「文字は、人を癒すことも傷付けることも出来る“魔法”です」 かつて、文字の魔術師を名乗るこの部の部員が黒板に綴った呪文
閉じた十代。 悩み、苦しみ、ギリギリのところを行ったり来たり。 緑の黒板に置かれた白い文字は、私にとっての酸素だった。 あれから7年。 まだ、生きていることについて。 なぜかわからない。未来は見えない。 けれど、これだけは確か。 あのとき、死ななくてよかった。 隅に映る「21歳」は、私が生き抜いた証。
なんで、なんで、なんで、 なんで男子と喋ってる=付き合ってるになるの? なんで、なんで、なんで、 すぐに噂を流すの? 息がつまる。 こんな狭い世界からにげだしたい。
「何故貴方は物語を書くの?」 女は私に問いかけた。 つまらない質問だ。 その答えを教えても、書かない者には解るまいよ。