「僕は山の方を調べよう。君たちは村や入り口のエリアを見てくれ」
祖母宅を出たところで王蕗が提案する。
「別に構いませんけど……一人で大丈夫なんですか?」
吉継の問いに、王蕗はサムズアップを返した。
「大丈夫。自然環境なら頭数は簡単に確保できるから」
そう言いながら、王蕗は道端に生えていた雑草を指先でつついた。その下から、アイヌ風の衣装を纏った小人が数人顔を出す。
「おぉ、小人」
「わぁ~可愛い~」
「これが僕の【コロポックル】の異聞能力。『葉の下から人型を現す能力』とでも言おうか。まあ見ての通り、頭数は大量に確保できるから心配は無用だよ」
「これ全部王蕗先輩一人で良いんじゃない?」
「そう言わないの秋津さん……戦闘力なら君らの方が高いだろ? いや永江くんの能力は詳しく知らないけど……」
「そういやそうっすね。改めて俺の能力は【八尺様】なんですけど……」
潮は思わず吉継の顔を凝視した。
「あの……」
「あ、ごめん。で? どういう能力なの?」
「殴る蹴るの当たり判定を遠くに飛ばせます」
「はぇー便利。射程は?」
「2mくらいっす」
「何ともいえねえ……まぁ、荒事は私に任せなよ後輩くん」
「了解です……」
王蕗が手を叩く音に、2人は顔を上げた。
「それじゃ、二手に分かれようか。二人の動きは任せるよ。17時までには帰ってくる感じで」
「「了解」」
王蕗は大量の小人たちを引き連れて、山道を登っていった。
「さぁ後輩くんや、私たちも行くよ。私はまた村の入り口まで引き返してから、1つずつ道祖神マークしていくから」
「じゃ、自分は畑の方見ます」
「よっしゃ、健闘を祈るぜぃ」
スキップ歩調で村の道を下りていく潮を見送り、吉継が農地方面へ向かおうとしたその時だった。
『……て、て……け、あ……けて……』
聞き覚えのある声に立ち止まる。
(また“お姉さん”かー……ゆうべも思ったけど、健在だなぁ……)
しかし所詮は幻影と思い直すと、吉継は少しずつ近づいてくる声を背に、農道に足を踏み入れた。