「少なくとも、俺はネロ達が心の底からヴァンピレスを倒したいなんて思ってないと思うんだが」
ミツルはそう言って、ベンチの座面の後方に手をつく。
わたしがそうなの?と聞くと、ミツルはいやいやと続けた。
「アイツらっていうか、俺達異能力者は”異能力は己の一部”という考え方だからな」
例え自分自身が手を直接下さなくても、そういう事に加担するのは本意じゃないと思うし、とミツルは呟く。
「でも『これはボク達が決めた事だ』って」
わたしはついそう言いかけるが、ミツルはまぁまぁと横に手を振った。
「例え本当にそうだとしても、それをやってしまったらアイツら後悔するかもしれないぜ?」
あと…とミツルは宙を見上げる。
「ヴァンピレスにそんな事をしたって、アイツはずっと孤独を抱えたままだと思うぞ」
「えっ」
ミツルの思わぬ発言に、わたしは驚いた。
「ヴァンピレスが、孤独…?」
「そりゃそうだろ、アイツ異能力者はおろか常人の友達もいないんだから」
ミツルはそう言って、上着の下のウィンドブレーカーのポケットから青い小箱を取り出す。