フレーム
家から見える夕焼けは、とても綺麗だと思う。
田舎のほうなので遠くまで見通せる。
数年位前にカメラでその風景を撮ったことがある。
パシャリ。
撮れた写真を見る。
結構いい出来だった。
満足顔で、もう一枚撮ろうとふと顔を上げる。
そこで私が見た景色は、先ほどカメラで撮ったものよりもっと綺麗になっていた。
あれ、と思いもう一度シャッターを切る。
今度こそいい出来だ。
家に帰ろうとしてまた見ると、もっと綺麗になっていやがる。
何度シャッターを切っても、結局満足のいく写真は撮れずに、とうとう日が暮れてしまった。
日が暮れても相変わらず美しかったが、生憎私は暗いところで写真を撮る技術を持っていなかった。
結局諦めて家に戻ったのだが、それ以降、夕焼けを、ひいては風景を写真でとることをあまりしなくなった。
美しい風景に感動するためには、フレームの外でさえ大切だということを、ふと思った。