鉱物“レヴェリアイト”によって近代的な雰囲気を残したまま発展した、あり得たかもしれない世界。
いつからか、人類は空より襲来する謎の敵“アリエヌス”によって“要塞都市”の中に追いやられ、窮屈な生活を強いられていた。
しかし人類は叡智を結集させ、精神連結式可変武器“レヴェリテルム”を開発、そしてそれを使いこなせる人造の少年たち“アヴェス”によって“アリエヌス”に立ち向かっていくことになる。
精神状態がそのまま火力に繋がる武器を使いこなす“アヴェス”たちは、各要塞都市に設置される防衛組織“ドムス”で育てられ、要塞都市の防衛に駆り出されていく。
これは、世界最大の要塞都市“パッセリフォルムズ”を舞台に繰り広げられる、限りあるおとぎ話。
次は〈設定〉です。
どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが、新企画です。
タイトルは「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」。
空より来たる謎の敵“アリエヌス”から四方を壁に囲まれた要塞都市“パッセリフォルムズ”を守るため、人類の叡智を結集して生み出された可変武器“レヴェリテルム”とその使い手たる少年たち“アヴェス”の果てしない戦いを描く企画となっております。
参加方法は〈世界観〉や〈設定〉に沿った文芸作品を作ってタグ「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」をつけて投稿するだけ。
作品形式・分量・数は問いません。
ちなみに参加者があまり出てこないことを鑑みて、今回から企画に具体的な期間を設けないことにしました(でも一応目安として1ヶ月経ったらあとがきを投稿する予定)。
皆さん忙しいでしょうから、参加してみたい人はぜひ自分のペースで執筆・投稿して頂きたいです。
ではお次は、〈世界観〉です!
どうも、猫町やたろうです。
実は私、散歩や遠出が趣味でして。
5月は行楽シーズンという事で新作です。
私が今まで行った場所の思い出的なものをちょこちょこ投稿しようと思ってつくりました。
これからもどこか行ったらまた投稿します。
タグは「#猫町旅記」です。
よろしくお願いします。
それでは本編どうぞ。
「不眠街」
午後10時、中央線の車窓から覗き込んだ新宿の不夜城は、猥雑なネオンや看板に彩られ、さながらミラーボールであった。
ミラーボールには、小さな新宿が詰め込まれているのかも知れない。
相変わらず彼女に突っかかるチンピラ。
「あ⁈警告だぁ?調子のってんじゃね
チンピラが声を荒げた瞬間。
彼女の足がチンピラの頬にめり込んだ。
当たりどころが悪かったのか、そのまま床に崩れ落ちる。
彼女は倒れたチンピラには目もくれずに、声を張り上げた。
「皆様、大変お騒がせしました。皆様に多大な御迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。なお、ダイヤに乱れは御座いませんので、そのままご乗車ください。」
そう言いながらチンピラの首根っこを掴むと、窓から思い切り放り投げた。
…放り投げた⁉︎
「え、ちょっと、あの、それ、」
「?どうされましたか?」
放り投げられた彼は無事なのだろうか。
いや、そもそも放り投げるのは駄目だろう。
あまりにも平然と行われたその行為に、どこから突っ込めば良いのかわからない。
あー、とか、えー、とか言いながら言葉を探す僕を見て、彼女は、あ、と言い放った。
「顔、切れてますね。申し訳御座いません。治療を致しますので、このまま終点までご乗車ください。
お代は頂きません。」
日が暮れ切って辺りが暗くなった頃。
動物園がある小高い丘を下ってすぐの商店街の通りを、奇妙なコドモたちと保護者役の若い女が歩いていた。
「えへへ〜、ピスケスにお菓子買ってもらっちゃった〜」
キヲンはドロップ缶を大事そうに持ってスキップしながら通りを歩く。
「なんかごめんピスケス」
わざわざきーちゃんのために…と寧依は隣を歩くピスケスに申し訳なさそうにするが、いいのよとピスケスは笑う。
「あのままじゃ気分を損ねたままだったでしょう?」
