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大丈夫かな…

夜、布団に入って ふと思い出したのは2年前に家の都合で転校していった男の子の事。

荷物を片付けに来た時、私はどうして声をかけられなかったのだろうか。
後悔してもしきれない。
「家の都合」の裏に、普通じゃ考えられないぐらいに いろんな事があって、苦しんでいたのをを知っていたのに。
いや、だからこそかもしれない。
あの子の不安を自分だけで受け止める自信がなかったんだ。結局は自分の事しか考えてなかっただけ。

私は罪悪感と無力さに苛まれて布団を頭からかぶった。

あの子は今 泣いていないかな。
ご飯をきちんと食べているかな。
家族との関係はどうなったかな。
自分を傷つけるのはもうやめてくれたかな。
生きてくれているかな。

そんな事を考えているうちにまた布団の隙間から暗い気持ちがはいってきて。
もう 考えてもどうにもならない事ばかりが浮かぶ。

とうとう朝が来た。
カーテンを開けると空は晴れていたけれど、明るい気持ちにはなれなかった。
空が晴れていてもその下にはいろんな顔の人がいる。曇りのひと、雨のひと、晴れのひと、雪のひと。
でも世界に晴れのひとがひとりもいなくなってしまったら雨のひとたちは希望を見失ってしまうから、今日だけでもいいから、私は晴れのひとでいようと思ったの。