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暴精造物茶会 Act 18

一方その頃、キヲンたちは燃えるような目を持つ怪物に追われて廊下を走っていた。
「どどどどどどうしよう⁈」
葉のような髪を持つコドモ、タイサンボクはパニックに陥りながら逃げている。
「どうしようって、どうしようもないじゃない‼︎」
紅色の髪に狐耳が生えたコドモ、中紅はそう声を荒げる。
「クロミスが扉を開けようとするからよ!」
「うっ、そんなこと言わないでよベニ」
「事実は事実じゃない!」
中紅の指摘にクロミスはうろたえる。
それを見たキヲンはまぁまぁ2人共ケンカしないの〜となだめようとしたが、中紅はケンカしてないわよ!と鬱陶しそうに言い返す。
キヲンは何も言えなくなった。
「…とにかく、建物の外へ出るわよ!」
前を向いた中紅はそう叫んで走る速さを上げる。
他の3人もそれに続く。
暫く走ってキヲンたちは建物の外に出たが、建物の出入り口をすり抜けて怪物も飛び出してきた。
「うぇえええっ⁈」
あいつ、建物の外に出られるの⁈とクロミスは声を上げる。

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暴精造物茶会 Act 17

「今のって…」
「まさか!」
かすみの言葉を遮るように、ナツィはソファーから立ち上がる。
そして慌てて部屋から飛び出していった。
ナツィは廊下を走って階段の方に向かおうとするが、建物の角の向こうを走って逃げる見覚えのある4人のコドモと、それを追う有翼で炎のような目の肉食獣のような大きな怪物の姿が見えた。
「ナツィ」
後から出てきたかすみは心配そうにナツィに声をかける。
ナツィは部屋から出てきたかすみ、ピスケス、露夏に目を向ける。
「行くぞ、お前ら」
ナツィはそう言って走り出した。

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暴精造物茶会 Act 16

「まだ未熟な学生魔術師の使い魔だから、何かとんでもないことをするとは思えないんだけど…」
ピスケスはそう呟くが、ナツィはそうとは限らないだろと真面目な顔をする。
「ああいうちびっ子は危なっかしーんだよ」
誰か年上が付くべき…と言いつつナツィはテーブルの上の自分のティーカップに手を伸ばす。
しかしティーカップに触れる直前にぴたと動きを止めた。
「?」
何かに気付いたようにナツィは顔を上げる。
かすみはどうしたのナツィと尋ねると、ナツィは暫くの沈黙の後口を開いた。
「…今、気配がした」
ナツィがそう呟くと、ピスケスはそうねと頷く。
「明らかに近くで大きな魔力が動いたような気配がしたわ」
露夏も静かに頷く。
「魔力の気配って…」
かすみがそう言いかけた時、建物の階段の方からキャーッという誰かの悲鳴とガシャンという大きな物音が聞こえた。
「⁈」
部屋にいる4人はバッと顔を上げる。