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卒業式のことと、「若者のゆくえ」

昨日の授業を聞いて、ふと自分の中学時代を思い出した。
あれは中学3年生のころ。僕の好きな海外ドラマの登場人物に、「ジョン・カーター」という人物がいるのだが、担任の先生の顔がなんとなく似ていたので、「カーター先生」と呼んでいた。もちろん、本人の目の前では呼ばなかったけど。
カーター先生は、泣かない先生だった。体育祭やら合唱祭で1位を取って先生を泣かせようと計画したこともあった。だけど、先生は泣かなかった。
僕のクラスには不登校の子がいた。正確には、学校には来ているのだが、教室の中に入れず、僕たちの様子を廊下から見ていた。
卒業式の日、その子が教室の中にいた。不思議と違和感は感じなかった。学校で見かけることがあったからだろうか、まるでいつもそこにいたかのようだった。
卒業式後の最後の学活の時間。カーター先生が泣き出した。何があっても泣かなかった先生が、初めて涙を見せた。理由は一つだった。
初めて、クラス全員がこの教室にいたから。
今までその子が教室の中に入れていなかったために、全員がそろった、とは言い切れなかった。だけどこの日は正真正銘、全員が揃った。そして、クラスの中で、最後の学活を受けた。それが嬉しかったから、だから、カーター先生は泣いた。
あの涙を、僕は忘れない。

「若者のゆくえ」も思い出深い。中学2年生の時に、卒業する先輩方のために作ったビデオで使って以来、事あるごとにこの曲と関わってきた。去年はとある理由で、地域の子供たちと触れ合うイベントに参加したのだが、その時も卒業する子供たちに向けて、この曲をピアノで弾き語った。もはやこの曲と僕は、切っても切れないつながりで結ばれている。

だから、昨日の授業がまるで自分の事のように思えた。大嫌いだった中学校生活。だけど、そこで得た多くの経験が、今の自分を形作っている。そんな風に思った。