「わっ」
わたしはその人とぶつからないように身体をよじったことで足がもつれてしまい、そのまま地面に尻もちをついてしまう。
幸い相手は転ばなかったが、全速力で走ってきたわたしに驚いて、だ、大丈夫⁈と心配してくれた。
「へ、平気です…」
わたしはすぐに立ち上がりつつその人に謝る。
高校生くらいと思しきその男の人は、ならよかっ…と安心したように言いかけた。
しかし最後まで言い切らず、彼はわたしが元来た方を見やる。
「…」
彼は何かを感じたかのように路地の奥を凝視していた。
わたしはそれが気になったが、ヴァンピレスに追われているのでとにかくその場をあとにしようとする。
その時だった。
「…こっち‼」
わたしとぶつかった男の人が、わたしの右腕をバッと掴んで駅の方に向けて走り出した。
びっくりする程の強い力に引っ張られて、わたしは何が何だか分からないまま駆け出す。
これから何が起きるのかさっぱり分からないまま、わたしは夕闇の中を走り抜けていった。
〈24.ヴァンパイア おわり〉