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Tell us terrible Terrors:あけて その⑧

永江宅を出た王蕗は、一足先に出発していた潮を坂の下に見つけると、急ぎ足で追いついた。
「んぉ、王蕗先輩」
「やぁ、途中まで一緒に行こうかと思ってね」
「了解ぃ、どの辺で分かれます?」
「もうちょっと戻ったところに十字路があったろ? 僕は右に行こう。そっちに住宅が見えたから」
「ほむ。んじゃぁ私は入り口まで引き返してから道なりに探索していこっと。私の見たとこはマークしてくんで、上手いこと使ってくださいな」
「マークって……どうやんの?」
潮が立ち止まり、目を見開いて王蕗を見上げる。
「……そういや私ら、能力について1ミリも共有してない?」
「……してない、ねぇ……」
「じゃ、せっかくだから私ら間だけでも共有しときますか」
潮は片足を真上に振り上げ、勢いよく地面に足裏を叩きつけた。小気味の良い音が響き、次の瞬間すぐ隣にいた王蕗の頭に『情報』が流れ込む。その総量自体は決して多くは無い。『0秒前』『0.00.01.46』といった“時間”の情報と、『道の中央に立つ少女』という漠然とした“イメージ”だけだ。
「これは……」
「ふっふっふ、これが私の能力【ダイダラボッチ】の略霊態。『私がいたこと』を空間にマーキングする力です」
「へぇ……」
「ちなみに半径は30m固定」
「……不便だね」
「否定しがたい……」
「活かせるかは分からないけど、頭に入れておくよ」
「ちなみに先輩の能力って何なんです?」
「【コロポックル】」
「そのナリでですか……似合いませんね」
「ブーメランだねぇ。それに君、コロポックルが何か知ってるかい?」
潮は胸を張って答える。
「そりゃあ知ってますよ。何せ私、あだ名が“コロポックル”ちゃんなので。あれでしょ、北海道のフキの葉の下にいる小人」
王蕗がくすりと笑う。
「それは内地の人間が誤解した解釈だ。“コロポックル”、意味は『フキの葉の下の人』…………」
王蕗が手を前方に翳す。その中に、彼の身長以上の丈の植物の茎が現れた。
「Petasites japonicus subsp. giganteus……和名ラワンブキ。北海道は螺湾川沿岸に自生する、実在のフキさ。“フキの葉の下の人”の本質は“フキ”の方なんだよ。『人が下に入れるほど巨大なフキ』が存在するってだけさ」