小さい子にはあれくらい必要よとピスケスは小声で言ったが、そうかねと言いながらそこへナツィがやって来る。
その傍にはかすみも続く。
「ちょっと甘やかし過ぎだと思うんだが」
ナツィはそう言ってピスケスにジト目を向けるが、当のピスケスはあらあらよく言うわねと言い返す。
「お前だってかすみになんか買ってやるとか言ってた癖に」
「う、うるせぇ」
ピスケスの言葉にナツィはうろたえた。
「あれは…たまたまそういう気分だったんだよ!」
別にいいだろ!とナツィはそっぽを向く。
それを見てかすみは苦笑いし、ピスケスもあーら照れちゃってと微笑んだ。
…とここでピスケスの隣を歩く露夏があれ、と呟く。
170センチくらいの人型実体となった水は顔の部分をシオンたちへ向ける。と、顔の真ん中あたりから凄まじい勢いで水が発射された。
「うわっ」
シオンが足を上げて回避すると、水は床に当たって跳ね返り、不自然な動きでエリザベスの脛に命中した。
「っ!!」
「リサちゃんっ!」
穴は広くはないが足を貫通していた。
「わ、私が避けちゃったからかな…ごめんね、一旦逃げよう」
シオンはエリザベスをお姫様抱っこにして素早く発射される水を避け、階段へと少しづつ移動する。
「そこの階段、壁にひびが入っていますわ!崩せるかもしれません!」
「ああ、あの近道の…」
階段へ一歩を踏み出しかけて、シオンは足を止める。
「待って。ここの踊り場の鏡、確か水が漏れて_」
ぬるり、と踊り場に人型実体が現れる。シオンが踵を返すと、背後にも、人型実体がいた。挟み撃ちされてせまい段上で高速で発射される水を避けきるのは、いくらシオンといえど容易ではない。
「ど、どうしよう…」
「シオンさん、致し方ありませんわ。私の固有魔法で、下の階に無理やり降りますわよ!」
エリザベスは足元に向けて手を伸ばし、指を鳴らした。
「カラスよりもっと大きかったし」
「はいはい」
ナツィは呆れたように返す。
キヲンは不服そうにしたが、それを見たピスケスはきーちゃんとキヲンの肩に手を置いた。
「せっかくだから少し寄り道しましょう?」
私が駄菓子なんか買ってあげるわ、とピスケスが言うとキヲンはえ、ホント⁈と笑顔を見せる。
それを見てナツィはおいピスケス…と睨みつけたが、ピスケスは気にせず本当よと微笑んだ。
「せっかくだから私がおごるわ」
「わーいやったー!」
キヲンはピスケスの言葉に飛び跳ねる。
ピスケスはじゃあ行きましょうと言うと、キヲンの腕を引いて歩き出す。
他の皆もそのあとに続いた。
「あれ何?」
キヲンが夕焼けに染まる空を指さす。
ナツィたちはキヲンが示した方を見るが、空には一番星が輝いているだけだった。
「…どこ?」
何もいないぞ〜と露夏は目を細める。
「え、そんな」
ボクには見えたよ?とキヲンは露夏の方を見やる。
「空飛ぶ羽の生えたなんかが…」
そう言いながらキヲンは再度空を見上げるが、空にはねぐらへ変えるカラスたちが飛んでいるくらいだった。
「あれ?」
なんもいない…とキヲンは呟く。
「カラスのことじゃね?」
ナツィは呆れたように言うが、キヲンはそうじゃないもん!とナツィの方を見て頬を膨らませる。
「ハハハ、いいじゃねぇか」
ナハツェーラーのうさぎのお友達、とピスケスの隣を歩く赤髪にキャップ帽のコドモがナツィたちの方を見て笑う。
ナツィはおい露夏と相手を睨んだが、ナツィの隣のジャンパースカート姿のコドモがケンカしないでよ〜と宥める。
それを聞いてナツィはだってかすみ…と不貞腐れた。
その様子を見て長髪にメガネの女はふふふと微笑んだ。
「…それにしても、またみんなで出かけることになるなんてね」
不意にメガネの女が言い出したので、ピスケスはあら寧依と彼女の方を見やる。
「あなたがまたみんなで出かけたいって言い出したからでしょう?」
「まぁそうだけど…」
正確にはきーちゃんが動物園に行ってみたいって言い出したからさ、と寧依と呼ばれた女は苦笑する。
「せっかくだし連れて行ってもいいかなって」
寧依がそう言うと、ピスケスはまぁと笑う。
「あなたもすっかりきーちゃんの保護者ね」
「え、まだまだだよ」
わたしは見習い魔術師みたいなもんだし…と寧依が言いかけた所で、不意にキヲンがあ、と呟く。
皆がそれを聞いて立ち止まり、キヲンの方を見た。