「こーんにーちはぁ~。お姉さんがキヨセ・マナミちゃんですかぁ?」
最初に口を開いたのは、燿子だった。
「あ? 誰アンタら。人の邪魔しやがってよォ……」
「「…………」」
(ガラわっる!)
(逃げて良いかなこれェ)
二人を射貫く敵意に満ちた視線に、思わず沈黙する清嘉と燿子。
「せっかく人が気持ち良くストレス発散してたのによォー……!」
(やっば近づいて来てるー)
(笑い事じゃねえんだけどぉっ!?)
彼我の距離が5mを切ったその時、燿子が腰の後ろのホルスターから白とオレンジに塗装されたエアガンを抜き、相手に向けて1発撃ち込んだ。
「あたっ」
「…………」
「…………」
「テメこのガキいたっ、あたっ」
燿子は躊躇うことなく2発、3発と続けざまに撃ち込んでいく。あまりにも唐突で理解不能な状況に、清嘉は呆然と見ていることしかできない。
「いたっ、ちょ、やめ、おい、こらっ」
パスッ、パスッ、パスッ、と気の抜けた発射音が鳴り続け、遂に弾倉内のBB弾が撃ち尽くされる。燿子は表情を変えないままグリップのボタンを押してエアガンを軽く振り、弾倉を地面に落として替えの弾倉を再装填する。
「いたっ、ちょ、おい、やめ、ろっ、て、言ってんだろがァッ!」
「わぁキレたぁ!」
「そりゃいきなり無言でエアガン連射されたらキレるよ!?」
「クソガキが舐めやがって……! どうせ3秒後には忘れてんだ、こうなりゃ全力で叩き潰してやらァ……!」
元来『殺傷力の具現』である怪異の力を宿す“語部”たる二人には、その少女、愛弥の変化が直感的に理解できた。『殺意』が膨れ上がり形を成すような感覚――“語部”が『異聞』の力を発現する際の気配である。
それを感じ取れたからこそ、清嘉は咄嗟に動くことができた。
「っ、“メリーさん”!」
彼もまた、自身の異聞能力を発動した。身長1mほどの少女型の召喚体が二人を庇うように現れ、右手の鉤爪を構える。それと同時に、召喚体の爪に鋭い衝撃が叩き込まれる。
『ぬ、ヌヌヌ……りゃぁっ!』
打ち上げるようにその破壊力を受け流し、“メリーさん”は防御に成功した。直後、その余波がビルの壁に流れ、深い斬撃痕を残す。
「何だァソイツ……」
「いやぁ、へへっ……どうも同類ッス……仲良くしようぜ?」