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「知った風な口を利くから私は自分の親が嫌い
その親から貰ったこの名前も気に入らない」
君はそう嘯くけれど僕は君の名前が好きだよ
呼びやすいしさ書きやすいしさ
笑わないでよ、結構重要な事だよ
初めて君の名前を呼んだ日のことを覚えてる
放課後 夕景 信号待ち 手を繋いだ
僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか見ても何にも分からないけど
匿名希望がありふれた こんな世界だから
できる限り大事にしたいんだ
「なんか音の響きが格好いいから
私は貴方の名前が好き
きっとセンスのある親なんだろうな
私の親と大違いだな」
君はそう嘯くけれど僕は僕の名前が嫌いだよ
こんながらんどうの僕の中身に
不釣り合いなほど大層な意味を持ってるから
初めて君に名前を呼ばれた日
僕のことだと気付くのに少しかかった
僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか何の足しにもならないな
匿名希望がありふれた こんな世界だから
できる限り大事にしたいけど
僕が嫌いな僕の名前も
君が好きと言ってくれるなら
それでいいかもな、と最近思えてきた
どうせ生まれてきてから死ぬまで抱えるもんだしな
僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか只の識別番号で
とかさ、言うだけ言ってみてもそれでも愛着に近い
何かがあって
僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか見ても何にも分からないけど
匿名希望がありふれた こんな世界じゃ
できる限り大事にしたいんだ
君の名前をできるだけ呼ぶよ
君が自分の名前と親を好きになってくれるまで