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空飛ぶラジオ#4

「ラジ君ラジーーー!!」
「えーーー」

落ち着け落ち着け。これは夢だ。覚めろ。
おもいっきり頬を叩いた。
しかし、目の前にある、空中に浮いたラジオはそのまま。あたしの頬は痛い。
夢、ではない。
「なんであんたいるの?」
「君が選ばれし者だからラジよ。」
液晶画面みたいなところにラジ君のクリクリした目がうつる。

「ラジ君はリオのことよーーーーく知ってるラジよ。僕の名前を幼馴染みのユーイチ君に……」
「ユーイチって?ユースケだったら知ってるけど。」
そう答えるとラジ君の液晶画面は驚いた表示をして、くるくるまわりだした。
「なんで、忘れちゃったラジ?」
「はぁ?知らないし。」
「赤点のテストを押し入れの引き出しの一番奥にしまったのは知ってるラジよ」

……ーーー…

なんでそんなこと知ってんだ。
こんなよく分からないラジオの言うことを聞いていいんだろうか。

夜も遅くなり、ラジ君らしきものは空中に浮かぶのをやめ、ただのラジオに戻った。

その夜あたしは夢を見た。

リオと私の名を呼ぶ声。
小さなあたしと、ユースケとそのとなりに誰かもう一人…

けれどそこで、夢は途切れた。
もう一人の顔を思い出せない。
全ては一瞬、あたしはただの夢の中。

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