まだこの世界にいないあなたのことを考えると涙が出てくるのよ、って10年後教えてあげるから、いまは、まだ、ゆっくり、眠っていてね。
わけわかんないくらいつらい
子供でもない大人にもなれない狭間で見上げた細い空が一番綺麗だって、わたしは怯えていた。星は遠くにあるから美しいのであって、秒速何万キロで落ちてくるかけらはひとの命を奪ったりする。 この地球で息をしているうち 細胞はどんどん変わってゆくらしい 3年後、いまわたしを形成している小さな命の集まりはすっかり消えているだろう わたしはわたしじゃないわたしを 生きているのだろう だから、夢なんて見ないよ、馬鹿。
夕食の後片付けして流しを洗った手からキッチンハイターの匂いがするのがすごくいやです。冬になったら帰ります、って電話しようか迷っているけれど、お風呂が沸いたのでシャンプー詰め替えないと。録画予約の赤い光がついたからもう10時。明日の朝ごはん、なんにしよ。食パン買いに夜道を走る。 ああ、星が見える。
卵かけごはんの匂いがする 駅のホームで 引き返すための電車を待つ
お風呂の洗い場で、いつものように何処からか石鹸が入った目をぎゅっと瞑ったまま。 生きる、と生きてる、と生きている、はぜんぜん別なのかも知れない。なんて考え込んで、蛇口を探る手がお留守になる。 けし粒みたいな小さい文字に囚われたぼくだって大切にして生きたかった。詩人になんてなれなくっていいから夢がみたかったのに。
寒いかららーめん食べに行こう、と君が言うとそれはデートの始まりだった。寒いかららーめん食べる?と、君が冷蔵庫を開けるとそれは、恋だった。寒いかららーめん作って2人で食べといて、と電話が掛かってくると、それは愛だった。
知らない名前、ばっかりだ よろしくみなさん わたしはかえるになったまま 魔法がとけない女子高生 嘘。 吸い込んでもうすぐ脱皮する。 ああ、もうわたし、3年生 明日のお弁当はお休みですって 肩が外れたりした休日に 電話をくれたりするひとがすき。
化粧覚えなくちゃいけないのか、という彼女の美しい長い睫毛が瞬くたびに、ひとりひとりと殿方が倒れるとわたしは知っている。リップクリームを塗りたくる、ハイソックスをぴたりと留める、前髪を切り揃える、女子高生は、あまりにも、彼女自身が持て余しているのだから。19になるつもりは無い。春など、一生こなくて良い。わたしは、ここに、生きるのだ。
あまりにも早すぎた冬の朝はナフタレンの匂いがするんだなって、笑っちゃった。はやく半袖のパジャマしまわなくっちゃって言ったら、白い息吐きだす君、ピザまん半分くれた。