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教室の副流煙

副流煙、を知っているだろうか。
煙草の火をつける側、即ち喫煙者が直に吸わない方の煙である。ちなみに直に吸う方は主流煙という。
この副流煙には、有害物質が主流煙の何倍も含まれている。
つまり、煙草を吸っている本人より、周りで副流煙を吸う方がダメージが大きいのである。

言葉も同じなんじゃないだろうか。
口にした側より、された側の方が、良くも悪くもその言葉をもろに受けるのだ。

そんな訳で、今日も私は教室の隅でこそこそ過ごす。
あまり彼らの近くに居ると、暴言の過剰摂取で中毒死しそうだ。
例えそれが、私へ向けての言葉でなくとも。

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皇帝の目_10

梓の身長が急激に戻った。
「いっっっった!!」
「すまんチトニア、ケツアタックした」
「大丈夫!良かった戻って!!」
傍目から見るとチトニアが梓の尻に頬擦りしているかなりカオスな状況だった。そしてそのタイミングの悪い時に病室へ人が入ってきた。
「あー…」
梓が諦めて落ち着くと、チトニアも振り返る。
「…あー…お邪魔しました?」
スーツ姿に黒髪ショートカットの中性的な人が渋い顔で梓たちを見ていた。
「いやそういうんじゃないんで。親友(?)どうしのスキンシップだから」
梓が言い張ってぐっと親指を立てると、チトニアもふにゃっと笑って梓を抱っこし直した。それを見てその人は絶妙な顔をして渋々入ってきた。
「あー…ビーストがいるって聞いたんだけど…倒した?」
「任せろ」
「それどっちの返事だよ…まあいい、倒したんだな。俺は対ビースト支援課のスタッフだ。名前は…まあ別に良いよな」
「…もしかしてとは思ってたんだけど…私のこと探しに来たの…?」
チトニアが尋ねると彼はため息をついた。
「契約しちゃったんだな?まあそれならそれでも良いが。…場所を変えるぞ」