祖母からの“八尺様”に関する情報提供は、およそ1時間にも及んだ。
「ありがとう、祖母ちゃん。いろいろ教えてくれて」
「当然さ。お前やお友達のためだからね。けど、今日はもう遅いからねぇ、外に出るのは明日にしておきな」
「うん。先輩たち、戻ってくるかな……」
玄関を出た辺りで見回していると、大柄な影と小柄な影が並んで坂を上ってくるのが目に入った。
「あっ戻ってきた」
「ういーっす探索1回目無事せいかーん」
「ただいま、永江くん。まずは情報共有しようか」
「はい」
吉継の後ろから、彼の祖母が顔を出す。
「おやおや二人とも、帰ってきたのかい。疲れただろう、おやつを用意してあるよ」
「えっやったぁ! ご馳走になります!」
「どうもすみません」
3人は居間のテーブルに着き、一口大にカットされたスイカをつまみながら今日の調査内容を共有することにした。
「まず私から。何の成果も得られませんでした! でもこの村自然豊かで私は好きになったぁ」
「僕は役場でこれを貰ってきたよ」
そういって王蕗がテーブルに広げたのは、役場で配布されていた村の全体図である。そこには赤いボールペンで、いくつか点が描かれている。
「このポイントは?」
吉継が尋ねる。
「道祖神だよ。まだ探索は途中だけど、それでも結構見つけたね」
数えると、赤い点は宅地一帯だけで10以上確認できる。
「はぇー……結構多いですね」
「ねー。道祖神って乱立させて良いやつなの?」
「まぁ……悪いモノではないと思うけど……」
「……あ、そういえば祖母ちゃんに聞いたんですけど、“八尺様”は道祖神の囲いの『外』には出られないらしいです」
不意に放たれた吉継の言葉に、潮が顔を上げ、地図を見直してから、再び顔を上げる。
「……『外』ってどこ?」
「……まずは、道祖神ぜんぶの位置が分からないことには……」
「それじゃ、明日は道祖神マッピングから始めようか。二人の分の地図ももらってきてるから」
王蕗の提案で、今後の方針が決定した。